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隠された思い  作者: 考える人
2/2

描く理由


 次の日、学校に着くと、なぜかいきなり職員室に呼び出された。


「さて、なぜ呼び出されたかわかるか?」


 俺の担任であり、美術教師である大ちゃん(本名は大悟)が、俺に呼び出された理由を尋ねてくる。

 ちなみに、あだ名ばかり呼んでいるせいで、名字は覚えていない。


「まったくわかりません」


「これはなんだ?」


「げっ」


 それは、俺が昨日美術室で書いたリンゴの絵だった。

 しまった、持って帰るの忘れてた。


「今日の朝、学校に電話がかかってきてな。

 『昨日の夜遅くに、校舎の明かりがついていた』ってな。

 それで美術室を調べてたら、この絵があったってわけだ」


「いや、それは、その……昨日の放課後に-----」


「昨日俺が最後に戸締りしたときには、こんなものなかったぞ」


 ぐう……


「こんな個性的な爆弾の絵を描くのはお前くらいしかいない」


 リンゴだよ。


「昨日の深夜、学校に忍び込んだだろ」


 だめだ、完全にばれてる。

 こうなったら……。


「はい、昨日夜遅くに校舎の中に入りました。

 ちなみに、マサルとトモキも一緒でした」


「わかった、あいつらもあとで呼び出しておく」


 ウハハハハハ!よくも昨日は俺のこと置いて帰りやがったな。

 てめえらも道連れだ!


 俺はしばらく大ちゃんの説教を受け、10分ほどしてやっと解放される。


「もう忍び込んだりするなよ」


「はーい」


 そういや、絵を描くの大ちゃんに頼んでみるか。

 美術教師だし、すぐ終わせてしまうはずだ。


「なあ大ちゃん」


「教師をあだ名で呼ぶなって何度言えばわかる」


「実は描いてほしい絵があるんだけど」


「めずらしい頼みだな。

 どんな絵だ?」


「ほとんど完成してるんだけど、仕上げをやってほしくて。

 美術室にある、二人の女の子が笑いあってる絵で……」


「……」


「大ちゃん?」


「え!?あ、ああ、ちょっと最近やることが多いから少し無理かもしれん!!」


 大ちゃんはかなり慌てた様子で、急に書類などをいじり始める。

 そんなに忙しいのか。

 じゃあ無理に頼むのも悪いな。


「失礼しました~」


 そういって職員室から出ていこうとすると、数学教師の山中先生に声をかけられる。


「ナオくん、昨日出した宿題のプリントはちゃんとやったか?」


「やつは大空へと羽ばたいて行きましたよ」


「やってないな?」


 こうして、また10分ほど説教を受けるはめになった。



ーーーーーー


 昼休みになり、俺は一人で美術室へと向かう、

 本当は絵の得意なマサルを連れて行って、絵を描いてもらおうと思ったが、大ちゃんに呼び出しをくらっていた。


 美術室につくが、少女の霊、トモミは見当たらない。

 昨日帰るときに聞いた話では、昼間は姿を現すことができないらしい。

 確かに、昼間に出る幽霊とか聞いたことないもんな。


 俺一人だとできることがないので、しかたなく教室に帰る。

 教室に戻ると、マサルとトモキも教室に戻ってきていた。


「おいナオ!お前よくも大ちゃんにチクりやがったな」


「お前らが置いていったのが悪い」


「そういえば昨日すごい大声出してたけど、本当に幽霊でも見たの?」


「あ~実は-----」


 マサルからの質問に、俺は昨日あったことをすべて話す。

 幽霊にあったなどと言えば、普通は絶対に信じない。

 笑われるかバカにされるかだ。

 けどこいつらは違う。


「まじか!本当に見たのかよ!!」


「すごいすごい!僕も見てみたい!!」


 この通り、何の疑いもなく信じる大バカだ。


「でも気になるな~、なんで絵を描いてほしいんだろ?」


 俺も理由は聞かなかったが、確かに気にはなる。


「なんなら今日の夜、死んだこととかには触れないように聞いてみるか。

 今日も夜十時、校門前に集合な」


「あ、ごめん。

 僕昨日のことが親にばれたから、監視が厳しくなりそうで……」


「俺も」


 なんだよ、マサルがこれないんじゃ絵が書けねえじゃんか。

 しかたない、今日は理由を聞くだけにしとくか。


この三人は、昨日忍び込んで怒られたことをすっかり忘れています。

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