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溶けた恋  作者: ピンクムーン
三章
73/75

73話

智子の葬儀には、厨二企画のメンバーも参列してくれた。


元々皆、それぞれ個性溢れる髪色をしていたが、全員黒く染め直しており、智子への誠意が伺える。


梓馬と目が合い、冬子は思わず駆け寄った。


「梓馬さん、来てくれてありがとう。ママ、エイトビートの動画に出て色々と経験出来たお陰で、幸せな最期を過ごせたと思う。ママの事、笑顔にしてくれて、ありがとう…。」


冬子はハンカチで目元を覆い、梓馬に頭を下げた。


「智子さん、幸せそうな顔で眠っとったね。オレも智子さんから色々教えて貰ったし、勇気も貰えた。智子さんと出会わせてくれてありがとうね、冬子。」



梓馬は冬子の肩を叩きながら、目に涙を浮かべた。




智子の遺影には本人の希望もあり、地雷系ファッション撮影の企画で撮影したものが使われた。


親戚一同、遺影を見て目を丸くする。


「智子さん、ツインテールか…こんな格好する人だったっけ?こんなふざけた写真大丈夫?」

「何か冬子ちゃんと見間違ったよ。ママ、若いんだねぇ」

「ゴスロリ…?」

「メイクが濃すぎて誰だか分からないなぁ。智子さん、あんまりだ。。もっと普通の写真はなかったの?」



こんな事親戚から言われても、多分ママは、何とも思っていないだろう。パパも、全てスルーしているようだ。



母の生涯の殆どは、世間に、親戚に、一生懸命迎合しながら、精一杯生きていたと思う。


しかし、癌になって我慢を辞め、我が儘な自分を通すようになってからは、「自分自身の心の声を聴く事の大切さ」を身を以て教えてくれた。


抑えていた自分を解放できた時の母は、ここに居る誰よりも素敵だった。


そしてやっぱり母は、いくら我が儘を言ってても、最後は家族思いの優しい母だったって事もわかった。



そんな母を、私は誇りに思う。

私も、母に誇れる大人になりたい。


冬子は、自分自身に、そう誓った。



そして、そんな風に思うきっかけをくれた梓馬との恋が、どれほど自分の中で煌めいていて、確かなものだったかを自分の心に戒めた。


冬子はこの先絶対に、自分の心に嘘偽りなく生きていこうと、心に決めた。



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