<?>シャーシャ、日本男子に真実を告げられる
■以下の文章とこれまでの文章を読み、各問いに答えなさい。
問1.ヤマトーが言う伝説の戦士とは何か?漢字で答えなさい。(10点)
問2.シャーシャの正体をヤマトーが断言した理由を答えなさい。(90点)
わたしはシャーシャ・ホマレー、お兄ちゃんの妹。
いっぱいべんきょうした。
いっぱいはしった。
いっぱいキトレした。
いっぱいたんれんした。
わたしはすごくかしこくなった。
わたしはおとなよりつよくなった。
わからなかった。
わたしがつよくなったのに。
つよくなったのはわたしなのに。
「自分ではわからなかったかもしれませんが、シャーシャちゃんも僕とミミカカと同じ変身の魔法を使ってるんです」
お兄ちゃんがちがうっていった。
わたしがつよくなったのはまほうだって。
わたしはいっぱいがんばった。
たくさんはしった。
たくさんきとれした。
すごくつかれた。
でもがんばった。
お兄ちゃんはたくさんほめてくれたから。
「よく頑張りましたね」
「偉いですよ」
「流石です」
「シャーシャちゃんは天才です」
「シャーシャちゃんはこの世界で一番の宝物です」
お兄ちゃんはわたしをたくさんほめてくれた。
わたしがなにかしたらぜったいほめてくれた。
できなくてもおこらなかった。
「惜しいですね」
「もうちょっとです」
「おぉ、よく自分で気付きましたね」
お兄ちゃんはお父さんみたいにたたいたりしなかった。
いつもわたしのことをみてた。
できなかったらおしえてくれた。
できたらよろこんでくれた。
「もうこんなに走れるなんて、シャーシャちゃんは凄いですね」
「シャーシャちゃんはなんだってできます」
「シャーシャちゃんは僕の宝物です」
いつもほめてくれた。
わたしはだからがんばった。
はしるのも、キトレも、いっぱいつかれた。
つかれたらいっしょにごはんをたべた。
あまくておいしかった。
「「キーミーガーヨーハーアーアー」」
いっしょにキミガヨのうたをうたった。
キミガヨはずっとしあわせになれるうた。
お兄ちゃんといっしょにキミガヨをうたってたらしあわせだった。
わたしはつよくなった。
いっぱいはしったし。
いっぱいキトレしたし。
いっぱいたんれんした。
お兄ちゃんといっしょにがんばったからだ。
わたしがつよくなったのは、まほうなんかじゃない!
わたしはお兄ちゃんにたくさんはなした。
「シャーシャちゃん、何故変身の魔法を使わなかったんですか?うまく言葉を纏められなくてもいいですよ。シャーシャちゃんが思った事を言ってみましょう」
「………あのね、わたしね、つよくなったの」
「………お兄ちゃんとね、キトレしてね、つよくなったの」
「………わたしね、つよくなったの」
「………えっとね、たんれんしてね、つよくなったの」
「………だからね、わたしね、つよくなったの」
お兄ちゃんにわかってほしくていっぱいしゃべった。
お兄ちゃんはまじめにわたしのはなしをきいてくれた。
わかってほしかった。
お兄ちゃんにはわかってほしかった。
「………わたしね、へんしんのまほうはね、わからないの」
「………あのね、あのね、わたしね、つよくなったの!」
「………まほうじゃないの!わたしね、つよくなったの!」
「魔法じゃない………?」
お兄ちゃんはちょっとかんがえてた。
みてたら、むずかしそうなかおをしてたのが、どんどんおどろいたかおになってった。
わたしにたしかめるみたいにきいてきた。
「魔法じゃないんですね、シャーシャちゃん」
お兄ちゃんがわかってくれた!
「………うん!」
わたしはわらった。
「ごめんなさい、シャーシャちゃん。僕が間違ってました」
「………うん、いいの」
お兄ちゃんはまちがったんだ。
でもあやまってくれたからよかった。
「あの………?」
「ん?どうした?」
「なんでヤマトーさんが、シャーシャちゃんにあやまるんですか?」
ミミカカさんがわからないってかおしてた。
「それは俺がシャーシャちゃんに間違った事を言ったからだ」
「まちがったこと?」
「あぁ、中々辛いものがあるが認めなければならない。俺はシャーシャちゃんの事を全然わかってなかった。自分の理解できる範疇に収めようと、シャーシャちゃんの本質を捻じ曲げてしまった」
「?」
ミミカカさんはやっぱりわからないってかおしてた。
「町で、シャーシャちゃんが強い理由を教えた時があっただろう?」
「えーっと?………あ、ありましたありました!」
「その時は何が理由で強いって言ったか覚えてるか?」
「それは、変身の魔法を使ってたからじゃ?」
「あぁ、てっきりそう思ってた。が、違った」
「ちがった?」
「シャーシャちゃんが強いのは変身の魔法を使ったからじゃない」
「変身の魔法を使ったからじゃない?」
「シャーシャちゃんは、信じ難い事に………」
「信じがたいことに?」
さっきからミミカカさん、お兄ちゃんの言葉をくりかえしてた。
お兄ちゃんがなにをいうのかわかってなかったからだとおもった。
「マホショージョだ」
お兄ちゃんがすごくまじめなかおをしていった。
「マホショージョ?」
ミミカカさんがなにかわからなかったかおをしていった。
「マホショージョは、俺の国に伝わる伝説の戦士の事だ」
「伝説の戦士?」
「あぁ、一騎当千どころか万夫不当の完成された戦闘力を持つ」
「そ、そんなに強いんですか?」
「あぁ、滅茶苦茶強いぞ」
「じゃ、じゃあ………ニホコクミとどっちが強いんですか?」
「ん?ニホコクミと?」
お兄ちゃんはなにをきかれたのかわからなかったみたい。
「何を馬鹿な事を」
お兄ちゃんはつまなさそうだった。
「そ、そうですよね、ニホコクミより強いなんて」
「まずマホショージョはニホコクミの中で、最も戦闘力に秀でた者の事だ。そしてそもそもマホショージョに勝てる者は存在しない」
「じゃ、じゃあ!」
「ん?」
「ヤマトーさんもマホショージョなんですか!」
ミミカカさんがきっとそうだってかおでいった。
「い、いや、マホショージョは絶大な戦闘能力を持つ、稀代の美少女のみが名乗る事を許されるのだ」
「そうなんですか?」
「あぁ、俺はマホショージョじゃない………」
お兄ちゃんはなさけないかおだった。
「じゃあ、マホショージョはヤマトーさんぐらい強いんですか?」
マホショージョはつよいニホコクミ。
お兄ちゃんはすごくつよかった。
じゃあマホショージョはお兄ちゃんぐらいつよかった?
「いや、全然?」
でもお兄ちゃんは、すごくふしぎそうなかおでくびをふった。
「やっぱりヤマトーさんは強いんですね!」
ミミカカさんがわらった。
すごくつよいマホショージョより、お兄ちゃんがすごかったからうれしかったんだ。
でもお兄ちゃんはくびをふった。
「あ、違う違う。俺では絶対にマホショージョには勝てない。恐らく戦闘にすらならず、一方的に負ける」
お兄ちゃんはあたりまえのことをいってるみたいなかおだった。
「ヤ、ヤマトーさんが一方的に負ける?」
ミミカカさんはしんじられないことをきいたかおをした。
「えっとな、マホショージョの戦闘力の高さは枚挙に暇がないんだが………例えば素手で戦えば自分より大きな相手を圧倒する。武器を使えばあらゆる目標を粉砕する。魔法を使えば地形を変える」
お兄ちゃんはゆびでかぞえながらいった。
「で、でも、ヤマトーさんだって同じ事ができますよね?」
「段違いなんだ。俺ができる事の比じゃない規模で力を行使できる。蹴り1つで自分の100倍はある様な鉄の塊を吹っ飛ばしたり、武器を使えば破壊不能な目標すら粉砕するし、魔法はもう言葉で説明するのは不可能なレベルの現象を引き起こす」
ミミカカさんはお兄ちゃんよりつよいなんてしんじられなかったみたい。
「………」
ミミカカさんがだまっちゃった。
わたしもすごすぎてぜんぜんわからなかった。
だまったわたしたちをお兄ちゃんがみた。
「うーん、マホショージョの凄さをどうやって説明すればいいのか………。まず、マホショージョは絶対に敗北する事が有り得ないんだ」
「ぜったいに?」
ミミカカさんがききかえした。
「あぁ。マホショージョは希望や可能性がある限り戦い続ける事ができる。そしてマホショージョは存在そのものが希望であり可能性だ。マホショージョは自分が存在する限り、無限の戦闘力を発揮して戦う事ができる」
「………」
やっぱりぜんぜんわからなかった。
「んー、抽象的過ぎたか………。まぁとにかく無敵なんだ。どんな巨大な敵、世界を滅ぼす様な存在を相手にしても絶対に勝つ。俺の故郷の子供達が毎日笑ってられるのも概ねマホショージョのお陰だ」
「………あのねあのね、お兄ちゃん?」
「ん、どうしました?」
わたしはふしぎにおもったことをきいてみた。
「………お兄ちゃんのね、すんでたとこね………そんなにね、すごいね、てきがいたの?」
せかいって、このじめん、このそら?
それをほろぼす?こわしちゃうの?
「おぉ、流石はシャーシャちゃん。目の付け所がいいです。何故か僕の故郷は、やたらと巨大な敵から狙われる事で有名です」
お兄ちゃんのすんでたくにってどんなところだったんだろ?
すごくあぶなそう。
「そんなすごい敵がヤマトーさんの国にはいたんじゃ………だから、ヤマトーさんは旅をしてるんですか?」
「………お兄ちゃんはにげてきたの?」
このくににはせかいをこわしちゃうてきなんていなかったから?
「いえ、僕の国は世界で一番平和な国です。危険さで言ったら、こっちの方が遥かに危ないぐらいで」
でもお兄ちゃんはわらった。
「何故なら敵を跳ね除ける戦力も充実しているんです。マホショージョだけでなく、ヒーロという人達も大勢戦ってます。誰も彼も非常識な強さですよ」
「………あのねあのね、ヒーロってね、なに?」
わからなかったからお兄ちゃんにきいてみた。
「マホショージョと同じぐらい強い男の人達の事です。凄い武器を使って戦う事と、自らの正体を隠す事と、困ってる人を助けるのが多い事が特徴です。まぁそんなマホショージョ、ヒーロのお陰で、その敵の攻撃が原因で死んだ人は皆無です」
「………あのねあのね、お兄ちゃん?」
「はい、なんでしょう?」
お兄ちゃんにたしかめてみた。
「………わたしね、マホショージョなの?」
「はい、そうです。絶対に。間違いなく」
お兄ちゃんはまじめなかおでわたしにうなずいた。
わたしがそんなすごいマホショージョ?
よくわからなかった。
「ヤマトーさん?」
「ん?」
ミミカカさんがそれはおかしいってかおをしてた。
「でも、シャーシャよりヤマトーさんの方が強いです。それにさっきアタシが………シャーシャに勝てました」
うん、そうだ。
わたしよりお兄ちゃんのほうがつよい。
それにミミカカさんにもさっきまけた。
マホショージョはぜったいにまけないのに?
「あぁ、その事か。それはシャーシャちゃんがマホショージョとして覚醒してないからだ」
「覚醒?」
ミミカカさんがききかえした。
「マホショージョがいくら強いと言っても、最初から無敵な訳じゃない。どんな屈強な人間でも最初は子供な様にな。シャーシャちゃんはこれから世界最強というか、比肩するもののない絶対強者となる」
「これから………」
「そうだ、これから強くなる」
「そんな、これからの事なんてわからないんじゃ?」
どうなるかなんてわからなかった。
ほんとにそんなにつよくなるの?
じぶんでもわからなかった。
「実際、片鱗はもう十分に見せてる。むしろ気付くのが遅すぎたと言っていい」
「へんりん?おそすぎた?」
お兄ちゃんのいってることがわからなかった。
「一番わかりやすいところからいこうか。今日の喧嘩だってそうだ」
「今日のケンカ?」
「あぁ。なんで喧嘩になったんだ?」
「それは………わたしがシャーシャにおかしいって言って」
わたしがおこってミミカカさんをたたいたからけんかした。
お兄ちゃんだってさっききいたからしってるのに?
「違う違う」
お兄ちゃんがくびをふった。
「聞きたいのは原因じゃない。なんで喧嘩が成立したかの方だ」
「成立したか?」
「そう。だっておかしいじゃないか。シャーシャちゃんは只の子供だぞ?」
「それは………」
「ミミカカは戦士として修行して、ナイフ1本で灰色の猟犬と渡り合って子供を守りきる程の強者だ。卓越した戦士だと言っていい」
お兄ちゃんがミミカカさんをみてた。
「なんで只の子供の筈のシャーシャちゃんとミミカカの喧嘩が成立するんだ?」
「えっ、それは、ニホコクミとして修行したからじゃ」
「俺はシャーシャちゃんと出会って20日ぐらいしか経ってないぞ?」
「魔法で………」
「シャーシャちゃんが変身の魔法を使ってなかったと言ったのはミミカカだろう?」
ミミカカさんはもうはなすことがなくなったみたいだった。
「そもそも修行については殆どミミカカも同条件でやってるしな。これ以外にも典型的なマホショージョの特徴がシャーシャちゃんには散見されてる」
お兄ちゃんはわたしがマホショージョなりゆうをいった。
「1つ、美少女である事。俺の知ってる限り、マホショージョは例外なく美少女だ。シャーシャちゃんは間違いなくこの項目を満たしている」
「1つ、異国の人間から力を授けられた事。マホショージョの力の芽生えは、尽くが自分と住む所の違う相手から戦う手段を授けられる事から始まる。本来生まれた国が違う俺達が出会う事はなかった筈なのに、シャーシャちゃんは俺と出会った」
「そう、俺とシャーシャちゃんが出会った事そのものが、マホショージョである事の証拠と言っていい。マホショージョは世界から祝福されるんだ」
「………しゅくふく?しゅくふくってなに?」
わからなかったからお兄ちゃんにきいてみた。
「喜ぶ事、嬉しい事、ありがとうって言う事ですよ。この世界がシャーシャちゃんが生まれてきてくれてありがとう、大好きですって言ってるんです。シャーシャちゃんは世界にとって一番大切な宝物なんです」
「………せかいがありがとうっていうの?」
どんなふうにしゃべるのかわからなかった。
「勿論、世界は人間の言葉なんて喋りませんよ?僕も声を聞いた事なんてないです。でも世界はシャーシャちゃんが大好きで、絶対にシャーシャちゃんの事を守ろうとするんです」
「………せかいがまもるの?」
お兄ちゃんのいうことはふしぎだった。
「シャーシャちゃん、ちょっと聞きにくいですが、僕と会う前は………嫌な事がありましたか?」
「………うん」
おとうさんたちにいじめられた。
すごくいやだった。
「ごめんなさい、シャーシャちゃん。でも世界はちゃんと見てたんです」
「………せかいがみてた?」
「はい。シャーシャちゃんが嫌な目に遭ってるのを見た世界は、シャーシャちゃんが僕に会える様にしてくれたんです」
お兄ちゃんがまっすぐわたしをみてた。
「シャーシャちゃんは今、幸せですか?」
「………うん」
「シャーシャちゃんは僕の事好きですか?」
「………うん」
お兄ちゃんとあってからいいことがたくさんあった。
お兄ちゃんのことはすきだ。
「僕もシャーシャちゃんの事が大好きです。………僕達が出会ったのは、世界が動いた結果です」
「………せかいがうごいたの?」
「世界が動いたんです。シャーシャちゃんが幸せになれる様に」
よくわからなかった。
じめんはずっとうごいてない。
「そうでなければ、生まれた所が違う僕達は絶対出会わないんです。だって、僕の生まれた所はずっとずっと東の方にある島国です。出会える訳がないんです」
お兄ちゃんが生まれたくにはすごくとおかったってきいた。
どんなにあるいてもいけないばしょだって。
「………うーん」
わたしはかんがえた。
でもやっぱりわからなかった。
「世界に祝福されているというのがわかりませんか?」
「………うん、わからない」
せかいのことがわからなかった。
じめんはじめんだとおもった。
じめんはわたしにしゃべってこなかった。
「火蜥蜴は言葉を話しませんね?」
「………うん」
「でも火蜥蜴はシャーシャちゃんを助けてくれますね?」
「………うん」
サーちゃんはわたしがおねがいしたらひをだしてくれた。
もしかして!
「………せかいもおなじなの?」
「そうです!」
お兄ちゃんがわらった。
むずかしいもんだいをこたえられたとき、ほめてくれたみたいに。
「話が少し逸れましたが、シャーシャちゃんがマホショージョである片鱗の話でしたね。最後の1つはその類稀な魔法の力です。マホショージョは魔法が得意です。精霊を見る事ができるミミカカより魔法を強く発現させている事が証拠です」
お兄ちゃんのせつめいはそれでおわった。
「だからシャーシャちゃん。貴方が強いのは変身の魔法が理由じゃありません」
「………あのねあのね、お兄ちゃん?」
「はい、何でしょうか?」
「………わたしね、マホショージョだからね、つよくなったの?」
お兄ちゃんがわたしを見てた。
「………わたしね、がんばったの。いっぱいね、がんばったの」
「えぇ、シャーシャちゃんが頑張ったのは僕がよく知ってますよ」
お兄ちゃんがあたまをなでてくれた。
「言ったでしょう?マホショージョは最初から強い訳じゃないって?マホショージョでも、頑張らなかったら弱いままなんです」
お兄ちゃんがわたしをみてた。
「マホショージョである事は、頑張ったら今よりもっと強くなるのがわかってる、保証されているというだけです。シャーシャちゃんが今強いのは、シャーシャちゃんが自分で頑張ったからですよ」
わたしはわたしががんばったからつよいんだ。
わたしががんばったらお兄ちゃんはたくさんほめてくれた。
ちゃんとがんばったから、わたしはつよい。
それがすごくうれしかった。
これからもがんばったら、すごくつよくなれるんだ。
16/11/26 投稿