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人外と少女の日常。  作者: はるひ
5/5

人外と少女の爆弾発言。



「おにいさん、からださわってもいいですか?」



「……………!?!?!?!?」



いつも通りこいつに見つめられ起こされる朝を迎え、午前中の読書(読み聞かせ)を終え、軽い昼食を取って、ポカポカした陽だまりに心地よいそよ風。

そう、至っていつも通りの日だった。


この時までは……………






「…お、おまえ、なにいって……!?」



「………おにいさんのからださわったら、おにいさんのこともっとしれるかなって…おもって。わたし、めがみえないから、おにいさんのことしらないことばっかりだから……」


ごめんなさい、と小さな声で俯いているこいつはぼくが本気で嫌がっていると思っているらしい。嫌なんだがな!?ヒトに触られるなんて本当は嫌なんだが……



こいつにはいいかもしれない、なんて。



「……あぁもう!!!」


ぼくが声を上げたせいか、ビクビクしていたこいつがビクッと固まる。


「………あ、あのごめんなさ」「触って、今さら怖がっても遅いからな。好きにしたまえ。ぼくの身体でいいのなら、いくらでも触ればいい。」



そう言った途端、ガバッと音がつくようにこいつは顔を上げてぼくをキラキラしたような目で見つめてくる。

こいつに見つめられている時、目が見えないなんて嘘じゃないのかと思うくらい、見つめられている気がするのだ。


その赤い目に映るぼくの姿がやはり、バケモノのようで、思わず目をそらしてしまう。

こいつが見えていないと分かってはいても、見られたくないと思ってしまう反面、こいつなら、ぼくの手を握ってくれるこいつなら大丈夫だと安心出来るような、不思議な感覚に襲われるのだ。




突然、肩あたりにこいつの手が触れた。


思わずびくっと固まってしまう。


「…きゅうに、ごめんなさい。」


「…いや、別に構わない。そこは肩あたりだ。好きにしたまえ。」


そう言うと、こくんと頷いてぼくの身体を触り始めた。

肩あたりから腕にいったり、首にいったり。

肩あたりで腕を必死に伸ばしていたらしく、首の辺りでは手もプルプルしながら必死に伸ばしており、思わず笑みがこぼれてしまう。屈んでやると、ふにゃふにゃな顔でありがとう、ございますと笑うこいつに思わず頬が熱くなった気がするが、触られ慣れてないせいだと思いたい。






こいつはぼくの顔や頭、足まで触ってようやく満足したらしい。ぺこりと頭を下げてぼくから1歩後ろへ離れた。


「……ありがとうございました…!」


「…ヒトとは違ったろう。気持ち悪かったなら途中でやめてもよかったのだ。」


思わず口をついて出てくる自分の言葉に自分自身が傷つくのを感じ、心臓がズキズキと痛む。

そうか、と一言言えば済む話だろ!と自分を叱責するも、出た言葉が消せるはずもなく、不意の沈黙に恐怖すら感じてしまう。


その時、自分の気持ちとは裏腹にクスクスという笑い声が聞こえてきた。


目の前でこいつが笑っているのだ。



「……おい、なにがおかしいのだ。」


「………ふふ、ごめんなさい、、ふふっ。だって、おにいさん、かわいいから。」


……!?かわいい…!?こいつは何を言ってるんだ…!?

未だに笑いを堪えているこいつを見ながら頭で必死にかわいいというのを考えてみるが、一向に自分が当てはまる要素は思い浮かばず、むしろ可愛いのはお前だと言いそうになり、さらに熱くなったと気づく。


「……うるさいぞ。」


「………ふふ、ごめんなさい。」


ぼくの言葉にも未だに笑っているこいつは、全く掴めない。まるで、空気だと思う。掴めないくせに、いつもそばに居る。むかつく。苛立つ。けど、こいつの笑い声を聞いてると、笑顔を見ると、そんなこと忘れて、ぼくも笑ってしまうのだ。










人外と少女の爆弾発言。





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