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アイムキャット❕~異世界キャット驚く漫遊記~  作者: ma-no
第十九章 冒険編其の一 北極圏探検にゃ~
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534 冒険準備にゃ~


 白いサンゴ礁巡り延長戦を終えて白イルカを京の近く、舞鶴まで送り届けると、あとは玉藻に丸投げ。

 白イルカは危険な生き物なのでどうするのかと見ていたら、近くの漁村に世話を任せるようだ。ただ、漁村にだけ押し付けるといろいろ問題が出るだろうから、近くにある宿場町や京から人を派遣するらしい。


 漁村ではちょうど建設ラッシュになっていたから、その家を購入して使うようだ。それも高値で売れたと、村民はウハウハで踊っていた。

 わしはその光景を隠れて見ていたが、村民に見付かってめちゃくちゃ拝まれた。


 ここは、わし達が日ノ本に着いてから、初めて接触を持った漁村。わしが譲った黒い野犬を売って、バブルになっていたようだ。


 村民に拝まれる事で、また現猫神(あらねこがみ)と笑われ、天皇の名代がそんな事を言うものだから、本物の神様だと思われたじゃろ! 村長が死んでも、わしの元へ来ないからな!!


 玉藻のせいで、いまにも死にそうな村長が六文銭を握らせて来たが、投げ返して「近付いたら地獄に落とす」と脅しておいた。これでわしは神様から閻魔様にランクダウン。もう、わしに近付いて来る者はいないだろう。


 白イルカも、玉藻の脅しで村民に受け入れられたようなので、意思疏通が出来るから焼き魚が食べたいと言って来たら食べさせてやるようにと命令していた。どうもヒュウガとマヤは、調理した魚が気に入ったようだ。

 しかし、この巨体を満足させられる量は用意できないと、村長代理お海が申し訳なさそうに断っていた。

 なので、白イルカには漁をさせ、成人男性十人分の量で手を打たせる。その旨を白イルカにも言い聞かせ、食べる量の倍を持って行かせて残りはその対価とした。

 エリザベスキャット号は邪魔にならない場所に停泊させているので、白イルカの寝床にも困らないはずだ。


 これで、白イルカ問題は解決。後に聞いた話では、村民と白イルカは仲良く共存できていたそうだ。



 白イルカの処置が終わると、ようやく猫の国に帰れる。玉藻は事後処理をしてからまた猫の国に来るらしいので、京でお別れ。家康も事後処理をしてから台湾攻略に向かうらしいので、京でお別れ。

 次回の釣りの日取りだけ、リータ達と玉藻達だけで話し合って、猫の国に転移した。


 猫の国、我が家兼役場に帰ると、さすがに三回目ともあり、冒険談を聞きに来る者が減った。今回は釣りに行っただけで目新しさがないし、小説になってから読んだほうが面白いと思っている人も居るようだ。

 もちろん双子王女は小説の売上に関わるので、根掘り葉掘り質問して日記も取り上げられた。


「「これでは内容が薄いですわね……」」

「だから言ったんにゃ~~~!!」


 巨大生物の絵面はいいのだが、戦いに慣れてしまったので、倒し方もマニュアル的。新しい島にも上陸していないので、ドキドキ感が足りないんだって。


「「では、さっそく新しい土地に……」」

「今日、帰って来たばっかにゃ~~~!!」


 わしを猫の国から追い出そうとする双子王女との戦いは、辛くもわしが勝利。というより、準備期間が必要と言ったら、なんとか折れてくれた。


「「ゴロゴロしているだけでは……」」


 準備しているのはリータ達だけ。わしは縁側でゴロゴロしていたら、双子王女に見付かってしまった。なので、他の街を見て来る(てい)で、行った先の街でゴロゴロ。

 これなら双子王女の小言は来ないが、冒険談をしろとのオファーが多いので、結局は休まらない。仕方がないので東の国に行って、我が家でゴロゴロ。

 残念ながら、お休みのフレヤに見付かって撫でられてしまった。しかし、ここで会ったのはちょうどいい。作っていた防具はどうなったかと聞いて、今度リータ達と店を訪ねる事にした。


 その事でわしもやる事を思い出したので、次の日からはせっせっと工作。切ってくっ付けて、戦闘機の改造を行う。

 ヤマタノオロチの鱗は軽くて頑丈だが扱いが難しいと聞いていたけど、なんとか戦闘機の外装として包み込めた。これで予期せぬ攻撃を受けても大丈夫だし、白銀猫の【咆哮(ほうこう)】でも、一発では貫けないはずだ。

 見た目も大きくなり、猫パーティ全員で入っても余裕が出来ただろう。ついでにバスも、ヤマタノオロチの鱗で包んでやった。



 工作も終わったので、イサベレと一緒に訓練しているリータ達もソウの地下空洞から連れ出す。でも、イサベレはいったいいつになったら帰るんじゃろう?

 気になる事はあるが、戦闘機の試運転を兼ねて東の国に出発。思った通り、人間四人と巨大リス一匹を積み込んでも、足も伸ばせて窮屈じゃないようだ。

 オニヒメ用の椅子も作ったので、コリスがさっちゃん2に変身すれば交代で使えるけど、取り外し出来るようにしておいた。たぶん変身しないし……


 戦闘機をぶっ飛ばして東の国に着いたら、フレヤの仕立て屋に直行。ここでイサベレは城に行くと言うのでお別れかと思ったら、あとで合流するそうだ。

 フレヤの店に入ると、さっそく防具の調整。ヤマタノオロチの鱗は、わしがいくら正確に切り分けてフレヤの腕があったとしても、服には加工できなかったようだ。


 リータとメイバイの装備は基本的に、胸当て、腕当て、すね当て、スカートもあるようだ。

 それに追加で、リータには盾とサイズがピッタリのヤマタノオロチ製カバーを二枚。メイバイにはナイフの鞘を作ってもらった。二人用の白い巨象の皮製の長靴も受け取る。


 オニヒメには、鱗で作られた羽織。ほとんど鎖帷子(くさびかたびら)みたいだが、カラフルに色付けされてかわいらしく出来ている。白い巨象の猫耳マントや長靴も新調した。


 コリスには胸当てと、白い巨象の巨大マントと巨大長靴。さっちゃん2サイズも作っておいたが、使っててくれるかは本人次第だ。


 ちなみにわしには、皆と同じデザインの長靴、日ノ本で買って来た鎧兜をマネたヤマタノオロチ製の鎧と、白黒に塗った羽織を作ってもらった。完全に趣味に走ってしまったが、フレヤまで趣味に走っていた。


 切り分けた時に頭飾りの部品が多いと思っていたら、組み合わせたら「Cat」の文字になっていたとは……


 今までの装備と比べると格段に防御力が上がったと思うが、やや動きづらいので、よっぽどの強敵と戦う時以外は出番はなさそうだ。

 わしも、恥ずかしいから鎧兜は飾るだけにしようかな? 【吸収魔法・甲冑】があるから使わないと思うし……



 家臣の防具も発注してフレヤの仕立屋をあとにし、時間が来ると待ち合わせ場所の我が家でイサベレを待っていたら、女王とさっちゃんと愉快な仲間達がくっついて来た。

 何が目的かと聞いたら、わしとコリスを撫でる事と、わし達の防具が気になったらしい。なので、イサベレを含めた批評会。

 城の職人でも、わしとフレヤが作った装備と似たような防具しか作れなかったようだ。なんならわし達のほうが出来がいい。スカートと羽織の細工には、目を見張る物があるらしく、女王はフレヤからアイデアを買おうと考えていた。


 皆の防具批評会が終わると、オオトリはわし。作ってないと言い続けたが、コリスがケーキに釣られてゲロッてしまったので、渋々着替える。


「「プププ……キャット……」」

「だから着たくなかったんにゃ~!!」


 爆笑しないで笑いを(こら)えている事は評価できるが、どちらにしてもムカつく。なので、ポイポイ投げ捨てて脱ぎ散らしてやった。

 ただ、これにも女王は興味を持って、似たような物を作らせるみたいだ。しかし、まだ加工の技術が無いと言うので、こないだ作ったポータブルカッターが売り出されると教えてあげた。


 もっと驚いてすぐに寄越せと言って来るかと思っていたが、商業ギルドから話は行っており、エンマに見本で渡しておいたポータブルカッターも受け取っていたとのこと。

 だが、短時間しか使えなくて切り分けに苦労したらしいので、早くモーターを出荷してくれと言われた。

 早くと言われても、わしは指示を出しただけで出荷予定は知らない。だから急がせるとだけ答えて、何も動かないつもりだ。もちろんわしの考えなど女王に筒抜け。ハニートラップを仕掛けて来たので、あの件を引き出してみた。


「東の国に売ったバスって、いまにゃん台だったかにゃ? 実際に見て数を確認したいにゃ~」

「サティ! パース!!」


 やはりバスを分解したのは女王で間違いなさそうだ。胸に埋まっていたわしを引っこ抜いて、さっちゃんに投げ付けたから確実だろう。でも、そんな事をするからわしにバレたんじゃぞ?


 女王に文句を言いたかったところだが、さっちゃんに捕まったからにはなかなか抜け出せず、どちらの話もうやむやになってしまった。



 女王やさっちゃんがモフモフに満足したところで帰ると言ったら、イサベレも付いて来ようとする。なので、熨斗(のし)を付けて返そうとしたが、女王が受け取ってくれない。


「いまは冬で獣も動かないから、しばらくは大丈夫よ」

「でもにゃ~。これから長旅ににゃるかもしれないしにゃ~」

「イサベレの代わりに、リンリーも居るから大丈夫よ」


 リンリーは誕生祭以降、城にある宿舎に住み込みで暮らしている。名目は、わしの派遣した友好騎士。女王や王族の護衛、戦闘訓練の先生なんかもしている。

 もちろんタダではなく、リンリーには高額の給金が支払われ、猫の国にもレンタル代が入って来ている。


「まぁそうにゃろうけど……アレから進展はあったにゃ?」

「聞いた話だと、まだまだね。手も繋げていないらしいわよ」

「リンリーは押せ押せに見えたのに、意外と奥手だったんだにゃ~」

「ウフフ。初々(ういうい)しくて、報告を聞くのは面白いわよ。うちも、恋愛小説でも出してみようかしら」

「またうちの商売をパクるにゃ!?」


 近所のおばちゃんみたいになった女王からリンリーの近況を少し聞いたら、とっとと猫の国に帰る。



 それから数日、防具の最終調整と恐怖の乱取りをわしはさせられる。みんなして、わしに殺気を向けて攻撃をして来るから怖かったんじゃもん!

 その甲斐あってか皆のコンビネーションはさらに円滑になり、準備は整った。


 わしたち猫ファミリーに加えてイサベレ。猫パーティは、猫の街にある三ツ鳥居集約所にて、双子王女達に見送られる。


「今度は、もっとドキドキするような冒険をして来るのですわよ」

「人を見付けて、温かい交流なんかでもいいですからね」

「わかってるにゃ~。それじゃあ行ってきにゃ~す」


 こうしてわしたち猫パーティは、まだ見ぬ土地を目指して、猫の街から旅立つのであった。


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