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童話短編など

あまねく全ての命に救済の光を

作者: 楓麗

 大地を焦がすにび色の霧。


 舞い上がる炎は天まで届き、大空を赤く染め上げる。




 大海原に揺蕩たゆたういくつもの影。


 逃げ場を失った生き物たちは母なる海へと再び帰る。




 幾重にも連なっていた山々は既に見る影もない。


 全て土に還ってしまった。


 遥か上空を飛び回る白い天使たちがもたらした黒い雨によって、緑溢れる大地は二度と元に戻らない死の荒野へと変貌を遂げる。




 星を包み込む恐怖と苦痛。


 怒りの感情は幾多にも渡る争いを招き、波紋を描くかのように終わりをうたう。救いを求める叫びも希望を望む願いも既に届きはしない。






「過ちは、再び繰り返された……」






 天よりこぼれ落ちた一滴ひとしずくの涙が静かに星を包み込む。


 灰色の大地には光の花が咲き乱れ、真っ赤に染まる大空は黄金こがね色にきらめく。


 悲しく吹き抜ける風は嘆きを刻む時間と共に停止し、大海原を揺蕩たゆたう影たちは再び光に姿を変えてあるべき世界へと還る。






「あまねく全ての命に救済の光を……」






 黄昏の空に浮かび上がった小さな天使は大きな白い翼を広げる。


 幾多にも渡って降り注ぐ純白の羽が荒廃した大地を優しく覆い尽くし、命を失った世界は温かく柔らかな光に満たされていく。



 小さき天使の手によって放たれる一本の矢。


 光の矢は世界の中心で弾け飛び、無数の矢となって大地に降り注ぐ。


 そして、母なる水の惑星は最期に大きな美しい光の花を咲かせ、再び闇の中へと眠りについた。

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