覚悟を決めて
リンクルを助け出ししーちゃんと再開すると誓った日から二日が過ぎてついに退院の日になった。荷物や手続きを済ましてお母さんの車に乗る。
「それにしても本当に後遺症とかがなくて良か
ったわ」
お母さんが言う
「ねぇ私に何かあったらお母さんは悲しむ?」
「当たり前でしょ?それに世の中の親は皆子供
に何かあったら悲しむものよ」
それはどうだろうなもし世の中の親が全員そう思ってたら虐待される子供もいないだろうに。
でも悲しむとお母さんは言ってくれた。嬉しいだけどこれから私はお母さんを悲しませることになる。ごめんねお母さん、お父さん
車が学校の前を通りかかった。校舎は半壊状態で酷い有様だった 特に屋上部分の損傷が激しい
きっとあの姫乃さんが隊長と呼んでいた人とオルドデール伯爵が戦ったからだ。
その後数分で家に着いた。疲れてるからと言って自室に籠る
まずは情報屋に行くための情報収集と資金がどのくらいあるのか確かめよう
「えーと貯金箱は確かこの辺にあったはず…あっ
た」
9歳の頃から貯めていた貯金箱を机の上に置く
あまり物欲がある方ではなかったので結構溜まっているはずだ
「二…四…六…八…十…十二万と八千五百円」
足りるかな?スマホで東京までの飛行機代を調べる
「往復でだいたい2万円くらいか あとはホテル
代と情報に対する代金だね」
問題なのは情報は何円で買えるか。私が聞きたいのはイロアスについてだけど結構値段が高そうだな
「5万くらいで買えないかな」
あと問題といえば年齢確認されないホテルがあるのか
「……ラブホなら年齢確認されないかな?でも危
ないしなぁ」
最悪野宿か?でも夜の東京で野宿とか危険過ぎない?
まぁその辺は後で考えよう。次は情報屋の場所についてだ。
私は情報屋について調べた。調べて分かったことは情報屋の店主はおじいさんで若い少年のアルバイトがいる
実際に情報屋にたどり着けたという人は情報屋は六本木にあると言っていた。
あと情報によって料金が異なる。
「分かるのはこれくらいか」
でも大体の場所がわかったのはでかい
あとはいつ決行するか
「リンクルが心配だから明日にでも行きたい」
でもお母さんがいるしなぁ
そう考えてると部屋のドアがノックされお母さ
んが入ってきた
「稀梨華ー?」
「どっどうしたのお母さん」
「明日大事な会議が入っちゃって明日は朝早く
に家を出ないといけないの」
退院したばっかりなのにごめんねとお母さんが謝る
「ううん私は大丈夫だから心配しないで!」
嘘
「えぇそれじゃあよろしく頼むわね」
そう言ってお母さんは部屋を出ていった。
どうやら天が味方してくれたようだ
「決行は明日にする」
それからご飯を食べて風呂に入り洗顔や歯磨きを済ませて自室に戻りベットに入る
ドクンドクンと心臓がなる 緊張してるんだ
ベットの横にある棚に飾っている家族写真を手に取る
「ごめんねお母さんお父さん明日ものすごく悲しませることになるから……」
私は写真を抱いて眠りについた
そしてまた夢を見た
「あれ…また夢?」
またあの豪華な部屋で目を覚ます。今日はあの金髪の子は居ないようだ。
体を起こして部屋を見渡す。
「広い…あれはすごく大きな鏡」
鏡に近づくするとそこに映っていたのは
「えっ!?誰この美少女!?」
真っ白な綺麗なドレス、妖精のように白い肌、淡いピンクの唇、キラキラと輝くプラチナブロンドのパーマのかかった長い髪、そして右目には八芒星、左目には時計の秒針のマークが入った綺麗な瞳
「いやいや嘘でしょ?まじで誰なのこの人」
試しに頬をつねる
「痛っ!」
痛い。普通に痛いんだけど
「まさか夢じゃない?それはそれでめっちゃ深
刻なんだけど」
夢にしても早く覚めないと行けない
他に何か特徴的なものは
鏡を見ると右目とおなじ八芒星の形の
ペンダントをつけていることに気づいた
「これすごく綺麗」
売ったらきっと何百万くらいはする
まじまじと眺めていると急にネックレスが光った!
「わっ!眩しい!」
思わず目をつぶった。しかし体が宙に浮くような浮遊感で目を開ける。そこに広がった景色は
「はぁ!?地球!?」
目に見えたのは地球と地球を照らす太陽で、
地球がオレンジ色と青色にに輝いて見える
そしてその地球が存在する宇宙もオレンジ色と青色のグラデーションに輝いて見えている
「すごく…すごく綺麗」
息を飲む美しさだ
しかしすぐに現実に戻される
待ってつまりここ宇宙?なんで息できるの!?
「ていうかどうやって戻ればいいの!?夢だよ
ね!?」
1人で慌てているとどこからか笑い声がした
「アッハハちゃんと戻れるから安心して」
「誰!?」
どこからか品のある声がする おそらく声からして女性だと思もう
「ねぇここはどこなの?」
「ここはそうねぇ…宇宙かしら?」
「それは分かってるんだよ!」
その品のある声がまた笑う
からかわれているのか?
「じゃあ貴女はエルピーダを使える?」
「えぇ使えるわ」
「じゃあどうやったら使えるの!?友達を助け
るために力が必要なの!」
「大丈夫よ貴女はもう使えるはずだから」
「え?」
「必要なのは覚悟だけよ」
「覚悟なら何時でもしてるよ!」
「でも心の中で恐怖を感じていたでしょう?
親に迷惑をかけるとか普通でいられなくなると
か」
その女性の声ではっとする
そうだずっと恐怖してきた。でも
「でもそれは皆思うでしょ!普通じゃ無くなる
んだから!」
それに私はリンクルを助けるため、つまりはイロアスと戦うためにエルピーダを欲してるんだしこんなこと考えてるの普通じゃないでしょ
「そんなに普通でいることが大事かしら?
けど心配は何も要らないわ」
「心配しかないけど!?」
「だから絶対大丈夫だって絶対助けるって覚悟
を決めるのよ。そして絶対諦めないこと」
「諦めないこと……」
「そうよ。あと失敗を恐れないことも大切。最
初から失敗を恐れていたら何も出来ないわ。だ
から諦めず挑戦し続けるのよ」
失敗を恐れない…
「私に出来るのかなぁ?」
声が震えた。私は今まで何かを続けて来れたことがない。全部中途半端で終わってる。そんな人間がイロアスと戦うとか今考えると無謀すぎて……あぁ今になって怖くなってきた。覚悟しなきゃいけないのに……
「できるわよ!」
女性がこれまででいちばん明るい声で言った
「だから自分を信じなさい。」
女性が力強い声で言った
涙が溢れてきた。姿も分からないのに何故か安心する。まるでずっと一緒にいたような安心感がある。
そしていつもみたいに視界が歪む。目が覚めそうになる瞬間
「アドバイスくれてありがとう!頑張ってくる
から!」
どこにいるのか分からない女性に向かってお礼を言った
何処からか「頑張って」と柔らかい声がした気がした
「はっ!」
目が覚めて飛び起きる。部屋は見慣れた自分の部屋だ
「良かったちゃんと戻ってきたんだ」
時計を見ると時刻は午前5時15分だった。
1階からお母さんが料理をしている音がする。お母さんが家を出てからじゃないと行動を開始できないのでゆっくりしてようとまた横になる。
だけど右手に何か違和感を感じた。なんだろうと右手を見ると何かを握っていた
「なんだろう?」
手を広げるとそこにあったのは
「あっ!あの高そうなペンダント!」
手にあったのはあの八芒星のペンダントだった
「もしかしたらあの女性がくれたのかな?」
「でもどういう事?じゃああれは夢じゃないっ
て事なの!?」
ますますあの女性の謎が深まる。
私はネックレスを首にかけた。少し重たいけどあの女性が見守ってくれてるようで安心する。
稀梨華は音を立てないように荷物の準備をする
「この洋書とかはさすがに使わないよね?でも
この爆竹は使えそう…あとは着替えとお金も詰
めて」
「そういえばリンクルがあの子に渡すって言っ
てた本はリンクルが持ってたはず」
本は無事かな?というかあの本の中身ってなん
なんだろう?
色々準備していると外から車のエンジン音が聞こえた。お母さんが出発したようだ。
これで私も行動を開始できる。
1回に降りて身支度を整える。あの夢の中の美少女みたいに髪の毛を巻いてみた。
夢の中の子とは劣るけど割と可愛くなったと思う
2階に戻ってキャリーケースを取って1回に降りる
「ガスと電気も消したし大丈夫だよね」
そして火元の確認をして鍵をかけて家を出る
「よし地下歩道を目指そう」
稀梨華は地下歩道を目指し歩き、地下歩道に入った。ここから駅に行けるはず。
平日だから社会人が沢山いる。
人混みに飲まれながらも駅に着いた。
駅で千歳空港行きの切符を買う
そしてホームへと向かう もう電車は来ているようで電車に乗り込む。
中は空いている。
座席に座ってイヤホンを付けスマホでニュースをチェックする
「こちら4日前知能型エクロスに襲撃され1番被
害が大きかった目黒区の映像です。ご覧の通り
建物の損傷が酷いです。またこの襲撃による死
亡者はイロアスの隊員含め1251人と見られてお
ります」
「またイロアスによると知能型エクロスがここ
まで群れになって攻めてくることは今までに事
例がないので今後も注意が必要とのことです」
「それと東京以外にも北海道札幌市の第二中学
校も知能型エクロスと獣型エクロスに襲撃され
ましたこの襲撃によるーー」
この辺は知ってるからいいや当事者だし
スマホの電源を切る。
窓を見るときれいな青空があった。だけど夢の中で見た宇宙はもっと綺麗だったな。
景色をぼーと眺めているともう着いたようだ。
千歳空港につき東京行きの飛行機のチケットを買う。席が空いていてよかった。
飛行機の時間まで時間があるので売店を見る。
「リンクルはお菓子とか食べられるのかな?」
食べられなくても私が食べればいいかと結論づけておにぎりとスナック菓子、ジュースとお茶を買う
そろそろ飛行機の時間だ。手荷物検査を済ませて飛行機に搭乗する。
「えーと席は…あった」
座席に座る。
あぁ緊張してきた!落ち着けヒッヒッフー
大丈夫覚悟を決めればいいんだ。
飛行機が動き出す。
飛行機に乗るのは久しぶりだな。でも何回乗っても飛行機が飛ぶ瞬間はちょっと怖い。
子供が泣いている。わかるよその気持ち
だけど飛んでしまえば怖くない。窓から見える景色は壮観だ。
ふぁ眠くなってきた。もっと景色を見てたいけど疲れたら大変だから今のうちに寝ておこう。
皆様、羽田空港に着陸致しました。この飛行機は……
アナウンスの声で目が覚めた。着いたんだ東京に!
飛行機が完全に停車し飛行機から降り、空港でキャリーケースを受け取る。
「ここが東京……」
さすが東京すごく広い
でもここから六本木までどうやっていけばいいんだろ?
スマホで調べる
バスでだいたい50分くらいか。
どのバスがいちばん早いかな?
「あっあと6分後にあるやつにしよう」
稀梨華は急いでバス停に向かいバスに乗った。
そこから約50分バスに乗りついに六本木に着いた。
「ついにきちゃったよ六本木…」
だけど情報屋は六本木のどこにあるのか分からない。ここは現地民に聞いてみよう。
あそこに丁度年配の女性がいるので聞いてみる
「あのすいません」
「はい どうしました?」
「この辺りに情報屋ってありませんか?」
「あぁ最近流行ってるやつね でもうちは見たこ
とがないね。きっと都市伝説よ」
「そうですか。ありがとうございます」
やっぱり情報屋って胡散臭いしね
どうしようかな。
稀梨華が悩んでいると1人の若い稀梨華と同じ年齢くらいの少年を見つけた。
若い人の方が知ってるかもしれない
「あのちょっと聞きたいことがあるんだけど」
「ん?なんだ?」
「この辺りに情報屋ってない?」
私がそう聞くと少年は口角を上げて笑った
「あるぜ」
「本当に!?場所を教えてくれない?」
ビンゴ。本当に知ってるなんて
「あぁ教えるも何もその情報屋の店主は俺のじ
いちゃんだからな」
「えっ!?」
「案内してやるからついてこいよ」
そう言って少年は笑った。




