表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
日本男子、異世界に立つ  作者: 忠柚木烈
日本男子の邂逅
28/154

日本男子、魔法を知る

 俺は今、アニメやゲームで見た色んなものを魔法で実現しようと思っていた!


 大半を諦める事になったが。




 例えば光の魔法のガッカリ感が凄かった。


 SFの代表格的な兵器といえば?

 まず凄まじい威力のレーザー銃や、何でも斬れるレーザー剣を思い浮かべるんじゃないだろうか?


 原理は太陽光を虫眼鏡で1点に収束させて紙を焦がすのと同じだ。

 必要な照射時間が長く、効果範囲が狭いので利便性はかなり低い。

 特に動体に対して焦点を合わせ続けるのが難しく、直接火の魔法で燃やした方が早い。


 レーザー剣に至っては、どういう原理なのかもわからない。

 俺の考えたレーザーで切り落とす形式では、剣というよりギロチンを押し当てる様な形になった。

 どうしてもスパスパ斬るというより、ジリジリ焼き切る感じになってしまう為だ。

 どうやったら剣の形で、スタイリッシュに切断できるのか見当も付かない。


 実際に使ってみると不便でたまらなかった。

 またいずれも大量の光が必要な関係上、光源を直視すると目を焼く恐れがある。

 他にも聖なる光で傷を回復させるとか思い浮かぶが、只の光に傷を回復させる効果はない。


 そんな色々と期待外れだった光だが、視界に関する能力は凄かった。

 遠くの光景も光の精霊に直接目に運んでもらう事で、自由に視る事ができる。

 壁の有無も関係ないが直接目の届かない範囲の光景を視るのは、イメージが難しくなるのでどんな所でも見れる訳ではない。


 何より素晴らしいのは完璧な光学迷彩の実現だ!

 光の精霊に俺の身体を通過する様に頼む事で発現し、何処から見ても破綻のない完璧な性能を誇っていた!

 ただし発動した瞬間、突然真っ暗になって何も見えなくなるという些細な欠点が存在する!


 考えてみたら当然ではある。

 人は目の網膜に届いた、光を映像として認識している。

 光が俺を通過する以上、目には何も映らないのだ。

 完璧な光学迷彩がこの程度のリスクで使えるのなら安いものだ。




 水の魔法は高性能だった。


 超高加圧水刃ウォータージェットカッターは凄まじい威力だった。

 どんなものでも熱したバターの様にスパスパ切れる。

 きっと創作物のレーザーはこの超高加圧水刃ウォータージェットカッターと混同されているに違いない。

 噴射口を広げて運用すれば、今度は高圧放水で敵をなぎ払うのに使そうだ。

 これも大口径のレーザーが焼き払うのに似ている気がする。


 問題があるとすれば、もし炎の攻撃を受けたとしても、水で受け止めてはいけない事か。

 他の3人達にもよく注意しておいた。

「何故なのだ?火に水をかけて消すのは当然なのだ!」

 まぁ普通はそう考えるよなぁ。


「じゃあ俺が遠くで大きな火を起こした後、それに水をかけるから、対爆防御姿勢をしっかりとって何が起こるか自分で確認してほしい」

「何故アレをやらねばならぬのだ?」

「絶対に必要になるからだ。もう鼓膜破くなよ?」

「わ、わかったのだ!」

 この話をする前に粉塵爆発を試した時にもグララは鼓膜を破いている。


 まず遠くの草原を超高温の炎で焼く。魔法で発生させた炎で地面を熱する。

 風で新鮮な空気を送り続けて、炎が完全燃焼できる様に維持し続ける。

 かなり時間を掛けて炙ったので、そろそろ十分な温度になっただろうか?


「総員、対爆防御姿勢!………3、2、1、水蒸気爆発!」

 そこに水をかけた瞬間に起こる、視界を埋め尽くす白い煙の大爆発と巨大な爆発音!

 念を入れてかなり遠くで発現させてよかった。


 非常に温度が高い物質に水が接触すると起こる現象、それが水蒸気爆発だ。

 水の気体変化する温度は100度で、変化しても温度はそのまま保たれる。

 また水は気体に変化すると、その体積が1700倍にも膨れ上がるらしい。

 その為に水が高温の物質に触れると、正に爆発を起こす。


 ちなみにかなり身近に起こる可能性がある爆発でもある。

 天ぷらがおいしく揚がる温度の油を15分間熱し続けると、その温度は400度近くまで到達する。

 その温度だと油は発火点に到達しているので燃え出す。

 慌てて水をかけたりすると水蒸気爆発を起こすという寸法だ。


「このように大爆発を起こす事があるので、炎に水をかけてはいけない」

「………じゃあ火を消す時はどうするの?」

 あ、この質問は困ったな。

 火を安全に消すには風か氷の魔法が必要だけど、前提として科学知識がないと理解できない筈だ。


「シャーシャちゃんは大変いい質問をしてくれました。後で教えます」

 一先ず逃げの一手。

 酸素と真空、分子の運動なんて概念はいきなり言われても理解できまい。




 炎は応用性が極端に低かった。


 爆炎を纏って攻撃する、とか見栄えの良い技は全て危険だ。

 炎を使った攻撃は、燃え移れば自分が火傷する。

 別に術者だからと言って、術の影響を受けないといったうまい話はないらしい。


 ちなみに発現させてからも炎は任意で動かせる。

 だが、何かに燃え移ると操作が難しくなる。

 発現させた直後は魔法だが、燃え移った時点で自然現象と見做されるらしい。

 その為、よく狙って当てないと無駄撃ちになる。


 炎を手元に発現させてからぶつけるのでなく、目標に直接発現させれば百発百中なんじゃないかって?

 それは確かなんだが、実行するのは難しい。実際に目の前にあるもののイメージは強いからだ。

 目の前にあるものが、突然炎に包まれる様をくっきり想像できるんだとしたら、かなり異常と言うべきだろう。

 そういう訳で炎に限らず魔法は、何もない所に発現させてから、ぶつけるのが基本となる。


 後は火の精霊は、任意に対象の温度を上げる事ができる。

 そもそも火は温度上昇に伴う副産物だ。物体の発火点に到達したから火が起こっただけだ。

 正しくは分子の運動を司る精霊といったところだろう。


 俺は武器を赤熱させてから斬り付ける必殺技を思いついた。名付けて奥義・赤熱刀。

 しかし赤熱する程の温度とは約1000度!

 一瞬で投げ捨てたが、もう少しで俺の手は炭化していた事だろう!

 しかも赤熱したマチェットは脆くなっていて、地面にぶつかった瞬間砕けた!


 かろうじて運用可能なのは粉塵爆発だろうか。

 まず事前準備として、砂糖を風で吹き飛ばして運ぶ。

 俺は飲み物に入れても溶けやすい様に、粉砂糖を愛用している。


 小麦粉等は大気中を満たす濃度が4割を越えないと、粉塵爆発の危険性は低い。

 だが粉砂糖は濃度が4割以下でも、粉塵爆発を起こす危険性がある。

 これは非常に粒径が細かく、大気中に撹拌されやすい為で、正に粉塵爆発の触媒にうってつけな特性といえる。


 袋に入っていた砂糖を、何度も復元させて大量にぶちまける。

 風をドーム状に循環させる事で、一帯に停滞させてある。

 もう風下の一帯は、完全に白い煙幕が発生した様な状態だった。


 そして中心に火を起こすと………洒落にならない大爆発を起こした。

 いまいち砂糖が燃えるのが想像できなくて、量を多くし過ぎたらしい。

 粉砂糖が軽いのが幸いして、爆発のエネルギーは殆ど上に逃げた様だが。


 一瞬で超巨大な炎が凄まじい爆発音と共に吹き上がる、粉塵爆発は威嚇効果が非常に高い。

 しかし発現には事前準備が必要な上、精密な制御ができないので利便性は低い。




 雷はとにかく使い辛かった。


 どんな魔法も一度発現させた後は自然法則に従う。

 例えば光は最短経路を進むし、炎は酸素がなければ消えてしまう。

 雷なら近くにある、通電し易いものに吸い寄せられる。

 その性質上、制御するのはあまりに困難だ。

 狙った方向とは、全然関係ない所に逸れる。


 だが雷には夢がある!

 憧れのホーミングレーザーを実現する鍵なのだ!

 荷電粒子砲なら光学レーザーと違い、磁力で任意に曲げられるからだ!


 しかし実際に行うとなると大変である!

 荷電粒子砲を構築しつつ、更に磁気を当てて正しく誘導する!

 精密機械でない俺の脳ではできないに決まっている!


 それならミミカカちゃんの言う通り、最初から真っ直ぐ狙った方が早い!

 撃ちたかったなぁ、曲がるレーザー………。

 っていうかそもそも雷関係ないな。


 ちなみにごちゃごちゃ言ったが実際には試してない。

 荷電粒子砲は俺の知ってる限り実用化されていないし、予想される威力が高すぎる。

 それに機構と過程が複雑でイメージだけで発現できる気がしない。


 そんなこんなで見た目が派手という利点以外、ほぼ実用性がないのが雷だ。

 何より雷を直撃させれば目標は燃えるので、結局火で代用できる時点で優位性がない。




 風の魔法は玄人好みだった。


 攻撃としては竜巻が思い浮かぶ。

 しかし竜巻を起こすには、地表と上空の温度制御も必要でイメージが難しい。

 しかも一度発現すればもう制御は効かず、消すのにも時間がかかる事が予想される。


 だがその真髄は、大気を操作できる事だろう。

 例えば遠くの音を拾う事ができる。

 指向性を持って指定した地点のみの音も拾えるし、広域に無作為に音を拾う事もできる。

 ただし音の重要性は術者が聞き分ける必要があるが。


 また自分の周囲に、空気の層を維持する事もできる。

 無音、無風、無臭で行動できる様になるので、強力な隠蔽能力を発揮する。

 更に氷と組み合わせれば、蛇が温度を感知するピット器官すら欺けるだろう。


 空気の層を維持してバリアができる!………と思ったがこれは無理だった。

 水しぶきや小石等の、実体のある飛来物は防げなかったのだ。

 そういう物を防ぐ場合は、迫る力を別の方法で相殺する必要がある。

 同じ理由で水中で、空気の層を維持する等もできないだろう。


 ところで便宜上風の精霊とは呼んでいるが、大気を操作するのは明らかに風の範疇を超えている。

 おそらくこの精霊は本来は風ではなく、大気の精霊とでも言うべき存在だ。




 重力は有用だが扱いが難しい。


 試しに自分の重力をカットした状態で軽くジャンプした時は、10メートルぐらいの高さまで到達した。

 重力を制御して落下に移り、衝撃を殺して着地したがうまく立てず尻もちをついた。

 ゆったりした着地だったが、感覚があまりに独特すぎた為の醜態だ。


 よく性質を理解して何より自分が感覚に慣れる必要がある。

 だが、重力操作の効果の高さは既に片鱗を見せている。

 応用力が極端に高く、制御の安定性も高い重力魔法は優秀な系統だ。


 ただし重力を一点に集中させて、敵を押し潰す様な運用は考えものだ。

 突然ブラックホール化するかもしれないからだ。

 そうなれば完全に制御不能で、無効化する方法も思い浮かばない。

 万が一に備えてそういう使用は全面的に禁止すべきだろう。




 土の魔法は少しセンスが必要だ。


 制御は簡単で、思った通りの大きさの砂山や石の塊ができる。

 ただし発現させる形については、自然界に存在する形を逸脱してはいけないらしい。

 鍾乳洞にありそうな尖った岩槍は作れたが、刃の様に鋭利な形は作れなかった。


 問題なのは重たい事だ。

 炎等の事象は、自然現象に逆らわない限り、好きに動かせる。

 だが、土の魔法は全て質量が存在していて、単体では動かす事ができなかった。

 重力と組み合わせれば動かせるが、そこまでして使う程の利点が無い。

 発現させる場所は自由なので攻撃に利用する場合、大岩を上空に生成して質量攻撃するのが一番だろう。


 ちなみに地震・地割れ等の、地形が変わる様な魔法は使わなかった。

 大陸棚(プレート)を動かすイメージを正確にする自信がない為だ。

 何が恐ろしいと言えば下手に成功して加減を誤れば、大地を文字通りに引き裂く恐れすらある。

 発現可能かの実験すらせずに封印したので、地震が起こせるのかは不明だ。

 

 また錬金術の類も試してみたが、金属も宝石も生み出せずに終わった。

 宝石は石なんだから出せてもいい気がするが、これは岩槍と同じく自然物しか生成できないせいだろう。

 研磨された後の宝石を想像しているせいで発現されず、研磨されていない原石は俺が正しく想像できない。


 金属も同じく鉄鉱石等の、精製される前の姿を正しく想像する必要があると思われる。

 まぁとにかく土か石しか生み出せない。

 しかしこの仮説が正しいなら、希少鉱石でも原石さえ想像できれば、錬金術は元手なしでできるのだろうか?




 氷の魔法は科学知識的に言うと炎と逆の事ができる。


 氷は実に扱いが容易だった。

 シンプルに冷やすという事に特化している為、利用方法を迷わなくて済む為だ。

 何より重要なのは炎を無効化できる点だ。

 この世界で最も普及している攻撃魔法を無効化できるのは、メタゲーム的に大変強力な性質だろう。


 半径10メートル程の地点の円周上を炎で焼いて円を作る。

「シャーシャちゃん、この円の中を炎で焼いてみてくれますか?」

「………うん。サーちゃん、火を吐いて」

 火蜥蜴(サーちゃん)の火は円周上まで到達すると掻き消えた。


「………サーちゃん、もう1回」

 2度目も同じく炎が消える。

「シャーシャちゃん、ありがとうございます。お陰で炎を消す実験ができました」

「実験だと?今のはヤマトー殿が炎を消したのか?水も使わずに?」

 グララが驚いた様子で尋ねてきた。


「あぁ。そのとおりだ」

 何という事はない。氷の精霊に「この円の中は燃えない様にしてくれ」と頼んだだけだ。

 ただそれだけで氷の精霊は、分子運動を抑制して無害化してくれた。


「国中の魔法使いが敵になりおっても………ヤマトー殿なら1人で倒せるのだろうな」

 グララの言ってる事はおそらく大げさでもなんでもない。

 この世界で魔法といえば炎しかないのだ。

 その炎を無効化できる以上、俺は魔法使いに対する絶対的な優位性を得たも同然となる。


「魔法使い達の攻撃は、この力で全て防ぐぞ!俺には、比類なき魔力が身についた!」

 気が大きくなった俺は、新しき神々にでもなったかの様な大言を吐いた。

 強さが不完全な事を意識し、人に騙されたりして身を崩すのだけは気を付けないといけない。真実の目でよく見る事が大事だ。

 冷静になると、「突然何を言い出すんだコイツ」という3人の目が痛かった。


 ちなみに炎も氷も、分子の運動の結果だ。

 だから両者は同じ精霊なんじゃないのか、という疑問もあった。

 だが炎と氷は明らかに別の事象なので、その精霊達も当然別だった。




 そして忘れてはいけない魔法の系統がある。

 教会の人間は、神の御業だと言って傷を治すらしい。

 きっとこれは、人の生命力に直接働きかける魔法だと俺は推測した。

 生命の精霊の魔法とでも言おうか。


 グララは気付いていないかもしれないが、俺はこの魔法を使って鼓膜を治している。

 放置すれば自然に治る様な負傷なら、自然治癒力を促進させて問題なく治せる様だ。

 多分風邪等の病も、本人に体力さえあればこれで治せると思う。

 放置していても治らない様な、酷い負傷や病については対応可能かどうか不明だ。


 また、身体に直接働きかけられる事から、応用で能力の強化も可能だという事が判明した。

「腕力強………化はしたらまずいな」

 軽はずみな思いつきをすんでのところで中断する。

 腕だけ強化すれば関節が耐え切れず肩からもげるかもしれない。

 あと心臓に凄まじい負荷がかかる可能性もある。


 もっと全面的に強化されるイメージが湧くもの………変身ヒーローだ!

「お見せしよう!」

 グッと反動を付けて腕を構え、一旦ポーズを中断してからワークシャツの前を開ける。


「ヤ、ヤマトーさん、脱ぐんですか?」

 純情なミミカカちゃんが真っ赤になってる。ミミカカちゃん可愛い。

 しかも顔を覆いつつしっかり見てる。ミミカカちゃん超可愛い。


「今から使う魔法に必要な前準備なんだ。気にしないでくれ」

 気を取り直して再び腕を構え、全身に力を行き渡らせる様に大きく腕を回し、全力を込めて肘を曲げ力を滾らせる!

 俺は今、あの力強い正義のヒーローになるんだ!


「とおっ!」

 なりきってジャンプしたら、憧れのヒーローの様に、高く、美しく、カッコよく、ジャンプできた!

 空中でクルリと回転して難なく着地!

 やだ、わたしったら今すっごい笑顔!


 やばい!すごく気持ちいい!どんな魔法よりも最高に気持ちいい!

 あぁ、ファイティングポーズを取る度に体中から凄まじい力が湧いてくる!

 問題は………力を振るう相手がいない事だ。

 身体強化の魔法は絶対試そうと心に誓った。


 俺の身体・思考・感覚を極限まで強化する魔法らしい。

 人間が普段使ってる力は全力の3~7割だとかいうし、スポーツ選手の集中の境地であるゾーンとかも聞く。

 要するに全ての力を出し切って、人体の極限の領域に到達するのがこの魔法だと思われる。


 難点は使用後は心身が極端に疲労し、筋肉を始めとした体組織が破壊され尽くす事だ。

 まぁ疲労も体組織も自然治癒で回復する以上、魔法で治せる範疇だから事実上ノーリスクだが。

 真の問題は心身の酷使と急激な回復の両方で、大変な量のカロリーを消費する事だろう。

 そう思うとお腹が空いた様な気がする。


 ところで血管の中に直接空気を送り込めば、抵抗不能の必殺技になるんじゃないかと思ったが、これは不可能らしい。

 精霊はあくまで自然現象を司っているため、自然に起こりえない事、自然の延長線上にない事は起こせない様だ。

 敵の体からいきなり水分を全て奪って殺す事はできないが、凄まじい発汗を促すとかなら可能という具合だと思う。




 魔法は思った程万能ではない為、有効活用するには様々な知識が必要だという事がわかった。

 それでも使いこなせれば無限大に応用でき、様々な事に使える。


 例えば魔法は勿論戦闘だけでなく、生活にも役立つ。

 風の魔法はドライヤーとして使えるし、これでシャーシャちゃんの髪のケアもバッチリだ。

 氷の魔法はそのまま氷を作ってもいいし、果物を凍らせるのも乙なものかもしれない。

 水の魔法は火や氷と組み合わせれば、適温の真水を好きに生み出せる。


 そんな魔法の実運用面で気にする事は何か?

 それは秘匿性である。


 例えば高威力でも封印した魔法に熱湯がある。

 侮るなかれ、熱湯が頭上から降り注ぐのは鎧でも防げない脅威だ。

 だがただ熱いお湯を生み出すだけなので、魔法の才能がある人間には簡単に真似されるだろう。

 頭上から降り注ぐ100度近いお湯!是非とも御免被る。

 魔法の技術・理屈を秘匿する事は第一義となる。


 だが実際に第三者に俺の魔法が、利用される危険性は低いと思われる。

 使用している精霊自体の秘匿性が高いからだ。

 科学知識も無しに光学迷彩や爆発系の魔法、重力を理解できるとは到底思えない。


 せいぜい土魔法が単純な以外は、超高加圧水刃ウォータージェットカッターがギリギリ怪しいぐらいか。

 超高加圧水刃ウォータージェットカッターを使用した後には、大量の水が残る。

 しかしそれでも噴射口を狭める事で圧力を強める、という発想に至る人間はどれほどいるのか。

 一応技術の露見を避ける為に、使用は雨振りの日や水場の近くに絞り、出来る限り性質を隠蔽するべきだ。




 既存の魔法を無効化し、完全な新機軸の魔法を確立する!

 絶対的な優位性を持った俺!

 正直、負ける要素が思い浮かばない!


 それもこれも全部愛する日本のお陰だ!

 マンガ!小説!アニメ!ゲーム!あらゆるメディアと日本の高い教育水準!

 それら全てが渾然一体となって、俺の発現する魔法の元になる!


 そして何より、精霊のイメージに最も役立っているのは、八百万の神々信仰に他ならない!

 米の一粒にも神は宿る!

 スムーズに精霊に働きかけられるのは、根本に根ざすこの価値観に違いない!


 偉大な日本は俺の身が何処にあっても、力を授けてくれるのだ!

 俺は愛する祖国と天皇陛下に深い感謝の念を捧げた!

16/08/27 投稿

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ