26話
「企画、、邪魔しちゃってごめんね。みんなに迷惑かかったよね?」
東京駅付近のビジネスホテルでコンビニ弁当をつまみながら、冬子は申し訳無さそうに謝った。
「気にせんとよかよ。そもそも、2ヶ月ぶっ通しって無理があるけん、たまの休暇も必要やと思っとったしな。」
冬子が罪悪感を感じぬよう気遣う梓馬の言葉に、冬子は胸が一杯になった。
「オレも、まさか冬子にこんな早く会えるとは思っとらんかった。なんでやろうね、、何か冬子が悲しそうにしとぅけん、ほっとけんかった。」
梓馬は冬子を見つめ、横髪を撫でた。
「こんな可愛い冬子を苛めるなんて、、ゆるせん。そいつらの顔写真合成してアダルト動画でも作って拡散したろーかな。。」
梓馬は真剣な目つきで、楽しそうに話す。
さすがyoutuberだ…。
「まあ、冗談だけど。
そんなコンプレックスの塊みたいな奴ら、相手にする必要なかとよ?
冬子の学校、保健室登校とかあるん?そーゆう制度はどんどん利用してやってけんのか?」
冬子は突然真面目にアドバイスされ、意表をくらった。
「そんなの行ったら、クラスの笑いものだよ。。もう落ちこぼれですって宣言してるようなもんだし。そこからどんどん淘汰されて、皆居なくなるって決まってる。」
冬子が口を尖らせながら答えると、梓馬は続けた。
「いやいや、オマエもう落ちこぼれとぅけん、気にする必要なくね??」
冬子は梓馬のストレートな物言いに言葉を失った。
梓馬はそんな冬子の様子なんて気にせず、間髪入れず続ける。
「いや、成績の問題ではなく、家出して不登校気味なんて落ちこぼれやろ。
そんなとこでプライド持ってたら一生同じ事で悩み続けるよ?やめなよ。」
「オレも学校とか行かないで留年したけどね、保健室登校もしたし、慣れたら教室行ったり、色々彷徨っとぅね。そのうち皆オレの事
そういう奴 として割り切って見てくれるようになるっちゃあね、そうなったらもう、何でもありよ。」
「あ、梓馬さん、、私の事、よしよしと慰めてはくれないの…??」
冬子は梓馬を潤んだ瞳で見つめるが、
「そんな事やるわけないやろ。オレは冬子の事好きやけん、為になる事しか言わん。
いいか?冬子は落ちこぼれとるけん、プライドなんて捨てるんや。」
と、バッサリ切り捨てられた。
そ、そんなぁぁ。
「ひ、酷い…。梓馬さんの馬鹿〜!ク、クロミちゃんのぬいぐるみ返してよぉ〜!」
冬子は涙をポロポロ流し、梓馬に訴えた。
「ダメ。アレは、オレが大阪で相棒にするって決めたけん、誰にも渡さんよ」