表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
溶けた恋  作者: ピンクムーン
三章
25/75

25話

「東京駅、大体20時位に到着予定。会えるの楽しみにしてる!」


1時間後、梓馬からラインが鳴った。

もう少しで梓馬さんに会える……!



その事実があるだけで、

学校であった嫌なことも

ママが受験で私をコントロールしようとしてきても


全然気にならなくなって、ワクワクした気持ちと、苦しくなるほどの胸の高揚感で、頭もお腹もいっぱいになった。




「おい梓馬、お前、何しよっとん?

今日だってお前目当てに来るお客もいるはずやぞ。『2ヶ月毎日オープン』も動画で約束しとったよな?そんなんじゃ、視聴者の信頼も失うことになるぞ…?」


天然の櫻井が珍しくマトモな事を言って梓馬を諭した。


「迷惑かけてゴメン…!この通りだから!!明日また帰ってくるけん、、1日だけ、ほんまに時間下さい、、ゴメン!」



梓馬が一度決めたら引かないと、櫻井も他の仲間も分かってはいた。

また、こんなふうに振り回されるのは毎度のことなので、もう慣れてもいた。


櫻井や仲間達に謝り倒し、梓馬は新大阪駅へ急いだ。



冬子のいつもと異なる様子に違和感を感じ、突発的に帰ると言ってしまった梓馬だが、純粋に2週間ぶりの冬子との再開に胸が踊る。


21時を回った辺り、冬子の携帯が鳴った。

梓馬からだ!


「東京駅到着した!冬子何処にいる?」

「ドトールで待ってたよ、八重洲中央口!」

「そこから動くなよ!」


冬子は冷めたコーヒーを飲み干すと、入口と携帯の交互に目をやりながら、梓馬の到着を心待ちにした。


先に鳴ったのは、ラインだった。

「ドトールついた!出てきて」


冬子は素早くカップを返却すると、風のように店を後にした。


自動ドアを飛び出るとそこには、梓馬の優しい笑顔があって、冬子は居ても立っても居られず、梓馬の胸に飛び込んだ。


冬子の柔らかい髪の毛が梓馬の頬を優しく撫でる。


「おかえり、梓馬さん。すっごく会いたかったの…。ありがとう。」

「冬子、寂しい思いさせてごめん。」


梓馬も冬子を抱きしめながら温もりを感じ、しばし安堵感に浸った。


突然、冬子は思い出したようにニカッと笑いながら梓馬を見上げた。

「これ、地下のガチャガチャストリートで取ってきたの♡お揃いのクロミちゃんが出るまで頑張ったんだー!私だと思って大切にしてね♡」


冬子はマイメロディに登場するクロミちゃんの人形を、満面の笑みで梓馬に差し出した。


これは知ってるぞ、、地雷系の女がよく持ってるキャラや。

冬子め、同じやつが取れるまで何回もやったのか…。


「…サンキュー、さすが冬子って根性あるね!毎晩冬子を思い出すのに使わせてもらおー!」


微妙に下ネタを取り入れた梓馬の返答に、冬子は何の事なのか全く理解出来なかったが、梓馬は喜んでくれたようだ。

どうやら梓馬はクロミちゃんが好きなようなので、これからも色々プレゼントしようと考えながら、冬子は梓馬の腕に絡みついた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ