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38話
女3人で台所に並び、無言で大量の皿と対峙する。
皿を洗うスポンジの音と、水道水の流れる音、食器のぶつかる音だけが延々と鳴り響く中、冬子が口を開いた。
「ママ、、ごめんなさい。こんな事パパに問い詰めなければ良かった…。私……取り返しのつかないこと…」
冬子は溢れてくる涙を止められず、手をふいてリビングへ向かった。
「冬子、いいの。ママ、ずーーーっとパパとか、おばあちゃんに馬鹿にされてばかりで、辛かったの。
それでも、ママが我慢すれば大丈夫って思ってたんだけど、今日のパパには我慢出来なかった!嘘ついてるくせに、あんな偉そうに冬子を言いくるめて、詐欺師みたいだった!
」
智子は何かがふっきれたらしく、清々しい表情で冬子を擁護した。
「ふたりとも、もし、パパとお別れすることになったら、ママについてきて欲しいの。ママが絶対にあなた達を守るから。良いかな?」
「もちろんだよ。」
冬子と美月は頷いた。
智子はホッとしたように「ありがとう」と笑顔になると、洗い物の続きに取り掛かった。