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作戦会議

 俺は一体、何を見せられているんだ?

 連合総合幕僚部から来たワリアワナイ軍参謀が、さっきから独り舞台だ。

「正に帝国の命脈を絶つ歴史的偉業」だの、

「戦争を終わらせる唯一無二の作戦」とか、

 演説を打っている。それに対し、取り巻きらしいのが拍手してるんだが、


 早いとこ本題に入れ。


 今、作戦会議の最中だったよなぁ?何でこんな寸劇を見せられているんだ?場を和ませる為の余興だってか?

 俺は今回の作戦に参加する部隊のひとつ、連合の切り札、「連合最高指揮署」直轄、「第一特殊遊撃戦隊」の指揮官として会議の席にいる。


 第一特殊遊撃戦隊。

 通りは良いが、その実態は、指揮官の俺、ダン=シェシャリングと唯一人の部下というか隊員のリィリィの二人だけの部隊だ。

 何でそんな、通常なら非常識なことになっているかと言えば、リィリィが所謂「戦神姫」という奴だからだ。そして俺は役職名こそ「指揮官」だが、ホントノところ、リィリィの御守り、お目付け役、保護者....パートナーだな。


「諜報処が掴んだ情報の....」

 漸く本題に入ったか。

 余興が長くて何もしていないのに疲労感が半端無い。


「この守りの薄い『ベイダ』の集落に対し、

 ネンピワル軍第5、第6師旗。

 ハラクロイ軍第4、第5、第8旅旗。

 ワリアワナイ軍第7団旗。

 第1、第2攻城群

 を主力として正面から攻撃。」参謀は地図上を指差ししていく。


 《説明》

「師旗」、「旅旗」、「団旗」は部隊の規模を表す単位名。

「師旗」は、この世界で軍事行動を行うのに使用する軍事力の戦略最小単位である。

 1個師旗は2個旅旗。

 1個旅旗は2個団旗。

 1個団旗は2個従隊。

 攻城群は所謂砲兵集団。大口径火砲が集められている。


「その間に、

 ツムヂマガリ軍第5師旗。

 コストワル軍第2、第4、第5従隊。

 および、

 第1特殊遊撃戦隊

 から成る別動部隊はベイダ南方の大森林帯を抜け、」参謀の指は地図上の自陣を出発しスルスルと森を通過、

「背後へ進出。帝国の連絡線を遮断しつつ、敵増援を迎え討つ。」そのままスルスルと集落の背後に難無く辿り着いた。

「そして、ここからが本作戦の主題です。」参謀はベイダを指差しながら此方に向き直る

「連合がベイダを制圧。」トントンと集落の場所を指先で叩く。

「帝国は奪還を図り、必ずやかの『銀鬼』を差し向けてくる」参謀の指がコツコツと叩きながら帝国側からベイダへ近づいて来る

「そこで、此方も21ご、いや、『戦神姫』で銀鬼を迎え討ち、一気に雌雄を決する!」平手でバンッと地図を叩いた。


 うるさい。

 あと、こいつ「21号」て言いかけやがった。未だ兵器扱いかよ。


「『毒を以て毒を制する。』ですか。」発言したのは拍手していた取り巻きの一人。

「おぉ、成る程。まさにまさに。」こちらもあの時、拍手していた取り巻きの一人。


 何が毒だ。言って呉るじゃないか。

 その毒とやらのお陰で、胸をじゃらじゃらさせていられるんじゃないか。


 そうだ、このワリアワナイの参謀とその取り巻きはこういう奴等だった。

 リィリィのことを見下し、便利使いの道具、位にしか見てない。そのくせ、リィリィ有りきの作戦ばっかり立案しやがって。

 今までだってそうだ、一か八かの博打みたいな無謀な作戦も、リィリィの力業、力尽く任せで何とかなっている様なもんだ。なのに、全部自分達の功績にしやがった。しかも戦果が想っていた程じゃ無ければ、此方に責任を持って来やがる。

 誰だ?こんな奴等のこと「半神」だなんて持ち上げやがったのは。お陰で更に調子付きやがって奇を衒う作戦案ばっかり出して来る。巫山戯んな!


 今度はベイダを占領して銀鬼を引っ張り出して、リィリィと一騎討ちだと!?

 一騎討ちさせるのが本来の目的で、その目的のために、小さな集落を攻撃する。その為にこれだけの少なく無い兵力を投入する。


まこと、神の思し召しは凡人の及ぶ処では無い。

 


 しかし、リィリィと銀鬼の直接対決か、

むうぅ、これは、ひょっとして....これは、アリ....なのか?

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