7、やっと人間に戻った
う…………ん?
俺は、目覚めた。
自分を見ると、人間だった頃の本来の姿に戻っていた。
不思議な体験だった。
夢だったのかもしれないが、夢じゃないと思うようにしよう。
だって、本当に経験したと思った方がずっと忘れない。
夢の記憶なんてすぐ忘れるからな……。
それに、あいつならこう言うだろう。
自分がその光景を夢だと思えば夢だし、そう思わなければそれは、夢ではないと。
よっしゃ、今日の日付は、何日かな。
そうだよ、日にちが分かれば夢かどうかなんて……。
あれ?
日にちが思い出せない。昨日の日付も思い出せない。
カレンダーを見ても今がいつなのか分からない。
何故だ? 曖昧になっている……。
首を捻っていると、
「蓮、早く大学に行きなさい! 今日は、土曜日だけど講義があるんでしょ!」
母が下から怒鳴っている。
今日は、土曜日なのか……。
じゃあ、昨日は金曜日だったのか?
変だな……。何か不思議な感覚だ。
俺が身支度を済ませ部屋から出ると、リビングには、朝食が準備されてあった。
だが、時間がなかったため急いで玄関へ向かう。
「あんたが、早く起きなかったのが悪いんだからね。はい、これ弁当。」
いつも弁当なんて作らないのに、今日は、どういう風の吹き回しだ?
「俺、学食がいいんだけど?」
「文句ばっかり言わないの。最近、学食ばっかりだったからたまにはと思って作ったのよ。あ、でも飲み物は自分で買ってね。」
「え! 自腹かよ!」
「当たり前でしょ! この前、お婆ちゃんから五〇〇円貰っていたじゃない。」
俺は、渋々母に見送られ家を出た。
だから、あの五〇〇円はゲームソフトに……。
肩を落胆させながら家を出ると、目の前に自動販売機が見えて来た。