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溶けた恋  作者: ピンクムーン
三章
56/75

56話(梓馬宅2)

「おじゃましまーす」


玄関をあけるなり、ヨーロッパ騎士の鎧が冬子を出迎えてくれた。

「ぅわ!」


「驚いたやろー!その昔、撮影で使ったやつやけんね、誰しもがコイツには驚かされとる。コイツはこの家の守り神やけん、祈っといて」


梓馬は悪戯な笑みを浮かべた。


鎧のせいで狭くなりすぎた玄関をくぐり抜けると、案外普通の殺風景な部屋が冬子を迎え入れてくれた。


「わー、何か梓馬さんの部屋、玄関の鎧以外ふつう過ぎて意外…。変なオブジェとかいっぱいあるかと思ってたから」

小さなソファーにちょこんと座り、冬子は部屋をキョロキョロと見渡した。


「いや、そういうのは事務所に置いてるけん、ココはただゆっくり眠る為だけの部屋なんよね。」


梓馬は隣に座り、帰り道に買ってきた飲み物と一緒に冬子の参考書をテーブルに広げた。


「さて冬子さん、今日はどの辺が分からんと?」


ソファーが思いの外小さく、梓馬との距離の狭さにに思わず冬子は緊張してしまう。



「やっぱ梓馬さんは教えるの上手♡よく分かった!これからもお願いします!」


「いやいや、もうこれ以上は無理やけん…。冬子、どんどん賢なーて驚いとるよ。冬子なら進路も色々選べると思うし、これからも頑張りぃよ?」


トー横キッズだった冬子がここまで更生できて、梓馬は感無量といった所だった。こんなふうに思うのは梓馬の親心みたいなものだろうか?


今まで1人の女性と正面から向き合うという経験が無かった梓馬にとって、冬子との付き合いは新鮮だった。


ある日突然、冬子が梓馬の懐にぽんと飛び込んできて、それがすごく愛おしいと思った。

今まで梓馬のしてきた、いわゆる「その場限りの付き合い」とは違い、冬子の事をもっと、もっと知りたいと思った。


それから自然と連絡を取るようになっていて、気付いたら冬子が居ない事が考えられなくなるほど、梓馬も冬子を好きになっていた。


それでも、冬子の未来に自分自身が居るとは、考えられなかった。


冬子の成長が眩しいからか、梓馬がもっと仕事へ舵切りしたいからなのか、理由は分からない。けれども、どこかで冬子を手放さないとなとは、思っていた。


「梓馬さん、、急に黙り込んで、どうしたの?」


梓馬の胸にコロンとなだれ込んだ冬子が、梓馬を見上げた。


「冬子…、大好きだよ。」

梓馬は、冬子の横髪をかき分け、そっとキスをした。


「私も、梓馬さんが大好き。これからもずっと一緒にいようね?」


冬子は梓馬の首にしがみつき、強くキスを返した。



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