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溶けた恋  作者: ピンクムーン
三章
47/75

47話(ハーブティー美味しいかもね)

30日間のクラウドファンディングは、間もなく終わりを迎える。

智子の想いに胸を打たれた人の気持ちが集まり、目標金額の20万円は達成された。


自己犠牲を辞め、思いを自由に表現する事に対し、多くの人々が協力してくれた事に、智子は驚きを隠せなかった。


良かれと思って我慢してきた。悪いことだと思って自由を拒んできた。

でも、それは全て真逆だったのだ。


我慢せずに自由を求める姿勢こそ、人間の本質であり、多くの人が求めている事なのではないかと、智子は思った。


「ママ、おめでとう。今のママ、最高に格好いいよ。これからもっと格好いい姿、見せてね」


冬子は、見違えるようにはつらつとした母親の手を握り、母親をねぎらった。


「冬子、厨二企画の皆さんのお陰だよ。梓馬さんの事も、悪く言ってごめんね。彼らと私を引き合わせてくれてくれた冬子に感謝してる。ありがとう。」


明日は厨二企画のメンバーと共に山梨県へ向かう。

「プルプルの信玄餅」を食べる夢を叶えるのだ。



「そういえばママ、後でハーブティーの淹れ方、教えてくれない?」

「良いけど……、突然どうしたの?冬子も、みんなも、あまり飲んでなかったのに。」


智子はハーブティーが好かれていない事に気付いていたらしい。なぜ、今まで淹れ続けたんだろう…。



「前ね、飲んでみたら美味しかったんだ。ママの味がしたの!」

冬子は甘えるように笑顔で答えた。


智子は「ふーん、別に今でも…」と言いながら扉を開いた。

「ふ、冬子!ハーブティー無くなってる、、沢山無くなってるよ!?」


「うん、いっぱいあったから結構飲んでみたの!美味しいしかった♡」


「あぁ〜〜、藍蓮花のお茶が無くなってる…。ちょっと冬子〜!」



ママ…、あんなぎゅうぎゅうに詰め込んでたくせに、在庫把握してたの??てか、賞味期限とかあるし早く飲まないと。。


「仕方ないなぁ、冬子、こっちに来て。」

「うん、美月も呼んでみんなで飲もう!」


久々の親子でのお茶会に、胸が弾む。


ママはもう、少ししか生きられないのだろうか?

それでも、残りの時間が許す限り、ママの笑顔が見たいから。


もっともっと、ママの娘でいたい。


冬子は、突然溢れてきそうになる涙を、ハーブティーの湯気で誤魔化した。

やっぱりママが淹れた方が美味しいやと、照れくさそうに笑った。


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