7 運任せ
「2体は聞いてないよっ!わっ!?ちょっ、熱っ!」
オーラ発動中ではあるが攻撃する余裕が無い為発動した意味が無くなっている。
VITが0なので攻撃を喰らった際のダメージがかなり大きい。
状況は非常に宜しくなく、絶体絶命と言える状態だ。
「ポーションっと。はぁ、何でこんなことに…」
大型で属性持ちのスライムはノーマルスライムよりも数倍強い。
それが1体ならば何とかできただろうが運悪く2体だ。
「一か八か…。はっ!」
大型モンスターはHPが多い。
つまり決定打にもなっていなければ、そもそも一割しか削れていない。
いくら50%も魔力放出していても使用者の攻撃力が高くなければ意味が無い。
「……AGIを攻撃力に変えれればいいんだけど、試してみよ――はっ!」
スキルの一つや二つ取得できればいいなと思いながら全力で切りつける。
勿論スライムは死ななかったが。
「おぉっ!」
運が味方したかのようにアビリティとスキル取得のパネルが表示された。
【閃斬】MP 20
・攻撃時AGI+150
・攻撃時AGIの半分の数値をSTRに加える(【閃斬】で増加したAGIも含む)
・攻撃時魔力放出量+50%
【代償耐性Ⅰ】
・代償を少し和らげる
「運がいいのかな。早速【閃斬】!」
スキル発動と同時にマナの姿が一瞬だけ消えたと同時に一割だけ減っていたスライムのHPが残り4割を切った。
「倒し切れないのか。もう少し強くしよっと。【オーラ】!」
耐性を取得した事によって少しは楽に【オーラ】を使用する事が出来た。
そして現在の魔力放出量は62%。
ちなみに放出量50%以上は耐性が無いプレイヤーならば現実では吐いているぐらいの気持ち悪さと不愉快感が襲ってくるレベルだ。
「【閃斬】!」
そしてHPが削れているスライムは光となって消滅した。
「さて、残りは1体か。閃斬を使いたいけどMPが足りないなぁ」
よくあるゲームみたいなMP自動回復機能は搭載されていない為ポーションで回復させなければならない。
だが勿体無いという理由でポーションを使うのを渋った。
それが後悔へと繋がらなければいいが。
「あ、レベルアップした。タイミングわっる。じゃあ【閃斬】」
レベルアップによってHPとMPが回復したので何も考えずに【閃斬】を2回使った。
当然スライムは消滅した。
そしてマナ対大型スライム2体の勝負はマナが勝利したのであった。
「ふぅ、今回は運任せってのもあったからなー。正直不安だったけど。っと、これは?」
そこにはあほげスライムを倒した時に見たあの光があった。
「レアアイテム…?こ、これは!?」
焔の結い紐 頭
加護 炎:火属性ダメージ半減
※スロットから装備不可能
装備する場合は自分で結うか誰かに結ってもらわなければならない
ダメージを受ける事がほぼ許されないマナにとって耐性装備は非常にありがたいものだった。
「そういえばステータス確認して無かったな」
思い出したかのようにステータスを確認すると…。
マナ
Lv3
HP 200/200 (HP変化無効)
MP 59/59
STR 28 ±0 ±0 (特異RankS)
INT 27 ±0 ±0 (特異RankS)
VIT -2 ±0 ±0 (特異RankG)
AGI 46 ±0 ±0 (特異RankS)
DEX 8 ±0 ±0
LUK 50%
「一気に2レべ上がってる。ステータスは相変わらず……。ん、マイナス?」
特異RankGの意味はレベルアップする度にステータスが-1されるという厄介なものだった。