74話
母の死から1年が経過し、再び梅の花が芽吹く頃。
冬子は志望校のHPを表示し、仁志、美月と共にPCの前に張り付いていた。
時刻表示が11:00に切り替わった途端、HPを更新すると、大量の数字が画面上に羅列された。
連番が少なく、それだけ合格者にムラがある事が伺える。
「ちょっと美月、何回もカチカチやんないで!分からなくなるじゃん!!」
「もしかしたら秒刻みで更新されてるかもしれないじゃん!その見落としが無いようにしてあげようっていう美月の気遣いを分かってほしいんですけど!!」
「〜〜〜!」
姉妹の下らない言い合いに苦笑いしながら仁志は画面を眺める。
54215…
54254…
54355…
54525…
54547…
54545…
54567…
54575…
54654…
54684…
「冬子、『54554』無いかも…」
「そんな、、パパ、ちゃんと見た?」
美月も番号を探すが、やはり見当たらない。
「お姉ちゃん、、来年頑張るしかないかも。」
冬子は再度受験票を2人に見せつける。
「これだよこれ!『54545』……」
︙
︙
「あれ?あった…?」
仁志が画面を指さし、再度確認した受験票の番号をもう一度確認した。
「お姉ちゃん、、、あったよ!あったーーーー!キャーーーーー!」
美月が金切り声で叫び出し、受験票を再度確認した。
冬子は無言で画面を覗き込むと、そこには確かに「54545」の番号を確認できた。
私…、なんて分かりにくい番号なんだろう…。
サクラサク
冬子は美月が潰れそうになる程強く抱きしめると、頬を擦り寄せながら肩を震わせ嗚咽した。
ママ、私、やったよ。合格出来た………!
仁志も目に涙を浮かべ、無言で娘達を抱きしめた。
「おめでとう、冬子、やったよ、智子………!」