表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
溶けた恋  作者: ピンクムーン
三章
27/75

27話

「ダメだよ、返して、返してよ!」


梓馬の辛辣な言葉に混乱した冬子は、泣きながら梓馬の手元からクロミちゃんを奪い取ろうとした。

梓馬は、そんな冬子の両手を掴むと、冬子の顔を覗き込んだ。


「大丈夫、大丈夫やから、オレがいるけん、オレは冬子の味方やけん。


落ちこぼれとってもさ、意味も分からず無理して頑張っとるよりええやん。オレは今の冬子が好きやぞ。

あとは、目標見つけて這い上がるだけや。


だから…胸張って生きよう?」


梓馬はそのまま冬子を抱きしめた。

冬子の身体が壊れてしまう位。



冬子は、さらにせきを切ったかのように、涙が止まらなくなる程こぼれ落ちた。



梓馬は何も言わず、冬子を抱きしめて離さなかった。





「梓馬さん、、さっきは、私子どもみたいに、あんな態度とって、ごめんなさい。せっかく東京まで来てくれたのにね。」



「?全然気にしとらんよ。俺の方こそ言い過ぎた感があるわ。ゴメン。オレいつもあんなんやけん、知らぬ間に敵ができとる事がよくあってな、気をつけてはいるんやけどね」



「…(笑)そうかもね。でも私、あんだけ泣いたらふっきれたかも。前むいて生きる。ありがとう。


……梓馬さんも、そういうの気をつけなくてもいいよ。どんどん言って世界を救ってよ!私はいつも救われてるから。

あ、『救いたい』系の動画出したら?絶対面白いよ!」

冬子は梓馬に向かって微笑んだ。



「冬子、、元気になって良かった。」


梓馬は冬子を後ろからぎゅーっと抱きしめると冬子の髪に何度もキスをした。


冬子はキャハハと笑いながら梓馬の方を振り向き、お返しにと、首元にキスをする。



梓馬さん、私のために東京まで来てくれて、怒ってくれて、抱きしめてくれて、ありがとう。


こんな私、、世界一幸せ者だよ。

もう、「行かないで」なんて言わない。



学校でも、家族にも、負けない。

頑張って、胸張って生きるよ!



冬子はそのまま梓馬の胸に顔を埋めながら、ベッドになだれ込んだ。

梓馬は冬子を見下ろすと、冬子のまっすぐな瞳を捉え、吸い込まれるように唇に触れた。


何度も何度も唇を重ねては、体温と汗がぶつかり、2人は星屑の中へ溶けていった。






翌朝、起床し時計を見たら9時を過ぎていた。


10時発の新幹線に乗るため、2人は慌ただしくホテルを後にした。


「はぁ〜、間に合った〜。ほんまにあっという間やったね、当たり前か。。じゃ、冬子、元気でな!」



朝2人でゆっくりコーヒーなどを飲む余裕もなく、もちろんゆっくりお別れを惜しむ時間もないまま、梓馬は滑り込むように改札へ滑り込んでいった。


「梓馬さん、元気でね!!あと1ヶ月半頑張って!応援してる!!」



冬子がお別れの挨拶を言うと、梓馬は笑顔で手を振り、そのまま人混みに紛れ見えなくなっていった。



梓馬さん、、ありがとう。

たくさんの勇気を貰った。



明日から、ちゃんと学校行こう。

もう、保健室登校でもいいや。

あの子達も、うざすぎる、嫌いだ。

冬子は一人で頷くと、クラスの女子ライングループの「退会」のボタンをタップした。


現状はあっけなく2秒で変わった。



…そして、親に私の気持ちを話してみよう。


そう決意した冬子は、颯爽と東京駅を後にした。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ