続 七海ショートストーリー1 VS ターミネーターT-800
続 七海ショートストーリーは本編とはまったく関係ありません。「もしも七海がやらかしたら」のコーナーです。
七海ショートストーリーは本編とはまったく関係ありません。「もしも七海がやらかしたら」のコーナーです。
『七海 VS ターミネーターT-800』
デデン デンデ デン♪ デデン デンデ デン♪
私は男に西池袋の路地に追い込まれていた。ミサキの情報ではターミネータが私を狙っているというのだ。
岳「やめろ、何で俺を狙うんだ?」
T-800「俺は『B7』の仲間を排除するようにプログラムされている。未来から来た」
岳「B7ってユモさんの事か? ただ筋トレを教えてもらっただけだ」
男が近づいて来た。逃げようにも路地は行き止まりだった。男はターミネーターだがシュワルツネッガーの姿ではない。ホンジャマカのデブにそっくりだ。かえって怖い。
七「タケル、待たせてごめんね、ゾーンに入って連チャンが止まらなかったの。今日も大勝ちなの。ラーメン全部のせを食べるの。こんな所で何やってるの? 随分探したの」
七海は最近パチスロにハマっている。ポングでパチスロ台に誤作動を起こさせてBIGボースのフラグを立てる事ができるらしい。
岳「七海、助けてくれ! こいつに殺されそうなんだ」
私はホッとした。七海ならターミネーターに勝てるかもしれない。男が七海を見た。
T-800「なんだお前は? 人間じゃないな。体の内部が人間と違う」
男は七海をスキャンしたようだ。
七「あなたには関係ないの。タケルに手を出したら許さないの!」
男は七海の胸倉をつかむと壁に投げつけた。七海は壁に叩きつけられた。かなりの衝撃だ。さすがの七海も顔をしかめる。
七「いきなりズルいの! 許せないの! この人、人間じゃないの。パワーが桁違いなの。だから遠慮しないの。本気でいくの」
七海は弾丸のような速さでダッシュして男の喉に右ラリアットをかました。
『バキーーーーン!』
男の頭部が吹っ飛んで胴体と分離した。頭部は壁にぶつかって地面に落ちて転がった。七海のラリアットは当たる瞬間、腕が鋼鉄のように硬くなるのだ。
T-800「お前は強いな。何者だ?」
頭部だけになった男が言った。顔はホンジャマカのデブだ。偶然こっちを向いている。首から上を無くして倒れている体の手足が駄々っ子のようにバタバタと動いている。
七「バタバタうるさいの」
七海は大きく踵を振り上げると胴体の胸の部分に振り下ろした。得意の踵墜としだ。
『バコッ!』
胸の部分が大きく凹み、手足の動きが止まった。
七「私はムスファ・イーキニヒル・ナナミジョージフランアマノなの」
T-800「MM星人のムスファか。予想以上に強い。データを更新する必要があるな」
七「タケル、この頭持って帰りたいの。暇な時の話し相手になるし目覚まし時計にも使えそうなの」
岳「七海、俺は反対だ! 気持ち悪いし、そのうち頭部のバッテリーが切れて動かなくなるぞ。こんなの粗大ごみに出せないだろ」
七「顔の皮は剥ぐの」
七海は男の頭部の皮をはがし始めた。
T-800「やめろ! 皮膚は結構手間が掛かってるんだ!」
頭部の皮が剥がれ、メタリックで黒い頭蓋骨のようになった。目が赤く光っている。
七「これならメルカレでレプリカとして売り出せばマニアに高く売れるの」
T-800「レプリカじゃない! 本物だ!」
七「バッテリーが切れたら漬物石替わりになるの。丁度ぬか漬けに挑戦しようと思ってたの」
T-800「やめろ! 俺を破壊してくれ。メモリーは残したくない」
七「そうはいかないの。タケルを襲った罰なの。キュウリとナスから始めるの」
T-800「やめろ、ふざけるな!」
七「それが人にものを頼む態度なの? 敬語を使うの!」
T-800「お願いです、止めて下さい」
七「MZ会に持って行けば家庭用電源で動くように改造してくれるかもしれないの。目覚まし時計になるしベランダに置けば防犯グッズにもなるの」
T-800「修理してくれるのですか? 少し嬉しいです」
七「タケルが会社に行ってる間は暇だから一緒にワイドショーを観てお喋りするの」
T-800「うーーん、そんな生活も悪くないかもしれないですね」
T-800「タケルさん、七海さん、朝ですよ、起きて下さい! 6時半です」
七「『ターちゃん』、あと10分、お願いなの、眠いの」
T-800「わかりました。10分したらまた起こします。でもそれ以上はダメですよ。寝坊になります。タケルさんが会社に遅刻してしまいます」
T-800「タケルさん、ハンカチ、スマホ、財布、タバコ、ライターは持ちましたか?」
岳「ああ持ったよ、サンキュー」
T-800「気を付けていってらっしゃい。そろそろ禁煙したほうがいいですよ。では、良い一日を」
T-800「七海さん、3分経ちましたよ、お湯を捨てて下さい」
七「今日はペユングの日なの。湯切りをする時は期待でワクワクするの」
七「この人、前も不倫で騒がれてたの。奥さんと子供もいるの」
T-800「そうなんですか? ひどい男ですね。そんなにカッコよくもないのに」
七「ひどい事件なの。お金が目的なら、なにも殺すことはないと思うの」
T-800「そうですね。早く犯人が捕まればいいですね。最近物騒ですね」
七「私はMM星人を沢山殺したけど、地球人は一人も殺してないの。『ターちゃん』はどうなの?」
T-800「組織の命令で150人くらいですかね。プログラムされるんで仕方ないんですよ」
七「それは多いの。ちょっと引くの」
T-800「えっ、引かないで下さいよ。13時になりました、9チャンネルのドラマ『女たちの空中戦:愛の彼方へ』を観ましょうよ。健一と裕子はどうなるんですかね。裕子は大胆ですよね。そろそろ旦那さんにバレちゃうんじゃないですかね、なんかドキドキします」
七「地球人は不倫が好きなの。私は不倫とか浮気は許さないの」
T-800「タケルさんだってどっかで浮気してるかもしれないですよ」
七「そんなこと言うと時代劇の『怒りんぼ将軍』を観るの。私はメロドラマより時代劇の方が好きなの」
T-800「すみません、もう言いませんから『女たちの空中戦:愛の彼方へ』にして下さい。お願いします」
七海は『ターミネーターT-800』に勝利した。T-800は頭部だけがミニコンポのスピーカーの上に載ってる。目覚まし時計、持ち物メモ、キッチンタイマー、七海の話し相手等、結構働き者だ。
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