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自動販売機の俺  作者: 黒猫
1/8

1、人間辞めたい

就活なんてくそくらえだ。

そして、人間なんてくそくらえだ。

まぁ、人間のことをそう思っていたのは生まれて物心ついた時からなのだが、こんなにも杜撰でいるとは思わなかった。

というのも、俺が大学四年になって就職活動を始めて、一社も受からないという現実にぶち当たっているからである。

もう、生きることに嫌気がさしてくる。

就活なんて何でやらないといけないんだ?

そうだ。俺が、人間だからやらないといけないんだ。

くそ、人間辞めたい。

そうだな、大空を羽ばたいてどこか放浪の旅に出たいから生まれ変わるなら、鷹とかがいいかもしれないな。

鷹だったら、鳥の王者だからあまり天敵もいないし優雅に暮らせるかもしれない。

そんなことを思いながら歩いていると、目の前にある機械が見えて来た。

あ……。

学校の帰り道。スーパーの近くに君臨している自動販売機。

人がいないことを見計らって……。

さて、俺は、今から何をするのか。

普通にジュースを買うとか考えるやつは、俺の言葉をよく聞いていないやつだ。

俺は、人がいないことを見計らってと言った。

そう、今からすることは、決して人には見られたくない行為をするということである。

それは……。

ガバッ!

いきなりしゃがみ込み、自販機の下に短い手を伸ばす。

こういう時、身長を恨む。

一六〇センチなんて、男の身長でしたら超低いじゃないか。

あぁ、やっぱ人間辞めたい。

そう思いながら、手をまさぐっていたのだが全く金は落ちていなかった。

ちっ……。

今日は、ジュース買えねぇな。

財布の中には、一応五百円玉が入っているのだが分かるだろうか?

この貴重な五百円玉で、中古のゲームソフトが買えるという幸福感。

だからこそ、ジュース一本を買うために貴重な五百円玉を崩すわけにはいかないのだ。

さて、しょうがない。

家に帰るか。そう思っていると、一人の女の子がやって来た。

小学生の高学年ぐらいだろうか。

財布の中身を見て、何やら残念そうな顔をしている。

「あぁ……。お金足りなかった……。」

…………そんな彼女を見て、俺が笑顔ではい、これで買いなよと五百円玉を差し出すなんてするわけがない。

そんなことをするなんて、どんだけ善人なんだよ。

俺は、どっちかって言うと悪人なんでね。

そう思いながら、落胆している彼女を置いて俺は、そそくさと走り去った。

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