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溶けた恋  作者: ピンクムーン
三章
46/75

46話(智子一人語り動画出す)

後日アップされた動画を見ると、撮影終了後のプリンと梓馬のやり取りもしっかり組込まれていた。


あのシーンはしっかりカメラが回っていたらしく、コメント欄でも反響が大きかった。

また、プリンとのコラボ動画は突出して再生数が多かった。


プリンちゃん、可愛かったなぁ…。

梓馬さん、楽しそうだったなぁ…。

あれだけ仲いいと、プライベートでも会ったりするのかな…?


嫌な考えが頭の中をぐるぐる回り、冬子はベッドの上で枕に顔を埋めた。


考えても考えても答えは出ないので、ハーブティーを淹れて勉強でもすることにした。

今日はカモミールティーを淹れてみる。

そうだ、後でママに、淹れ方教えてもらおう。


台所に詰め込まれていたハーブティーには、最近隙間が表れはじめていた。



その翌日、智子のひとり語り動画がアップされた。

冒頭ではメンバーと智子が一緒に映り、途中から自宅でのひとり語り動画に切り替わり、智子の決意表明がなされた。


「皆さん、初めまして。智子と申します。私は先日胃がんステージⅣと診断を受けました。この厨二企画さんの動画を通じて…」


序盤はカンペを準備していたらしく話にまとまりがあったが、何やら途中からスイッチが入ったらしく暴走しているのが分かった。


「告知を受けた時、私は頭の中が真っ白で何も考える事が出来ませんでしたが、私の隣で夫は震えながら号泣していました。そんな夫を、私は許せないと思いました。…」


その後の、長時間に渡る夫への恨み辛みを語るシーンはざっくりカットされていた。

「こんな風に私は、今まで夫を初め周りの人に気を遣ってばかりの人生でしたが、これからはそんな事は辞めようと思います。……、というか、辞めます。どうか皆さん、私の人生の夢を叶えるのに力を貸して下さい。この夢を叶えて私は残りの人性、本来の自分の姿を取り戻して生きていこうと思うのです。」


母の力強い眼差しを見て、冬子は涙が止まらなかった。母が夢を叶えることが出来るように全力で協力しようと、改めて思った。


その後、智子は抗がん剤治療1クール目の為、約1週間の入院生活が始まった。


抗がん剤副作用では主に吐き気に襲われた智子だったが、クラウドファンディングの資金が順調に集まっている様子を見ると、辛いなんて言ってられないと思った。

私の夢実現企画を応援してくれる人が大勢居る。私はこの人達の為に、この辛い副作用を乗り越えて、夢を叶えなければならない。


その晩智子は、ブックマークしていた史恵のインスタURLを削除し、厨二企画の過去動画を見ながら眠りについた。


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