表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/17

〜最終章〜 人間の価値【前編】

―英傑学園―

 そこは七人の鬼が統治する学園。

 鬼女、鬼頭麗子。金王、財前剛。悪裁、高裁判士。悪脳、才加知恵。殺人鬼、金剛寺虎次郎。捏造、曲見真実。冷血ハッカー、オリバーカイゼル。


 だが実は、それこそがルシファーが行った記憶操作の結果に過ぎなかった……。



―真の英傑学園―

 そこは一人の少女によって支配されていた。

 その少女の名前は葛城良子。

 業界最大手の葛城コーポレーション社長葛城信長の一人娘である。

 だがその正体は、数千年前天界戦争にて神に反逆を起こした堕天使ルシファーが転生した人間だった。

 ルシファーは時空を操る事と、記憶を操作する事、そして精神魔法を得意としていた。

 そしてその能力を持って、天界に反逆を行ったのだった。

 だが、七大天使の手によりその反逆は阻止されてしまった。

 そして消滅させられそうになる直前に、ルシファーは自らの魂だけを別の界へ移動させたのだった……。


 その後、ルシファーは魔界にて様々な者に転生を繰り返しながら、しばらくの間身を隠して生きてきた。

 そしてルシファーはある目的の為、魔界より時空を超えてこの現代の少女の魂に自らの意志で転生して来ていた。

 そしてルシファーは、自分の存在が天界の天使達にバレない様に数年人間として生活していた。


 ルシファーの目的、それは天界に対抗する為の武器を手にする事だった。

 そしてルシファーはその手段を人間界の人間が持つ負のエネルギーに見出していた。

 誰も抽出した事が無いが、その力がとても強大なものである事をルシファーはわかっていた。

 そしてそれこそが天界を滅ぼす唯一の方法だと確信していた。

 だがその為には負のエネルギーを半永久的に抽出出来る場所が必要だった。


 そんな時、鬼頭冷道という人間の存在をルシファーは知った。

 そして鬼頭冷道が自分の目的の為に学園を作ろうとしている事を知ったルシファーは、鬼頭冷道を操り、そこの支配者になる事を決めた。

 そしてその学園の中にルシファーは負のエネルギーを抽出する装置を作り出した。

 

支配者となった良子は、生徒のふりをしながら厳しい規制を持って学園の生徒を支配していた。

 そしてその理不尽な支配で出た負のエネルギーを回収する事で、負のエネルギーを回収すると共に、その支配が何も変で無い事を生徒達に植え付けていた。

 そうして無尽蔵なエネルギー回収システムを作り出した良子は、この支配を不動のものにする為、鬼頭冷道に様々な指示と力を与えた。


 そして数年後、冷道の娘である麗子が学園に入学するタイミングで、良子も正式に入学し、麗子を実質的に支配して、麗子に学園の支配をさせることにした。

 そして同時に思惑通りに自由に動かせる様にしておいた才加知恵と金剛寺虎次郎の二人で最初の三鬼衆を創設させ、自分はただの生徒としてただ学園に通う様になっていた。


 だが二年後、ルシファーの想像を超える事が起こってしまった。

 同じ様に冷道に支配を要請していたはずの翌年学園に入学して来ていた鬼頭の娘である鬼頭舞が、冷道の異変に気付き学園の調査を始めたのだった。


 そう、舞はなんと鬼頭冷道の実の娘であり、陽菜より前の妻の子供だったのだ。

 そして麗子にとっては妹にあたる存在だった。

 幼い頃、鬼頭舞はとても病弱であり病院にて幼少期を過ごしていた。

 そんな舞の事を不憫に思った陽菜の提案で、舞の姉になりそうな子供を二人は探していて、その時に出会ったのが麗子だった。

 麗子の顔は、なんと舞と瓜二つと言えるぐらい似ていたのだった。

 その為、これは運命だと思った二人は麗子にどうしても自分の養子としてなって欲しかった。

 だが、この事実は麗子には一度も明かされる事は無かったのだった。

 

 舞は虎次郎と知恵の事もよく知っていた。

 そして麗子と冷道の態度が段々変わっていることに違和感を覚えていた。

 だが舞が何を言っても二人ははぐらかすだけだった。


 そして舞は、二人がおかしくなったのが学園創設からだと気付き、操られているふりをしながら、学園の支配を一緒に行っていた。

 

 そして全員がその舞という女性の事を思い出していた。

 彼女こそ全てを兼ね備えている人物だった。

 美しすぎる美貌は麗子と遜色なく、それでいて知性的でもあり、武道にも長けており、それでいてみんなに優しかった。

 

 ルシファーは最初その異変に気付けなかった。

 だが、負のエネルギーの抽出が遅くなっている事に気付き、冷道の下を訪れた。

 だが、なぜか冷道は良子の事をわかっていなかった。

 その時点でルシファーは気付いた。

 

(何者かが精神支配を解いた……)

(いや……精神支配にかかっていない何者かがこの学園にいる……)


 そしてルシファーはその人物の特定を始めた。

 同じ頃、全ての真実を知っている舞は虎次郎、知恵、そして新たに加わったカイゼルと真実に個々で協力を要請し始めていた。


 そして今、記憶が正常なものに正された事で、それぞれがその時の事を思い出していたのだった……。



【カイゼルの記憶】

(カイゼル)「舞さん、何を言ってるんですか?」


(舞)

「カイゼル、よく聞いて」

「この学園は何かよくわからない者が支配している気がする」

「お姉ちゃんはあくまでその人物の指示で動いてるだけだと思う」

「そしておそらくパパも……」

「私は二人を救いたいだけなの!」

「だからその為ならいくらでも出すから協力して欲しいのよ」


(カイゼル)

「……まー僕を七鬼衆に誘ったのは舞さんですし……」

「いいですよ……その代わり上手くいったら報酬は弾んで下さいね」

「それで僕は何をすればいいんですか?」


(舞)

「……今怪しいと思っているのは葛城良子……」

「前理事長室で一度見掛けた事あるんだけど……どうもお姉ちゃんの友達って感じでは無かった……」

「それどころかパパに対しても何か変な態度だったし……」

「それにその女性……理事長室の奥の隠し部屋を知っていた……」

「その部屋は私もお姉ちゃんも入ることが許されなかった部屋なのに……」


(カイゼル)

「……それは確かに怪しいですね……」

「わかりました……調べてみます……」


 そして僕は葛城良子の事をSNSで調べた。

 だけど何も怪しい事は出て来なかったんだ……。

 そして気付いたら僕は……舞さんの存在を忘れていた……



【真実の記憶】

(真実)「……今何て言ったんですか?」


(舞)

「真実、私は貴方の過去を知っている……」

「そしてパパと貴方の父親の関係の事も知っている」

「だからお姉ちゃんが何で貴方を頼っているのかも知っている」

「でもそれでも言わせて」

「貴方は捏造なんかしなくてもいいぐらいの実力を持っている」

「貴方の記事力はそれ程凄いのよ」

「だからお願い、貴方の力でこの学園の闇を暴いて曝け出して」


(真実)「……今更……本当の記事なんか私には書けないよ!」


(舞)「……貴方の親友だった千佳ちゃんも今の貴方の姿は見たくないと思う……」


(真実)

「!?」

「何で……何で舞さんが千佳の事を……?」


(舞)

「私は鬼頭の娘です」

「真実さんの辛かった過去は全てパパから聞いてます……」


(真実)

「そう……なんだ……凄いね……」

「……真実か……久しく追っていなかったからな……」

「それで……私に誰を追って欲しいの?」


(舞)

「葛城良子を調査して欲しいの」

「私も出来る限り協力するからさ……」


 そして私は舞さんに言われるがまま葛城良子の調査を開始した。

 だけど学園の外の葛城良子は普通のお嬢様だった。

 だから私は学園の中での葛城良子を追う事にした。

 気になったのは三点。

 何故か娘以外に理事長室に入る事が出来る人物だということ。

 そして、何故か麗子さんが葛城良子には怯えている様に見える事があるって事。

 そして、舞さんから言われた【秘密の部屋】の存在。

 だけどここには鬼頭冷道が常にいるから侵入出来なかった。

 だけどそんなある日、舞さんと共にその【秘密の部屋】まで私は辿り着いた。

 だけど……そこからの記憶が全く無くて……気付いたら私は舞さんの存在すら忘れていた……。



【虎次郎の記憶】

(虎次郎)「舞、今言った事は本当なのか!」


(舞)

「ええ本当です」

「虎次郎さんは本当は人を殺めていません」

「相手の方はただの病死です」

「その証拠がここにあります」


 そして俺は舞からその証拠を見せられた。


(虎次郎)

「ま……まさか……」

「なら俺は今まで鬼頭冷道に騙されていい様に使われて来たって事か!」


 俺様は怒りのあまり壁をぶん殴り、壁に穴を開けた。


(舞)

「お怒りはもっともです……」

「でもおそらく……その指示を出したのはパパではなく別の人物です」


(虎次郎)「……ん? ……それはどういう意味だ?」


(舞)

「実はパパは空手とか格闘技に興味が全くありません」

「なのに急にあの大会のスポンサーを買って出ました」

「後にも先にもあの大会だけなんです。パパがスポンサーを買ったのは」

「こんな偶然本当にあると思いますか?」

「まるで……最初からこの展開を知っていないとこんな事って起こらないと思います」


(虎次郎)「ん? つまりどういうことだ?」


(舞)

「もし仮に……全てを知っていてそれをパパに唆した人物がいたとしたらどうでしょうか?」

「もしあの時のスポンサーがパパじゃなかったから……私は虎次郎さんはその時に真実を知ることが出来たと思います」

「もしその事実を知っていて、それをネジ曲げる為だけにパパを利用する人がいたとしたら……」


(虎次郎)

「それこそバカな話だ!」

「そんな未来が見える様な人間がいると本気で思ってんのか?」


(舞)

「……今までのは全て仮説です……」

「でも一人だけ貴方の知らない人物で、その仮説に加わった人物がいるのも事実です……」


(虎次郎)「どういう事だ?」


(舞)

「あの時の大会のもう一つのスポンサーは葛城コーポレーションです」

「そしてその娘である葛城良子はこの学園にいます……」

「それも鬼頭冷道が推薦したそうです」

「おかしいとは思いませんか?」


(虎次郎)

「確かに腑に落ちない点はある……」

「あの大会後俺は隔離される様に追い出されたからな……」

「それに……あの麗子が唯一恐れているのも葛城良子だ……」

「こんな偶然は無いかもな……」

「よしっ!」

「俺なりに探ってみるよ……」


 そして俺は葛城良子に直接問い質した。


「お前は本当にあの大会の事を知っていたのか?」


「……やれやれ……貴様誰から聞いた?」


 次の瞬間、俺は葛城良子に対して戦闘態勢を取っていた。

 おそらく無意識で敵とみなしたのだろう。

 だが、気付いたら俺は意識を無くしてその場に倒れていた。

 何をされたのかもわからない速度で、何か攻撃をされた事だけがわかっていた。

 そして俺が意識を取り戻した時、俺は舞の存在を完全に忘れていた。

 そして同時に自分の過去についても何も知らされていない状態に戻っていた……。



【知恵の記憶】

(知恵)

「はー?」

「アンタ自分が何言ってるかわかってんの?」

「そもそも私と麗子の関係わかって言ってんだよね?」

「いくら麗子の妹とはいえども許さないよ!」


(舞)

「知恵さん、信じたくなくても全て本当の事です」

「お姉ちゃんは操られています」

「そしてその人物によって、知恵さんの人生は全く違うものにされた可能性があります」


 そして舞は虎次郎の事件の真相を私に話してくれた。


(知恵)

「う……そ……」

「それが本当なら……何の為に……?」


(舞)

「全てはその人物が虎次郎さんを欲していたからだと思います」

「そして知恵さんにも目を付けたその人物は、故意に知恵さんのイジメを更にエスカレートさせた可能性があります」

「そしてお姉ちゃんに対して絶対的服従をさせることでその人物は知恵さんも意のままに操っていた可能性があります」


(知恵)

「……ちょ、ちょっと待ってよ!」

「私と麗子の出会いもその人物が作ったとでも言うの!?」

「私との関係は全て麗子の意思ですらないとでも言いたいわけ?」


(舞)

「……そこまでの真相はわかりません……」

「ただお姉ちゃんは以前私にだけ話してました」


『知恵とはもっと違う出会い方したかった』

『そしたら知恵と本当の友達になれたのかな?』

『それとももしパパがあんなことしなければ……知恵とはこんな関係にすらならなかったのかな……』

『……何だろ……なんか変な事話してるね……』

『知恵は私のただの右腕なのに……』


(知恵)

「……麗子がそんな事を!?」

「……信じれない! 信じれないけど……でも……」

「よくわかんないけど麗子も苦しんでいるって事はなんかわかったわ……」

「麗子が苦しんでいる以上協力するわ」

「それでどうすればいいの?」


(舞)

「ありがとうございます」

「知恵さんはこのまま七鬼衆として今まで通り活動して下さい」

「その代わり、もしこの女性が理事長室に行くのを見掛けたら私に連絡を下さい」


 そして舞は一枚の写真を見せて来た。

 私はその写真を見て驚愕した。


(舞)

「この人が恐らく全ての真実を知っている人だと思います」

「葛城良子、私達七鬼衆のトップです」


(知恵)

「正気なの!?」

「だって良子さんって麗子ですら恐れて何も言えない人物よ」

「私もあの人の前だと萎縮しちゃうし……」

「そんな人本気で出し抜けるの?」


(舞)

「出し抜く必要はありません」

「ただ良子さんが極秘で訪れている【秘密の部屋】への入り方さえ分かれば大丈夫です」

「恐らくその中で行っている何かが全ての答えに繋がると私は思っています」


(知恵)

「……そう……わかったわ……」

「私も真実が知りたいし……協力するわ」


 そして私は良子さんが理事長室に入って行くのを目撃し、その事を舞に伝えた。

 舞は麗子と協力し、遂に【秘密の部屋】の存在を暴いた。

 だけどその翌日以降、私は舞の存在を忘れて、更に舞から聞いた虎次郎の過去と自分の過去の事についても忘れていた……。



【麗子の記憶】

(麗子)「何馬鹿な事言ってんのよ!」


(舞)

「お姉ちゃんも薄々気付いてるでしょ?」

「あの学園はおかしいって、そしてパパがどんどんおかしくなっていってるって」


(麗子)

「パパは何もおかしくないわ!」

「何も変わっていない!」

「舞こそおかしいんじゃない?」


(舞)「……昔のパパってもっと優しかったよね……」

(麗子)「……」 


(舞)

「最初はママが死んだからおかしくなったのかと思ってた……」

「でもよくよく考えたらそうじゃなかった……」


(麗子)「どういうこと?」


(舞)

「……覚えていない?」

「私達、良子さんに中学生ぐらいの頃会ってるんだよ?」


(麗子)

「えっ?」

「ま……まさか……」

「でも……あれ? あれ?」


(舞)

「私もうっすらとしか覚えてないんだけど……」

「ママの葬式の日、良子さんはパパのところに来ていた……」

「そしてその直後だった。パパが学園を作るって言い出したのは」

「そもそもそこがおかしいのよ」

「実業家で成功していた人が、急に学園の理事長になるなんて言い出すわけないもの」

「そして……お姉ちゃんも昔もっと優しかったよね……」


(麗子)

「そんな事ないわよ!」

「私は今でも優しいわ!」

「ただ学園の為に心を鬼にしてるだけよ!」


(舞)

「……でも学園の支配をしている時や、生徒に粛清をしている時のお姉ちゃんはとても楽しそうに見えた……」


(麗子)「……!」


(舞)

「ねぇ……どうして学園だとあんなに人が変わった様になれるの?」

「学園の支配って何?」

「なんでそんな事しなくちゃいけないの?」


 そう言いながら舞は泣き出した。


(舞)

「私……お姉ちゃんの為に……パパの為に我慢して協力して来たけど……もう限界だよ……」

「私はもう学園の支配も粛清もしたくない!」

「普通に皆んなと仲良く学生生活送りたいよ!」

「なんで恐れられる存在にならなくちゃいけないの?」


 私は舞の問いに何も答えれなかった。

 でも、舞が言っている事がとても正しいって事はわかっていた。


(麗子)

「……わかったわよ……」

「それで何をするつもりなの?」


 すると舞は泣くのをやめて力強く答えて来た。

 

(舞) 

「【秘密の部屋】の存在を暴く」

「私はそこに全ての答えがあると確信してる」


(麗子)

「正気なの?」

「パパも知らないその部屋をどうやって?」


(舞)

「……良子さんがその部屋を使っている事はもうわかっているの」

「問題はその部屋にどうやって入るか……」

「それとその部屋に入る方法を得る事と、実際に入る為には、パパの目を他のところに向ける必要があるって事」

「だからお姉ちゃんにはそこの役目をお願いしたいの」


(麗子)「……何をしようとしてるの?」


 そして舞はその方法を私に話してくれた。

 舞は真実から小型の隠しカメラを渡されていた。

 そしてそれを理事長室に仕掛けて欲しいと。

 そうすれば自分がその部屋への入り方を暴くと。

 だから私は舞に言われるがまま、その監視カメラを仕掛ける手伝いをした。

 そしてそれから数日後、真実から【秘密の部屋】への入り方がわかったという連絡を受けたと舞から聞かされた。

 そしてその日、私は舞の指示通りに良子さんが【秘密の部屋】にいない時間を見計らい、パパに睡眠薬を盛った茶を差し出してパパを眠らせた。

 そして真実とも合流し、三人でその【秘密の部屋】に入った。

 

「何……これ……?」 


 その秘密の部屋を見て私達は言葉を失っていた。

 その部屋の地面にはよくわからない魔法陣の様なものが描かれていた。

そして、その周りを七本の黒い柱が囲っていた。

そしてその魔法陣の中心の空中に漆黒の球が浮いていた。


(真実)「何……これ……スクープどころじゃないんだけど……」


真実は一心不乱に、持っていたカメラでその写真を撮りまくっていた。


(舞)

「……想像以上ね……」

「でもこれで確信したわ……」

「良子さんは何かを知ってるどころじゃなくて、もしかしたら人間じゃない存在かもしれない」


(麗子)

「……だとしてもよ……」

「良子さんは何をしようとしてるの?」

「この黒い球は何?」


 私は恐る恐るその球に触れようとしていた。

 その時だった。


「やれやれ……」

「これを知られてしまったからには生かしておけないな……」


 私はその声のする方を振り返った。

 そこには良子が立っていた。

 いや正確には良子だけど良子じゃない別の何者か。

 真実は良子が現れた時点で気を失っていた。

 私も舞も気を失いかけていたけど、舞はそんな中で良子に問い掛けていた。


(舞)「良子さん……貴方は何者なんですか?」


「貴様如きにそれを答える必要は無い……」


 そして良子は舞の目の前に手をかざした。


「マインドオペレーション」


 そう呟いた直後、舞はその場に気を失った。

 その直後、舞の身体から白い球の様なものが現れた。

 そして良子はそれを握り潰した。


「人間如きが……」


 そして良子は私の方に歩いて来た。

 次の瞬間、私は自分の家にいた。

 そして私の目の前には意識を失った状態の虎次郎と知恵とカイゼルと真実と、恐らく何も聞かされないままただそこに呼ばれた剛がいた。

 そして良子は私の目の前で全員に向かって言った。


「こいつを磔にし、死なない程度に痛めつけろ」

「こいつが何かのきっかけで目覚めたとして、その時何も出来ない状態にしておけば後々安心だからな」


 そして私の目の前で凄惨なリンチが行われた。

 私がどれだけ叫んでもその声は誰にも届かなかった。

 そして私はその場で気を失った。

 次に私が起き上がった時、私は学園にいて舞の存在は忘れ去っていた……。



ルシファーはその直後、何食わぬ顔で義彦の下へ舞を連れて行った。

そしてその後、全員の記憶から舞の存在を抜いたのだった。


(これでよし……)

(これでもう邪魔者も俺の事を探るものもいない……)

(これで予定通りだ……)


 そしてルシファーはどこからともなく高裁判士を連れて来て、今の英傑学園の七鬼衆を完成させた。


 だがそれから数日後、思いもよらない言葉をルシファーは耳にするのだった。


「君が連れ込んだ麗子の妹の舞ちゃんが意識を取り戻したよ」


 ルシファーは義彦が最初何を言っているのか理解出来なかった。


(バカな!)

(魂の無い人間が意識を取り戻す事なんてあるはずがないだろう!)

(一体何が起こった?)


 そしてルシファーは自らの目で確認する為、孤島の病院まで移動した。

 そしてルシファーは外からその様子を見てとても驚いた。


(バカな!)

(本当に意識を取り戻しているだと!?)

(いや……おそらくどこぞの魂が隙を見て入り込んだんだろう)

(よしっ……様子見してみるか……)


 そしてルシファーは再度記憶の改竄を行った。

 そして良子の親友のただの舞という人物を作り上げた。

 そして良子は親友が意識を取り戻したというシナリオの通りに演じることを始めたのだった……。


 そしてルシファーは舞の意識を取り戻したタイミングで自分の家にいる白い猫の異変にも気付いていた。


(コイツ……猫じゃない……)

(何かの魂が入り込んでいる……)


 そしてルシファーは舞と白い猫との精神上のやりとりを聞いて気付いてしまうのだった。


(舞の中にいるのは異世界エルドラドの魔王デスターニャだ……)

(そして白い猫の中にいるのは転生界の奴だ……)

(一体何が起こってるんだ……?)


 それから程無くして良子の家に行くと舞が言い出した。

 そして良子の反対も聞かずに、顔の整形までして良子の家を訪れた舞と白い猫の精神上の会話を聞いてルシファーは思った。


(コイツら……正気か?)

(俺様が作り上げた記憶の中で復讐をしようとしているのか?)

(クックック……これは滑稽だ……)

(元魔王の人間と元転生界の猫に何が出来る?)

(いや……所詮この偽りの記憶の中で何をしても何も変わらない……)

(なのにコイツらはそれに気付いてもいない……)

(それが一番面白い)

(まあこれも余興か……)

(どこまで出来るか見せてもらうとするかな……)

(最早【闇堕ちの玉】は完成したも同然だし……もうあの学園……いやこの世界に興味すらないしな……)



―現在の英傑学園―

(麗子)

「全て思い出した……」

「舞は私の妹……いや妹だった……」

「恐らく私があの時見たのは舞の魂……舞は恐らくこの世にはもういない……」

「今の舞は言うなれば他の誰かが乗り移っただけの存在……」

「だけど……」


 麗子はそう言いながら、ゆっくりと舞の傍まで近づいていった。

 そして、意識を失った舞の手を握り締めた。


(麗子)

「でも誰だか知らないその存在が私を……私達を正しく導いてくれた」

「だから今度は私達が助ける番!」


 麗子は一度握った手をそっと離すと、携帯電話を取り出し電話を掛け始めた。


(麗子)

「今そういう状況なの」

「どうすればいいかな?」

 

(知恵)「私もこれから学園に向かうからそれまで必死で呼び掛けてみて」

(カイゼル)「僕も今から向かいます」

(真実)「私もすぐ向かいます」 


 電話を切った麗子は、再び舞の手を握った。

 そして舞に向かって呼び掛け始めた。


「貴方がいたから私達は真実に辿り着けた」

「そして貴方の言葉があったから私は本当の自分を取り戻せた」

「だから帰って来て!」

「貴方はこんなところで終わる人じゃない!」




(ナレーション)

 舞は麗子の実の妹だった。

 そして人間の中でただ1人、ルシファーからの精神支配から逃れてルシファーに対抗した唯一の人物でもあった。

 だがルシファーの手により、舞は魂を消滅させられてしまっていたのだった。

 そこに入り込んだのが異世界エルドラドの最強魔王デスターニャ……

 そして麗子は舞だったその者に対して必死に呼び掛け始めた。

 それは贖罪かあるいは恩返しか……

 果たしてこの物語はどういう結末を迎えるのか……

 

 〜最終章〜 人間の価値【後編】

 へ続く 

最後まで読んで頂きありがとうございます。


今後の励みに繋がるので、いいねやブックマークの追加、または評価を頂けると嬉しいです。


また、自分のお話を読んで思うことがあれば感想を下さい。


批判的コメントでも構いません。


反応お待ちしてます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
面白いと思っていただけましたら、下の【☆☆☆☆☆】からポイント評価をしてくださると嬉しいです!
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ