1 スタート
「ここは…」
目を開くと普段とは違う光景が映っていた。
『TwilightFantasyへようこそ!只今よりプレイヤーの設定をしていただきます!』
「ふぁっ!?」
突として聞こえた声に思わず間抜けな声を上げてしまった。
「はぁ、ビックリした。んで設定か」
『視界右上の青い十字に触れ仮想パネルを開き、プレイヤーの設定をしてください。詳しい事は各設定ページの?マークに触れて下さい』
魔奈は青い十字に触れた。
「おっ?」
少し凝った演出と同時にパネルが開かれる。
1ページ目は名前の設定だった。
「名前か…。そのまんまでいっか…、せめてカタカナにするか」
という訳で名前は『マナ』にした。
2ページ目を開いてみると…、なんと『Back』と『Next』以外何も表示されていなかった。
「バグか何かかなぁ。それだったら問題な気がすんだけどって、『キャラメイク』って書いてあんじゃん」
パネルをしっかり見ると一番上の段にちゃんと書いてあった。
とはいえキャラメイクのページに何も書いていない以上次のページに進むしか他に出来る事は無い。
そして3ページ目を開く。
開いてみると武器のページだった。
「剣に杖に弓に槍、そして盾と刀、あとは銃とその他諸々…、何だこれ」
武器の種類の欄に文字化けしている箇所が三つあった。
長年ゲームをやってきたがこんなバグのようなものを見るのは初めてだ。
「まっ、後々分かるだろ」
今は文字化けの部分はスルーし、武器の種類を色々確認した。
長剣から順に見ていると魔奈の興味を引くような武器を見つけた。
「特殊剣か…」
特殊剣(魔法剣)…長剣、短剣と違いアビリティの【オーラ】を使い戦います。攻撃力・魔法攻撃力どちらも強力ですが、その分代償があります。耐えられない方は他の武器をお使い下さい。
※ウェポンステータス【魔力放出量】が表示されます
「なかなか面白そうな武器じゃないか。ん-じゃ、これにすっかな」
特殊剣を選択し次のページへと進んだ。
4ページ目。
なんとこのページも『ステータス配分』と『Back』と『Complete』しか表示されていなかった。
このような事態について魔奈は知っていた。
そして今それを思い出した。
それは学校にいる時に真治が言った事。
『噂なんすけどプレイヤー設定の時に本来設定出来るページが設定できなくなる現象が発生するらしいっす。しかもその現象が起きたプレイヤーはステータスが変になるらしいっす。自分その現象起きてないっすから本当か分かんないっすけどね…』
とな。
俄には信じられない事だが、それが起きたという事はその現象を信じるほかなかった。
「まぁでも偶然そうなっただけかもしれんしな。確認はフィールドに入ってから、ってな」
設定完了出来たので『Complete』に触れようとしたが、改めてパネルをよく見るとパネル左下に『Practice』と映っていたのでなんとなく触れてみた。
「なるほどなー。ここで色んな武器を試せると」
特殊剣という選択は揺らがないが他の武器も試したいという好奇心に負けてしまい全ての武器を試してしまっていた。
そして10分。
一応全ての武器を試した。
時間の無駄か無駄じゃないかはよく分からなかったが今後別の武器を使うかもしれないので為にはなったと思う。
気分も満足した所でようやく『Complete』に触れた。
『それではTwilightFantasyをお楽しみ下さい!』
こうして魔奈はマナという一人のプレイヤーとしてTwilightFantasyへとログインしたのだった。