表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/40

僕の名前は

「…僕の名前はリンクル」


このロボットの名前はリンクルと言うらしい。


「リンクルかぁ何かキラキラしてていい名前だね!」

「ありがとうございます稀梨華様」

「様なんて付けなくていいよ」

「それじゃあ稀梨華ちゃん」


ちゃん付けなんだ。まぁでもこの子の名前が分かってよかった。まさかあの洋書に書かれてた事が役に立つなんて。


「あの稀梨華ちゃん」

「なぁに?」

「ここは地球ですか?」

「えっ?そうだけど」


なんでそんなことを聞くんだろう?


「良かったです。あとこの辺に本がありませんでしたか?」


「あぁもしかしてこれ?」


リンクルを見つけた時、リンクルが持ってた本を渡した。


「それです。ありがとうございます」


リンクルは本を受け取った。


「その本、すごくホコリをかぶってるし汚れてるけど読めるの?」


汚れていて題名も読めない。


「…分からないです。でもこの本を““あの子””に届けないといけないんです。」

「あの子?誰?」

「僕にも分かりません。ただ“行けば分かる”とだけしか言われてないので」


行けば分かる?道外から来たのかな?ロボット

ひとりで?


「誰かに頼まれて来たの?」

「はい。とても綺麗な女性に」

「その人の名前は?あとその人はどこにいる

の?」

「名前は分かりません。けどその人は空に住ん

でます。」


リンクルは寂しそうに言った。

空に住んでる?もしかしてリンクルに本を渡した人は既にもう亡くなってるってこと!?そしてこの本に何か願いを込めてリンクルに託した…とか!?

稀梨華はリンクルを抱きしめた。


「稀梨華ちゃん?」

「大丈夫!私が絶対その女の人の無念を晴らす

からね!」

リンクルは少し考えた後真顔で

「……あの人は死んでませんよ」と言った。

「…いやさっきの流れで死んでないの!?紛らわしいよ!」


何かすいませんと謝るリンクルに大丈夫だよと勘違いしてごめんと謝る。

けど死んでないとしたら空に住んでるリンクルに本を渡した人は何者なの?


「はぁもう一気に色んなことが起きすぎてるん

だけど」

「あっそうだ。リンクル、オルドデール伯爵っ

て知ってる?」

「存じ上げませんね」


知らないってことはオルドデール伯爵が用意した救済措置用のロボットじゃない。


「あのね実は今ー


稀梨華はエクロスが襲撃してきたこと、管理人やイロアスなど今まであった事、地球のことを

話した。


「なるほど。つまり僕に問題を解いてほしって

ことですか?」

「うん…嫌なら全然大丈夫なんだけど」

「いいですよ」

「本当に!?ありがとう!」


お前は最高だ!とリンクルを抱きしめる。リンクルは終始真顔だった。


「そういえば僕のコートはどこですか?」

「あぁそれならここにあるよ」


コートを渡す。


「そういえばリンクルに性別はあるの?」

「僕に性別はないですよ」


やっぱりロボットに性別はないのか



「それじゃまずはここから出ましょうか」


コートを着たリンクルが言う。


「そうだね…」


正直ずっとここに居たい気がする。ダメなんだけどさ、みんなを助けないといけないんだけどあの暴走ロボットが待ち伏せてないか心配なんだよ!あいつサイレンヘッドみたいな見た目してるんだよ!あぁまじで無理だわ


「行かないのですか?」


リンクルが不思議そうに言う


「いやぁそのサイレンヘッドみたいなロボットに待ち伏せされてそうでちょっと怖くて」

「なら僕が先頭でいいですよ」

「えっいいの?」

「はい」

「それじゃお願いするね」


なんていい子なんだ。でも子供のロボットに先頭を行かせるなんて我ながら情けなさすぎる。


「開けますよ」


リンクルがドアを開ける。何も居ないようだ。

良かった。


「次はどこに行きます?」

「目の前のドアを開けよう。多分そこが職員室だから」


リンクルがドアに手を掛ける。


「気をつけてね」


ドアが開いた。


「誰も居ないみたいです」

「良かったぁ」


職員室は他の教室と比べて荒れていない。


「えっと電話は何処だろ」

「電話はこれですか?」


リンクルが電話を大量のプリントの中から発掘する。


「それだよ!」


ありがとうとリンクルに言って電話をかける。


「えぇと確かイロアスの番号は“111”だったは

ず」


私は111を押して電話をかけた。

ツーツーと音がする。


「お願いだから繋がって!」


すると、プルルルルと音が鳴った


「繋がった!」


しかし中々出ない。ついにおかけになった電話番号はおでになりません。と音がなった。


「やっぱり首都で手一杯なの?」


すると隣でドンと小さい音が鳴った。

リンクルがもう1台電話を見つけてここまで持ってきたようだ。


「1人より2人の方が繋がる確率は上がりま

す。」


そう言ってリンクルは111と慣れない手つきでボタンを押して電話をかける。

その後、2人とも電話をかけ続けたが全然繋がらなかった。


「…もう13回目ですよ。大人しく問題を探して解いた方がいいんじゃないですか?」

「……もうちょっとだけやらせて!」

「13回も掛けてるんですよ?」

「でも14回目は繋がるかもしれない。それにさ

っき今この学校で起きてることを話したでし

ょ」

「はい。」

「私の親友が多分戦ってるの。だからせめて応援を呼べたらいいなって。それに校庭で捕まってるみんなも早く助けたい。」

「ごめんねリンクル。私がもっと頭が良かったらしーちゃんみたいに解けるんだけど私バカだからこんなことしか出来ないの。もう少しだけ付き合って。」


私はもう1回電話をかけた。

ツーツーツープルルルル

お願い、お願いだから繋がって、私たちを助けて!


「はい、こちら日本支部イロアスです。ご要件

はー

「助けてください!!!」


泣きながら叫んだ。






ウーウーウーウー緊急の出動要請が出ました。第五機動隊は速やかに急行せよ。


「隊長!緊急の出動要請です!」

「場所は何処だ」

「北海道らしいですよぉ」

「はぁ首都でもう手一杯なのにぃ」

「北海道って誰か派遣されてなかったけ?」

「お前らもっと緊張感を持て」

「はぁ北海道の何処だ!」

「札幌市の第二中学校からです!知能型エクロスと獣型エクロスに学校が占拠され怪我人も出ているようです!」

「知能型エクロス!?」

「そりゃまずいな。お前ら早く現場に向かうぞ!」

「「「「了解!」」」」










「稀梨華ちゃん…そろそろ泣き止んで」

「ごめんってぇでも安心したんだもん〜」

あの電話が繋がった時ずっと張り詰めてた涙腺

が決壊した。

「でもこれでやっと助かる。」

「それはどうでしょうか」

「えっ?」

「制限時間があるでしょう。それまでにここに来れるでしょうか」


確かに日本支部のイロアスは東京にある。

制限時間の5時まで残り3時間くらい。飛行機で来ればだいたい2時間くらいかかる。


「何も無ければ間に合うと思うけど」

「それじゃここで待ちましょうか。サイレンヘ

ッドに襲われても困りますしね」

「あはは…そうだね」

2人は職員室の床に座り、壁にもたれ掛かる。

「椅子に座らないんですか?」

「床に座ってた方が職員室のドアのガラスから

見えないでしょ?」

「なるほど」


しばらく沈黙が続く。

先にその沈黙を破ったのは稀梨華だった。


「……ねぇリンクルは道外から来たの?」

「道外とは北海道の外ということですか?」

「うん。」

「僕はー」


リンクルが言いかけた時後ろの窓が全部割れた


「はっ!?」


そして大量の水が降ってきた


「危ない!」


リンクルが私を突き飛ばす。

バッシャーンッ!!

割れた窓から職員室に津波のように水が流れ込んで来る


「嘘でしょ…私泳げないんだけど!?」


しかし無常にも水が流れ込んでくる勢いは止まらず水はもう目の前に迫っていて大きな波になってる。


「ちょっとまじで無理なんですけど!」


そう叫んで心の中で、拝啓お母さんお父さんへここまで育ててくれてありがとう。墓にはエーデルワイスの花を供えてくださいと遺書を言う

そしてついに水が私の足に触れようとした時



「白き精霊よ!我が名に答えよ!」



リンクルがそう叫んだ次の瞬間周りの温度がいっきにひえ、リンクルの手が白いような水色に光る。



「精霊降臨!氷の主よ我を守りたまえ!」



とまた叫び、手を流れ込む津波のような水に伸ばした。水がリンクルの手に触れた瞬間ー

バキンッ!!と大きな音を立てて水が全部凍ってしまった。


「えっ?これってまさか…エルピーダ?!」









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ