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溶けた恋  作者: ピンクムーン
三章
24/75

24話

翌日、梓馬からラインが鳴った。


「冬子元気しとる?昨日はUSJで撮影後、配信者のむーたんとやらに絡まれて最悪やった。警察呼んでようやく消えてくれたけん。冬子、むーたんって知っとる?」


怒りのスタンプが3つほど連投されている辺りから、梓馬さんはそこまで怒ってないんだろうと察することが出来た。


「むーたん、知らない。」


とだけ返すと、すかさず

「オレも」とラインが来て、返信する前にいつもの如く着信が鳴った。


「もしもし、いつも最初から電話くれればいいのに(笑)」

「冬子、、元気ないなぁと思って心配になってな」


「そっか、ありがと。てゆうかTwitterで梓馬さん達絡まれたの知ってたし。…あれから大丈夫だったの?」


「それがあの後あいつ、線路内に飛び込みしよってな、しかもガスボンベとか持ってるヤバい奴やん。警察呼んでからも…

いやいや、もうそんなんはどーでもええねん。」


梓馬は一人突っ込みを入れると、少し間を置き改めて冬子に問いかけた。


「冬子、、何かあったか?いつもより元気が無い。」


「梓馬さんって凄いね。なんでそんなすぐ分かっちゃうの…?」


冬子は手で涙を押さえると、学校であったこと、家では母親が前と変わらずいい子を押し付けてくること、だから辛くてトー横に居ることをポツポツと話した。


「まぁでも、大丈夫!むーたんって調べたらこの人相当ヤバいよね?色んなyoutuberに凸して、警察沙汰になってるじゃん?しかも粘着質っぽいし。

厨二企画も粘着されないように気を付けて?」


「……いやいや冬子、オマエは間違っとるよ。

むーたんは置いといてさ、今ヤバいのは自分だって気付いとるか?

もうトー横行くなよ…。」


「な、なによ。梓馬さんはBarで可愛いファンと絡んだり、USJでは大阪のyoutuberさんとコラボしたり、私なんて放置して楽しそうにお仕事してるじゃない。

私だってね、梓馬さんに迷惑かけないように頑張ってるのに…、何でトー横行っちゃいけないの…?私から居場所を奪わないでよ…。」


冬子は堪えていた涙を抑える事ができず、めそめそと泣き出してしまった。


「辛い思いさせてごめんな、冬子。でも、オレだって冬子の居場所でありたいって思っとるけん。

まぁ確かに、大阪着てやる事いっぱいで色々忙しくしとるのは事実や。冬子も話しにくいよな…。


じゃあさオレ、一回東京戻ろーかな?てか今から戻っていい?」



……え?



いつもの如く想定外の梓馬の発言に冬子は困惑するが、「戻る」と言われ胸が高鳴るのが分かった。

溢れて止まらなかった涙は、いつの間にか乾いて跡形もなく消え去っていた。


「冬子、明日予定大丈夫?今から新幹線乗って、夕方には到着するけん、すぐやろ。」

「明日、大丈夫だけど……。今から?仕事の方は大丈夫なの?」

「まぁ、1日位どうにかなるっちゃろ。今は冬子のメンタルが心配やけん…、それに、声聞いたら会いたいなぁーって思ったけん、今から会いにいくし、大人しく待っとけよ!」


梓馬は決めセリフで締めくくると、早々と電話を切った。


今日の東京は一段と冷え込み、夕方からは雪が降るとか。

まさかこんな雪の日に、梓馬に逢えるなんて思ってもいなかった。

桜が咲く辺りまでは我慢しないといけないと思っていた。


冬子は熱いため息を付くと逸る気持ちを抑えきれず、歌舞伎町を後にした。



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