続 外伝3 「キルゾーン2/2」 【M378】
続 外伝3 「キルゾーン2/2」 【MM378】
恒星アルファが昇り始めた。東の空が赤く輝いている。
「ナナミ大尉、恒星アルファが昇ります」
見張り役だったミルコ一等兵がナナミ大尉に声をかける。
「敵に動きはあったの?」
「特に動きはありません。散発的に撃ってくるだけです」
「さっそくだけど脳波攻撃を使うの。敵は完全に包囲したと思って油断しているの。だから脳波戦を仕掛けるの。各自限界までポングを撃って敵のシールドを弱らせるの。直撃すれば倒す事も可能なの。まずは左側の敵に発射するの」
攻撃用脳波はおよその位置に向けて発射すればダメージを与える事ができきる。ナナミ大尉もポングを敵の左側の塹壕に向けて発射した。ナナミ大尉のポングは一般の兵士のポングの3倍の威力があり、発射速度は10倍以上である。他の兵士達もポングを発射する。30分以上ポングを発射し続けた。敵陣地からの射撃は間欠的に起こっている。敵陣には豊富に弾丸があるようだ。連合政府軍の兵士達は弾丸の節約の為に反撃を控えている。
「大尉、ポングの効果が出ています。左の塹壕の攻撃が弱まっています。ポングで相当数の敵を倒したようです」
ポピンズ曹長が報告する。ナナミ大尉は胸ポケットからシートを取り出して『シャブレーゼ』の錠剤を2錠服用した。
「アーネスト上等兵、無線で援護要請なの、襲撃用ホバー部隊に支援を要請するの。目標は前方の塹壕、小マップH7(セブン)。各自手榴弾と煙幕弾を準備するの」
ナナミ大尉は支援要請の指示を出した。
「了解です、襲撃用ホバー小隊を呼び出しています、昨日から野戦本部との通信が混乱していますが、応答があるまでナナミ大尉の名前で呼び続けます」
「そうするの。応答が無かったら私の名前で脅してもいいの!」
《こちらシルバーウルフ分隊ナナミ大尉、襲撃用ホバーの応援を要請する、応答されたし》
《こちらシルバーウルフ分隊ナナミ大尉、襲撃用ホバーの応援を要請する、応答されたし》
《こちらシルバーウルフ分隊ナナミ大尉、聞こえているなら応答しろ、そちらの中隊長と小隊長の名前は知っている、無視するなら後で挨拶に行くぞ》
《こちら襲撃ホバー第2分隊、援護要請は受理、これより分隊の5機で支援に向かいます》
「アーネスト上等兵、代わるの」
ナナミ大尉は無線機のマイクを握った。
《こちらナナミ大尉、分隊じゃないの! 小隊15機なの! カッポレ中尉に伝えるの! 『この戦闘の勝利は貴方の手柄にするから全力出撃するの』。伝えるの。それと救護用ホバーと救護兵をよこすように本部に連絡するの。負傷兵が大勢いるの。以上なの》
《こちら迎撃ホバー中隊、了解です》
「大尉、さすがですね、襲撃用ホバー小隊の支援なら心強いです。救護兵も有り難い」
シャーク軍曹が感心している。
「忘れたの? カッポレ中尉には貸しがあるの。前に、敵中に不時着したカッポレ中尉をこの分隊で救出したの。かなり危険な任務だったの」
「ああ、思い出しました。あの時の中尉ですね、泣いて喜んでましたね。大隊規模の包囲から救出したんだ、あの時の恩を返してもらいましょう」
シャーク軍曹が愉快そう言った。
「凄い、この部隊は戦い慣れている」
ウマナイザ伍長が驚いている。
「伍長殿、私達はシルバーウルフ分隊ですよ」
アーネスト上等兵が得意気に言う。
「噂には聞いています。数々の特殊任務を成功させたんですよね。ナナミ大尉は伝説です。格闘戦も無敵と聞いています。一緒に戦えるなんて思ってもいませんでした。それに想像と違って、ナナミ大尉は気さくな方ですね。威張ったり、偉そうにしていません。本当に夢みたいだ」
ウマナイザ伍長は興奮しているようだった。
「何が凄いって、シルバーウルフ分隊は危険な特殊任務が多いのに今までに1個体も命を落としてないんですよ。大尉の判断や機転のおかげです。大尉自身が個体として強いのはもちろん、指揮も素晴らしいんです。性格も親しみやすいです。とにかくナナミ大尉と一緒なら安心なんです。今回だってそうです。大勢が倒される中、私達は無傷だ。大尉はこの場所が罠だって見抜いていた。伍長殿もこの戦いで生き残りますよ」
「それは有り難いです。昨日はもうダメかと思いました」
敵の銃弾は休む事なく岩に当たっている。30分が経過した。
「後方3000m、味方の小型ホバーが来ます。30機、2個小隊です!」
ピーター一等兵が報告する。
「カッポレ中尉が2個小隊を出してくれたの。しかも新型機なの」
「確かに形が違いますね。平べったいです」
ピーター一等兵が襲撃用ホバーを見つめる。
「33型なの。高さが今までのホバーの半分なの。敵の弾に当たり難いように機体が薄いの。前面装甲は38度の傾斜で装甲も厚いの。兵員輸送より戦闘を重視しているの。推進用超小型ジェットの出力を上げて最高速度が時速680Kmなの。それに武装も強化されているの。M2ブローニング重機関銃の『連装機銃』を搭載した『甲』と『20mm機関砲』を搭載した『乙』があるの。両方とも70mmハイドラロケット弾を18発格納できる発射ポッド(多連装発射器)を左右に1基ずつ搭載してるの。頼もしいの」
「ロケット弾36発に20mmですか。凄そうですね、初めて見ます」
「武器は殆ど地球の武器のコピーなの。20mmはタケルの好きなゼロ戦や紫電改が搭載してた銃の口径なの」
< またタケルの事を考えてしまったの でも嬉しいの 恋は本当に不思議なの >
襲撃用ホバー6個編隊の30機が緩降下に入り、攻撃を開始した。
『ドーン』 『ドドーン』 『ドドーン』 『ドドーン』 『ドドーン』 『ドドーン』 『ドドーン』
各機から36発ずつ発射されたロケット弾が前方の塹壕陣地で爆発する。
『ドドドドドドド』 『ドドドドドドド』 『ドドドドドドド』 『ドドドドドドド』 『ドッ、ドッ、ドッ、ドッ』 『ドドドドドドド』 『ドッ、ドッ、ドッ、ドッ』 『ドッ、ドッ、ドッ、ドッ』 『ドッ、ドッ、ドッ、ドッ』
30機の襲撃ホバーの放つ12.7mm連装機銃と20mm機関砲の発射音が上空から響く。敵の塹壕陣地が砂煙で見えなくなる。まさに弾丸の雨だった。20mm機関砲弾は炸裂弾なので地表で炸裂して大きな砂煙を上げている。
「凄い!」 「どんどんやれ!」 「やっつけてくれ!」
「スゲー」 「うおー、すごいな!」 「いいぞ、いいぞー」
他の岩陰に隠れた連合政府軍の兵士達が歓声を上げる。
「前方の塹壕陣地はホバーに任せるの。右の銃座と塹壕に突撃なの。敵は怯んでるの、煙幕弾を投げたら走りながら各自2発ずつ手榴弾を投げ込むの!」
ナナミ大尉は煙幕弾を投げると岩陰から走り出る。シルバーウルフ分隊の兵士達も後を追う。ウマナイザ伍長を先頭に生き残った第2小隊の兵士達も付いてくる。敵の銃が一斉に火を噴く。ナナミ大尉と12個体の兵士達は煙幕の中を時速60Kmで突進する。
『ガッ!』
ナナミ大尉は頭に衝撃を感じた。銃弾がヘルメットに当たったのだ。角度浅かったので貫通は免れた。兵士達は敵の塹壕の50m手前で走りながら手榴弾を投擲する。MM星人の遠投力は地球人の3倍以上だ。
『ドドーン』 『ドガーン』 『ズドーン』 『ドーン』 『ズドーン』 『ドドーン』
敵の塹壕と銃座に爆発の煙が勢いよく上がる。塹壕と銃座に到達した兵士が塹壕の上から中をフルオート射撃で縫うように激しく銃撃する。細い塹壕の中を走って逃げようとする敵の兵士をナナミ大尉はフルオート射撃で容赦なく撃つ。屈んでこちらを見つめる敵の兵士が3個体、四角い目の中の青い大な目玉が小刻みに左右に激しく動いている。1個体が両手を上げた。ナナミ大尉はフルオートで射撃した。第1政府はバグルンを使う戦術をとっているため、容赦はできないのだ。ナナミ大尉は悲しそうな顔をしながら弾倉を交換した。
キルゾーンは沈黙した。左の塹壕の敵の兵士達が走って撤退している。襲撃用ホバーが5機毎のV字隊形で6個編隊が上空を旋回している。
「皆、ホバーに手を振るの!」
ナナミ大尉が叫ぶ。兵士達が襲撃用ホバーに向かって大きく手を振る。ナナミ大尉はホバーに敬礼をしている。
「ナナミ大尉、ありがとうございました。おかげで命を拾いました。私達は運がいいです」
ウマナイザ伍長が頭を下げた。
「運がいいのは日頃の訓練の成果なの。日頃の努力がいざという時に運を引き寄せるの。一寸の肛門軽ろんずべからずなの。すべては努力の『好き者』なの」
肛門ではなく光陰、好き者ではなく賜物だった。
「はっ、肝に命じます。それにしても地球人の姿はカッコいいですね」
ウマナイザ伍長が言った。
「自分もそう思いました。ナナミ大尉にあやかって地球人に変身したいです」
「二つの目と高い鼻がカッコイイです」
ウマナイザ伍長の部下達も同調した。
「嬉しいの。レジスタンスキャンプにある雑誌やDVDを観て気に入った地球人に変身するといいの」
ナナミ大尉は嬉しそうに言った。
「レジスタンスキャンプですね、近いうちに行きたいと思います。今回の事は生涯忘れません。一緒に戦えた事を誇りに思います。失礼します」
兵士達は敬礼すると去って行った。
「大尉、大尉発案の襲撃用ホバーに助けられましたね。襲撃用ホバーは凄い威力です。大尉、今回も見事な戦闘指揮でした。大尉と一緒にいると負ける気がしません」
シャーク軍曹がホバーに手を振りながら言った。
「中隊がほぼ全滅だから勝ったとは言えないの。これからはホバーが戦いの中心になるの。今までは兵員輸送用だったけど、ホバーの武装化がもっと進むの。MM378は倫理的に物理攻撃兵器を禁止してきたけど、もう止められないの。残念な気がするの」
ナナミ大尉が悲しそうに言った。シャーク軍曹は新しい兵器や戦法を生み出しているのにどこか悲しそうなナナミ大尉を不思議に思った。しかしそんなナナミ大尉に惹かれ、尊敬していた。
キルゾーンを囲んでいた第1政府の塹壕陣地と銃座は一掃された。生き残った連合政府軍の兵士達は前進し、敵の塹壕陣地を探索した。
「大尉、これが敵の新型重機関銃です」
ポピンズ曹長が塹壕に放置された重機関銃を指さした。
ナナミ大尉はしゃがんで重機関銃のフィードカバーを開け、給弾ベルトを外し、ボルトを引いた。
「これは『MG42』のコピーなの。ローラーロッキング機構なの。多分地球から持って来た銃の解説本が第1政府に漏れたの。この銃は発射速度が速いの。分速1500発も可能なの。でも弾丸の消費量が増えるの。銃身もすぐに加熱するから交換が必要なの。敵の大規模な突撃には有効なの。地球では第二次世界大戦でドイツ軍が使ったの。人海戦術で押し寄せるソ連軍に対して有効だったの。逆に日本軍は発射速度は遅いけど、命中率がいい重機関銃を使ったの。狙撃に使えるくらい命中精度が良かったけど、発射速度は遅かったの。アメリカ兵は銃声を聞いてその遅さに『キツツキ』って馬鹿にしたけど、撃たれてその命中精度に驚愕したの。どっちも一長一短があるの」
「今回この重機関銃は脅威でした。一連射で兵士達が大勢なぎ倒されました」
「第1政府もどんどん銃を進化させてるの。この銃は本部に運ぶの。新しい重機関銃の開発が必要なの」
「我が軍のブローニングM2重機関銃ではダメなのでしょうか? ホバーにも搭載して大活躍ですが」
ポピンズ曹長が不思議そうに訊ねる。
「ブローニングM2重機関銃は元々対物仕様なの。口径12.7mmで薬莢も大きいの。対人用には威力がありすぎるし、弾丸のコストも高いの。銃本体も大きくて重いの。MG42等の重機関銃は対人用で口径7.62mm~7.7mmが一般的なの。重量も軽いから1個体で運べるの。MM星人と地球人では身体能力が違うから火薬を増やす必要はあるの。アサルトライフルも地球の物よりは口径を大きくして装薬を増やしてるの」
「銃はいろいろ奥が深いのですね」
「地球では銃が誕生して戦争が大きく変わったの。私達の先祖は物理攻撃兵器が進化すればいずれは核爆弾やプラズマ兵器に辿りつくことを知ってたからMM378では物理攻撃兵器の開発を禁止にしたと思うの。これからは物理攻撃兵器が主体になるの。一度使い始めると止まらないの。戦争は皆を愚かにしてしまうの」
連合政府軍の兵士達は前進し、塹壕陣地の奥にある大きな倉庫のような建物に入った。天井にガラス窓があり、建物の中は明るかった。床には砂が敷かれ、アヒル程の大きさの鳥が50匹ほど歩いている。室内の隅には取っ手の付いた金属の箱が沢山積まれている。
「なんなのこれ? カワイイの!」
ナナミ大尉はアヒルのような鳥に近づいた。大きさはアヒル位だが、よく見るとダチョウに似た姿をしている。
「大尉、よく見て下さい。ギャンゴです。これは子供のギャンゴです。体は小さいですが凶暴な顔をしています」
「イテーー!」
一個体の兵士が子ギャンゴに嚙みつかれた。首を90度横に捻った子ギャンゴの大きく開かれた口が兵士の脛に噛り付いている。体色は真っ赤だ・
「おい、誰かこいつを引き離してくれ! 脛が喰い千切られそうだ」
噛み付かれた兵士が叫ぶ。
『バン』 『チュイーン』 『バン』 『キュイーン』
「隣にいた兵士が子ギャンゴにアサルトライフルを2発発砲したが弾丸が弾き返された。子ギャンゴの体色がシルバーグレーに変化している。
「子供でもやっぱりギャンゴですね、アサルトライフルの弾丸を弾き返しました」
ポピンズ曹長が驚いている。
他の兵士が3個体掛かりで子ギャンゴを引き離した。子ギャンゴは暴れて超濃硫酸を吐き出した。地面が『シュー』と音を立てて白い煙が上がっている・
「うわ、気を付けろ、濃硫酸を吐いたぞ!」
「大尉、どうしましょう、放っておくのは危険です。成長したらもっと凶暴になります」
「この子達は何を食べてるの?」
「おそらく、最東方面で捕まえた草食動物の肉を与えているのでしょう」
最東方面はエナーシュが取れないためMM星人が殆ど住んでいない地域である。太古からの自然が残っており、MM378では希少な植物が生息しており、大きな湖の周りは湿地帯で、サバンナのような場所もある。動物の種類も多く草食獣や光合成で生きる動物が沢山住んでいる。ギャンゴも生息しており、捕食者として食物連鎖の頂点に立っている。
「第1政府はギャンゴを繁殖させて特殊な薬物を投与して巨大化させたり凶暴化させてるの。可哀想だけど、放ってはおけないの。殺処分するしかないの。あっ、いい事を思いついたの! 研究所に渡すの。研究所ではギャンゴの研究をしているけど、生きたギャンゴはなかなか手に入らないの。まして子供のギャンゴなら生態の研究にうってつけなの。アーネスト上等兵、研究所に連絡してマッド主任研究員を呼び出すの」
《ナナミ大尉、お久しぶりです。どうしたのですか? ガンビロンに不具合でもあったのですか?》
《違うの、ギャンゴの繁殖施設を発見して占拠したの。場所は軍事機密だから言えないけど子供のギャンゴが50匹くらいいるの。研究所で必要なら確保するの》
《子供のギャンゴですか? 非常に興味深いです。ギャンゴ研究班が欲しがると思います。できれば50匹全部送って頂けますか?》
《わかったの。ホバーで届けるの。農業プラントの方はどうなの?》
《実験用の稲の生育は順調です。とても楽しい研究です。ナナミ大尉が言うように攻撃用脳波の研究より有意義です。いつかは大規模農業プラントで沢山の『米』を生産したいです》
《それは良かったの。MM378産のお米が食べられるのを楽しみにしているの。『MM米』なの》
《ナナミ大尉、気を付けて戦って下さい。ナナミ大尉はこの星にとって大切な存在です。戦争なんかで死んではいけません。それと、いつか地球に連れてって下さい》
《大丈夫なの、私はムスファなの。地球に行ったら一緒に美味しい物をいっぱい食べるの。私の友達も紹介してあげるの。温泉にも行くの。地球は素晴らしい所なの。じゃあ子ギャンゴを送るからよろしくなの》
ギャンゴ繁殖施設に本部から大型ホバーが到着した。兵士総出で子ギャンゴを大型ホバーの貨物室に追い込んで載せたが、子ギャンゴに噛み付かれる兵士が続出し、超濃硫酸で火傷する兵士もいた。ナナミ大尉と兵士達は子ギャンゴ達を積み込んだ大型ホバーの離陸を見守っていた。
ナナミ大尉は右手に金属の箱を持っていた。
「大尉、その箱は何ですか?」
ポピンズ曹長が訊いた。
「何でもないの」
ナナミ大尉はソッポを向いて答えた。
「キイーー」
箱の中の子ギャンゴが鳴いた。
「箱の中は子ギャンゴですね。どうするつもりですか?」
「ペットにするの、カワイイの」
「大尉、それは危険です。今は小さいですが、ギャンゴは成長が早いのですぐに体長が10mを超え、最終的には20m以上になります。なつく事も無いと思います。それにエサはどうするのですか? ギャンゴは肉食です。もの凄い量を食べますよ。育てきれなくなってその辺に捨てたら大騒ぎになります。大尉はギャンゴ戦のエキスパートですよね、自分の育てたギャンゴを殺す事になりますよ」
「それはイヤなの。ポピンズ曹長の言う通りなの。私が甘かったの。この子もホバーに積むの」
「しかし大尉は不思議な個体ですね。凄く優秀な士官なのに突拍子もない行動をする時があります。失礼ですが子供みたいです」
ポピンズ曹長が呆れたように言う。
「地球にいたせいかもしれないの。地球は自由な星なの」
「地球ですか。食事や音楽や地球人への変身等、地球ブームになってますね。戦争が終わったら地球に行くMM星人が大勢いるかもしれませんね」
「あんまり大勢が行くと地球人と揉めると思うの。私みたいにこっそり行くといいの。そうしたら素敵な恋をするかもしれないの・・・・・・」
「恋? なんですかそれは、食べ物ですか?」
「恋は甘くて酸っぱくて、苦い時もあるの。不思議なの」
ナナミ大尉は恥ずかしそうに、そして少し悲しそうに微笑んだ。




