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溶けた恋  作者: ピンクムーン
三章
54/75

54話 厨二企画に義母の件先倒しにする話打ち明ける

「すみません、あの、来週末からは抗がん剤治療の2クール目がスタートしますので、『義母に呪いの手紙を書く』を叶えたいと思いますが、、よろしいでしょうか?」


厨二企画事務所での企画会議にて、智子は手を挙げて控えめに発言した。



「もちろん、それは智子さんにお任せしますけど、、呪いの手紙、もう渡しちゃうんですか?」


圭介が驚いた様子で聞き返した。

他のメンバーも同様に思ったようで、『呪いの手紙』は企画後半での実現と勝手に想像していたからだ。


(今出しちゃって、義母と気まずくなるんじゃね…?)

皆が思っていた。



「はい、今このタイミングでお願いします。というか、手紙を渡すだけではなく、直接話せる事は話そうと思いまして。


その様子を動画に治めていただいて結構ですので、撮影がてら誰か一緒に同行していただけると有難いのですが…。あ、冬子は同席させないつもりです。」



そんな役回りは基本的に梓馬が請負っていたが、今回は熱血担当の龍之介が挙手をした。


「智子さん、その同行、俺に行かせていただけますか?いや、何かそのばあさん、俺嫌いっす。他人だけじゃなく身内にまでステータスを強要するような奴がまさしく、日本の老害っすよ。必ず智子さんの力になるんで、俺に行かせてもらえないっすか?」



龍之介が過去に、「身内にステータスを強要する奴」と苦い思い出があるとは分かったが、誰もそこには触れなかった。


ただ、龍之介を同行させる事によって、面白い動画が撮れるかもしれないという期待に胸が踊った。



「龍之介さん、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。…、ちなみに、私の『本気の不倫相手』としいうテイで同行していただきたいのですが、お願いできますか…?」



一同目を丸くしたが、そのくらいお安い御用といった感じで、龍之介は答えた。

「そんくらい、余裕っすよ!任せて下さい!」


「頭の堅いばぁさん」からどのようなバッシングを受けるか、内心恐怖も感じたが、メンバーからの「絶対に面白い動画撮ってきて!」の熱視線に抗えず、龍之介は快諾した。


その晩智子は、いざ義母へ「呪いの手紙」なんてものを書こうとしたのに、なかなか恨み辛み節が出てこなかった事に驚いた。


今まで思ってきた義母への嫌な感情、悔しかった事、辛かった事…思い出しても、全てが些細なことのように感じたのだ。


むしろ、なぜ義母はあんなふうに、仁志や冬子含めお受験に執着し、プライドを保っているのか、理由が気になった。


智子はペンを置くと、「嫁と義母の本音対談企画」の構想を1人で練った。


最近はYou Tubeのアイディアがよく浮かぶ。

義母に聞いてみたい事を羅列し、寝床についた。



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