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光のエルピーダ

「ありがとう……稀梨華ちゃん」



そう言ってリンクルが微笑む

初めて見た。今まで真顔と険しい顔しか見たこと無かったから。



「待っててね今この檻から出してあげるか

ら!」



檻は厳重に施錠されているなら



「壊れろぉー!」



稀梨華は檻の鉄を両手でつかみ思いっきり力を込めて横に広げ隙間を開けようとした。あの夢の中の女の人が私はもうエルピーダを使えるはずって言ってたからもしかしたら壊せるかもしれない!

しかし檻はびくともしない



「いやそれは無理だよ稀梨華ちゃん」



こんな事で体力を消費しないでとリンクルに正論を言われたので檻から手を離した。



「本当は僕がエルピーダを使えたらいいんだけどあの雷門隊長にこの首輪をつけられてからエルピーダが使えなくなったんだ」



リンクルは自分の首に付けられた首輪を指さして言う



「エルピーダが!?」



何か実験してるとは思ったけどそんなものも作れるの!?



「そう言えば稀梨華ちゃん一人でここまで来た

の?」

「ううん。2人できたの実はね……」



稀梨華は朝火、おじいさん、夢の事、これまであった事をリンクルに全て話した。



「なるほどね、それがそのペンダント?」

「うん」


リンクルはじっくりとペンダントを見る


「不思議なペンダントですね。でも稀梨華ちゃ

んに似合ってます」

「ありがとう」




「あっここに居た!」

「朝火!」


朝火が来た


「どうやら友達は見つかったみたいだな」

「うん。」


朝火に友達であり命の恩人のリンクルを紹介する。

稀梨華がリンクルの事を友達だと言った。その瞬間リンクルは無いはずの心が暖かくなるように感じた。


「友達……」


リンクルがとても小さく呟いた。



「トリビアは居た?」



稀梨華に聞かれると朝火は暗い顔をし、1冊のカルテを稀梨華に渡した。

カルテには……



「被検体1253698 ゴールデンレトリバー トリ

ビア…… 」



続きは声に出して読めなかった。続きには

実験失敗により2017年死亡と書かれていたからだ。



カルテを見るのをやめ朝火を見ると目が赤くなっていた。そして



「トリビアはもうッ死んでたんだ……!」



と叫ぶ。とうとう朝火の目から大粒の涙が零れた。

ここを見る限り劣悪な環境と言えるだろう。この中で8年も生きているとは考えずらい。


稀梨華は黙って朝火の背中をさする。

リンクルも心配そうな目で見ている。

きっと朝火は最初からトリビアが生きている可能性は低いと思っていたんだろう。けど少しの希望に賭けてここまで来たんだ。



「最初から生きてる可能性はすくねぇと思ってたんだ でももしかしたら生きててくれてるかもしれないって思ったんだ!」



つられて私も涙が出る。連れ去られた挙句実験台にされて死んでいたなんて辛すぎる。


「なぁこれが本当にあの“イロアス”なのか……?

トリビアは何か悪いことをしたのか?」


怒りで震えた声で朝火が言う。

リンクルもトリビアもきっと人間じゃないのにエルピーダを使えるからってここに連れてこられたんだと思う。でも人間もここに収監されている。


「俺は許せない…家族を殺したイロアスを許すこ

とができない!」

「……私も許せないよ」

「……僕も」


リンクルが言う


「リンクル?」


「稀梨華ちゃんと稀梨華ちゃんの友達を傷つけ

た」


「「リンクル……」」


リンクルには心がなかったはずだ。歯車を2つ心臓部分にはめることで初めて心ができると。


「とりあえず本部からリンクルを連れて脱出し

よう」


朝火が言う


「そうだね。そろそろパラティシリィが戻って

来る」

「問題はこの鍵をどうやってあけるか」

「鍵が無理なら檻を壊すか?」




「そんな簡単に壊れたら困りますよ“侵入者さ

ん”」




「「!?」」



稀梨華と朝火は驚いて後ろを見る



「お前はあの時の!」



そこに居たのは稀梨華を気絶させリンクルを連れ去った雷門隊長が居た!

ということはまずいもうパラティシリィが戻ってきた!



「おいこいつって」


「私を気絶させてリンクルを連れ去った奴だ

よ」


「!?もしかしてこいつパラティシリィ

か!?」



「ほぉうパラティシリィを知っているんです

か」



まぁ我々は有名ですしねと雷門隊長が言う



「おや貴女と会うのは2回目ですよね?しかしお

かしいですね報告によれば貴女はそのロボット

の事を忘れているはずですが」



「…演技に決まってるでしょ騙される方が悪い」

「クラスメイトに騙された貴方が言います

か?」


なんでそんなことまで知られてるの!?


「しかし……ここを見られたならば逃がせません 

ね」



そう言うと雷門隊長が手を上に上げる



「崇高なる天の主よ我が名に従え!」


雷門隊長が叫ぶと紫色の綺麗な鍵が出てくる


「まずい!」



エルピーダを使う気だ!

雷門隊長が鍵をこめかみにさす

初めて見る朝火は驚いている。

そして雷門隊長の手には日本刀が握られており雷がバチバチと音を鳴らしている。

雷門隊長が構えの姿勢をとる



「やばい!」「くるぞ!」


そして


「ブロンデーセイバー!」


雷門隊長がそう叫びその場で剣を振るった。


「「!?」」


空振りか思ったがそうではなく、三日月の形をした雷の斬撃が3つ物凄いスピードでこっちに飛んできた


当然2人は避けることが出来なかった

とてつもない衝撃音が響き2人は壁に打ち付けられた。


「稀梨華ちゃん!朝火!」


リンクルの悲鳴のような叫び声が聞こえる


「ゔッ」


痛い頭をぶつけた。


稀梨華は頭を触ると手に何かついた 見てみると



「血……」



手にはべっとりと血がついていた。色んな考えが頭に巡る。脳内出血、頭蓋骨は無事なのか

そうだ朝火はどこだ朝火も血を流してるかもしれない!



「朝火っ!どこ……」


声が出しずらい。



「探しているのはこの子ですか?」



雷門隊長が血を流している朝火の腕を引っ張り引きずりながらこっちへ来る。まるでしーちゃんの時のように



「朝火!」


朝火は呼び掛けに答えない。


「まだ死んでないので大丈夫ですよ」



どこが大丈夫だって言うんだ!



「待って私がここに侵入しようって言ったの!

だから朝火は関係ない!それに実験ならリンク

ルの変わりに私を実験台にして!」

稀梨華の言葉にリンクルが驚く



「ほぉう?貴女が主犯者ですか」

「そう!だから!」


「しかし貴女を研究して何になると言うんです

か?エルピーダも使えないようですし」

雷門隊長が冷たい目で稀梨華を見下ろす


「っそれは……」


どうしよう何か反論しないと……!!


「もういいです」


そう雷門隊長がいいポケットから何かのボタンを取り出しボタンを押す。すると

リンクルが苦しそうな声で絶叫した。

リンクルの首輪の周りからバチバチと紫の稲妻が出てる


「リンクルッ!あんたリンクルに何した

の!!」


稀梨華が大声で叫ぶ


「煩いですねこれが実験ですよ」


そう言って雷門隊長は稀梨華に朝火を投げつける


「あっ朝火!」


稀梨華が朝火を抱きとめた時、また雷門隊長が斬撃を打ってきた。


「カハッ!」


さっきよりスピードがあったためもっと強い力で壁に打ち付けられる。しかし稀梨華が盾になったので朝火はそんなに酷く打ち付けられなかったようで安心する。

体を引きずりながら朝火を物の影に隠す

頭がグラグラする。ぽたぽたと地面に血と涙が流れ落ちている。痛い。それにまだリンクルの辛そうな叫び声が聞こえる

床に爪を立てて立ち上がろうとするも力が入らない。



「もう諦めたらどうですか?」

………………


「…………ぇ」



「はい?」



「天空の主よ!我が名に従え!!」



稀梨華が大きな声で叫ぶ!

すると稀梨華のつけているペンダントが目を開けていられないくらい光った。そして綺麗な7色に輝く鍵へと変わった。


「きれい……」


これはもしかして光のエルピーダなのかな

しーちゃんや雷門隊長はこめかみに刺してたけど鍵穴なんてないし……

いいやもうどうにでもなれ!

稀梨華はその鍵を握りしめ



「どうか私に力をかして!!」



そう叫び稀梨華は鍵を心臓にさして鍵を回した。

鍵をさした心臓からは血が溢れる

だがその血が赤から白い光へと変わっていく

長い黒髪は綺麗な長いプラチナブロンドへと変わり、焦げ茶の目は綺麗な黄色になりシトリンのように輝いていた。

服は真っ白なドレスに変わっていた



「貴女……エルピーダ使えるんじゃないですか」


雷門隊長が不満そうに言う

信じられない本当に私がエルピーダを使えるなんて。ならこの力を使って2人を助ける!


「はぁ!」


手を雷門隊長に向けて叫ぶ……が何も起こらない



「なんで!?」

「おやぁ?これじゃ子供のごっこ遊びみたいじゃないですか」


雷門隊長が馬鹿にしたように言う



「稀梨華ちゃんッエルピーダを使う時は想像力

が大事なんだ!だから自分のしたい事を明確に

イメージして!」


リンクルが教えてくれた


「分かった!雷門隊長を何とかしたらすぐに助けるからね!」



「僕を倒す気ですか」



雷門隊長は余裕そうに言う


きっと技名?みたいなのが必要なんだよね

イメージ……想像力……あぁぁしーちゃんとか姫乃さんみたいにかっこいい技名?ていうの思いつかないんだけど!

そうこう考えていると今度は雷門隊長がこっちに斬りかかってきた



「防御がゼロですよ!」

「ぅわっ!」



寸前のところで避けれたけど前髪が少し切れた

後ろに飛び体制を整える



あっぶな!避けてなかったら目に日本刀が当たってたんだけど。

そうしている間にも雷門隊長は構えの姿勢をもうとっている。

どうしよう……リンクルをまず助けないといけないのに!

リンクル……リンクルは確か英語でlincle 意味はつなぐだったはず……繋ぐ……つなぐってことは鎖とも考えられる?

たとえば鎖で雷門隊長を頑張って拘束してその隙にボタンを奪ってリンクルを助けるとか!

よし、イメージは固まった!






痛い。体に電流が流れてる。だけど何故か自分よりも稀梨華ちゃんが心配だ 

おかしいなぁ僕には心が無いはずなのに

でもおかしいのは稀梨華ちゃんもだ

出会ったばっかりの僕を助けるために自分の人生棒に振るうようなことして、しかも心臓に鍵をさすなんてどうかしてる 本当に死んじゃったらどうするんだよ

思い返せば稀梨華ちゃんは初めて会った時から

ちょっとおかしかった いきなり膝をついて名前を聞いてくるとか……


雷門隊長の斬撃が稀梨華の頬をかする


「危ないっ!」


頬からは赤い血が流れる


「僕の事はもういいから早く朝火と逃げてよ!」


「……大丈夫だよリンクル」


稀梨華が呟き雷門隊長をまっすぐ見め叫ぶ




「ルクスアリスィダ!」




稀梨華がそう叫ぶと大きな十字架が地面に現れその十字架から金色に輝く鎖が出てきた

そしてその鎖が雷門隊長を拘束する



「っ!」



拘束され雷門隊長はボタンを落とした

今だ!

私は雷門隊長のボタンを奪いスイッチを止めた



「今この檻も壊すからね!」



「フォスヴェロス!」



そう叫ぶと手には光り輝く弓矢が握られ、それを施錠部分に向かって射る

放たれた弓は光を纏い大きな線になって施錠部分に当たった。

檻が壊れた



「リンクル!」

「稀梨華ちゃん!」


リンクルを抱きしめる リンクルの体は傷んでいた。


「帰ったら修理しようね」

「稀梨華ちゃんは病院だからね」


心臓からの血は止まったが頭からはまだ血が流れている

リンクルを抱きしめていると後ろから衝撃音がする

驚いて後ろを見ると雷門隊長が鎖を壊していた



「こんな脆い鎖で勝ったつもりですか?」



雷門隊長の周りからはバチバチと最初より強い紫の稲妻が出ている

怒ってるんだ

やばい生きて帰れるかな。そもそも帰れないかもしれない


「大丈夫だよ稀梨華ちゃん」


リンクルが私の隣に立って言う


「リンクル……」

「僕も一緒に戦う」

「だから朝火と一緒に生きて帰るよ」

リンクルが私に手をさし伸ばす

「うん!」


稀梨華はリンクルの手を取り立ち上がった












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