続 七海ショートストーリー2 VS ジョン・ランボー
『続 七海ショートストーリー』は本編とはまったく関係ありません。「もしも七海がやらかしたら」のコーナーです。
続七海ショートストーリーは本編とはまったく関係ありません。「もしも七海がやらかしたら」のコーナーです。
続 七海ショートストーリー2
『七海 VS ランボー』
私と七海は長野県の高原にいた。久しぶりの遠出のデートだった。都内でレンタカーを借りて私と七海が交代で運転した。七海は運転が上手かった。
「タケル、海もいいけど山もいいの。緑が綺麗なの」
「ああ、空気も美味しいな」
「今日は早起きしてお弁当を作ったの。タケルに食べて欲しいの」
七海が大きなトートバックから弁当箱を出した。私と七海は芝生に敷いたレジャーシートに座って弁当を食べる事にした。幸せな一時だった。私はモーレツに嬉しかった。七海の手作り弁当だ。フタを開けると、えっ、弁当箱の中の半分は白米でおかずが茶色一色だ。なんだこれ? えっ、ソース焼きそば!
「七海、このおかずは何なんだ?」
「タケルの大好きなペユングなの」
弁当の中の半分はペユングソース焼きそばだった。
「いや、好きだけどご飯のおかずにはならないだろ。まして弁当だ、ペユングが冷めてるぞ」
「タケルが喜んでくれると思って一所懸命作ったの・・・・・・」
七海が悲しそうな顔をした。
「わ、わかった。確かに俺の大好物だ、ありがとう。嬉しいよ」
「ほんと? よかったの、作った甲斐があるの」
七海は笑顔になった。カワイイ。
七海も弁当を食べ始めた。えっ、俺の弁当と違う。
「七海の弁当はおかずが違うな?」
「うん、エビフライにミートボールに卵焼きとウインナーなの。ブロッコリーとプチトマトも入ってるし、ご飯には海苔と鮭フレークが載ってるの」
「ペユングじゃないのか?」
「ペユングは大好きだけど、ご飯のおかずにはならないの」
ちょっとムカついた。
『シュッ!』
「タケル、危ないの!」
『ドーン』
七海が私を押し倒すようにしてのしかかってきた。二人の手から弁当が離れて地面に落ちた。50m先で爆発が起きた。
「七海、どうしたんだ? 」
私は七海の下敷きになっていた。
「弓矢が飛んで来たの。あそこなの」
30mほど離れた場所に弓を構えた男が立っていた。七海は起き上がると男に向かってダッシュした。男は矢を放った。七海は走りながら飛んで来た矢を避けながら掴んで先端部分を折った。矢尻の部分は三角錐の爆発物だ。七海は走りながら矢尻を男に向かって投げつけた。男の足元で爆発が起きた。男は5メートルほど吹っ飛ばされた。矢尻にはニトロかセムテックスが詰められているのだろう。
「ノーー!」
男が叫んだ。
七海は立ちあがった男に組み付いて首を後ろから締めあげた。私は二人の元に走った。男は上半身裸で、カールした長髪の頭に赤いバンダナを巻いていた。西洋人だ。見たことがある顔だった。
「あなたは何者なの?」
七海は男の喉仏を指で強く摘まんだ。
「痛ててててて! やめろ」
「いいから名前を言うの!」
「俺の名は『ジョン・ランボー』。元グリーンベレーだ」
男が答えた。
「何が目的なの?」
「B7の仲間を暗殺するのだ。CIAと大佐の命令だ」
「B7ってユモさんの事か? ただ筋トレを教えてもらっただけだ」
またしてもB7絡みだ。いったいユモさんは何者なんだ?
ランボーは後ろから組み付いている七海を腰を折って前に投げ飛ばした。七海は投げ飛ばされて背中から地面に叩きつけられた。
「もう許さないの! せっかく作ったお弁当が台無しなの!」
「俺は女とは戦いたくない。邪魔をするな」
七海は起き上がると同時に飛び上がり、ランボーに膝蹴りを叩き込んだ。
「ウゲッ!」
ランボーはしゃがみ込んだ。ランボーの頭に七海の踵おとしが炸裂した。
「グハッ、オウッ! サノバビッチ、 お前強いな!」
ランボーはフラフラしながら立ち上がると七海に殴りかかった。七海はランボーのパンチを避けると、左右のパンチをマシンガンのように連続で20発ランボーの顔面に打ち込んだ。ランボーの顔がボコボコに腫れあがった。
「ガッデム! 許さん。俺は無敵のヒーローなんだ」
ランボーは大きなサバイバルナイフを抜いた。
七海は素早くサバイバルナイフの刃を握ると手首を捻った。
『パキーーーン』
ナイフの刃が折れた。
「うそっ! うそーーーん! 強すぎだよーー だよ、だよーー お前は何者なんだ!?」
「MM星人のムスファなの。グリーンベレーなんて目じゃないの! 貴方は素手でヒグマに勝てるの?」
「MM星人? ムスファ? 大佐から聞いた事がある。ヒグマはちょっと・・・・・・」
「私は『ムスファ・イーキニヒル・ナナミジョージフランクアマノ』なの。ヒグマに勝てないようじゃ訓練する意味がないの。そんなんじゃ北海道を安心して旅行できなの。そろそろ本気を出すの。決着をつけるの」
「待て、大佐に連絡する」
ランボーは衛星携帯電話を取り出すと電話をかけた。大佐と呼ばれる人物と話してるようだ。
「暗殺は中止する。CIAとトラウトマン大佐はMM星人やMZ会と揉めるのを恐れてるようだ。私はアメリカに帰らせてもらう」
「『そうはいかないの』。お弁当を台無しにした罰を受けてもらうの」
ランボーが地面に崩れ落ちた。七海はポングでランボーを気絶させたようだ。
「七海、どうするんだ? 暗殺は止めたみたいだし、アメリカに帰してやってもいいんじゃないか」
「龍王軒が人手不足なの。バイトが二人辞めちゃったの。店長が困ってるの。だからこの人に働いてもらうの。ポングを発射した時に、アメリカに帰ったら命を失うっていう恐怖のイメージをこの人の脳に焼きつけたの。だから大丈夫なの」
私と七海は気絶したランボーを車で東京の文京区まで運んだ。
【3カ月後】
「七海ちゃん、ジョンのやつ真面目に働いてるよ。人手が足りないから助かったよ。チャーハン炒めるのが上手いんだよ。さすが元グリーンベレーだ」
店長が笑顔で話す。ランボーは龍王軒に住み込みで働いていた。
「それは良かったの」
七海が笑顔で言った。厨房を覗くとコック服を着たランボーが中華鍋をダイナミックに振っていた。頭には赤いバンダナを巻いている。
「タケルさん、七海さん、私の作ったチャーハンです」
ランボーがチャーハンを運んで来た。
「美味い。いい感じに炒めてあるよ。油の量と塩加減が絶妙だ」
私は感想を言った。
「嬉しいです。お客さんが美味しいって言ってくれるのが一番の喜びです。今はジャンボ肉シュウマイの仕込みもやってます。いつか自分の店を出したいです」
「いい事なの。ジャンボ肉シュウマイを出せばきっとお客さんがいっぱい来るの」
「はい、ジャンボ肉シュウマイは本当に美味しいです。作っていると楽しいです。お客さんが笑顔で食べる姿を見ると元気を貰えます。戦うのは空しいだけです。戦場ではヘリを飛ばし、戦車を走らせ、100万ドルの武器も任されたこともありますが、中華鍋一つでいろんな料理を生み出し、人々を笑顔にする事の方が遥かに意味があります」
ランボーは目をキラキラ輝かせていた。
「ジョン、ムダグチタタイテナイデ横川イッテ『アサハ:おいすい水 天然水』カッテキテヨ。ナナミサンノ好物ダヨ」
王さんがランボーに指示を出した。
「ラジャー、行ってきます」
七海は『ランボー』に勝利した。10年後、ランボーは江戸川区に『ランボー軒』をオープンさせた。チャーハンとジャンボ肉シュウマイが人気の店で繁盛した。ランボーは緑のベレー帽被って中華鍋をダイナミックに振っていた。
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