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日本男子、異世界に立つ  作者: 忠柚木烈
日本男子の邂逅
22/154

日本男子、再会する

 俺は今、ミミカカちゃんと喜びを分かち合っていた。


 ここはイテシツォの町。名前の由来はやはりイテシツォさんが治める町だからだ。

 それっぽい言い方をすればイテシツォ子爵領の町イテシツォとなる。ムムカカ村と違うのはイテシツォとやらの名前が家名な事ぐらいだろう。


 ところで爵位の序列とかって一般常識レベルでわかるものだろうか?

 子爵と男爵のどちらが偉いのか等俺は知らない。

 どうせ偉大なる天皇陛下と比べれば、他の有象無象は塵芥も同然なのだから比べても仕方ないと思うが。

 万世一系の大君であらせられる天皇陛下が、世界の頂点にお立ちあそばれていらっしゃるという事実で十分ではないか。


 そう思っていたが爵位が聞き慣れない名前だった。

 孫爵、子爵、弟爵、兄爵、父爵とかいう爵位。子爵はともかく他の爵位に聞き覚えが無い。

 だが爵位内の序列については、名前のイメージの通りらしくてわかりやすい。


 おそらくはそれぞれの序列に応じた領地と軍隊を持っているとは思うが詳しい事までは知らない。なんせ爵位如きに興味が無い。

 ちなみにそれら貴族を統べるのがロガメウキョ国の王、ロガメウキョ6世だ。

 いや、7世って言ってたか?なんせ興味が無いから忘れた。まぁロガメウキョ国王だ。


 爵位と言えば、貴族を名乗るならヤマトー・カミュ・フォン・ホマレーとかの方が良いんだろうか?

 尤もこの世界の、独特な響きの名前を持った奴が相手なら「貴族を表すフォンを名乗る事に意味があるかは甚だ疑わしい」と言わざるを得ない!そこら中で派手にやったる!

 ちなみにフォンはドイツ系、或いはハプスブルク帝国関係の名前に見られるものらしい。

 この世界でフォンを名乗る意味はなさそうだ。


 そもそも貴族を名乗る癖に爵位が無い。1発でわかるニセ貴族だろう。

 まぁ勝手に爵位を名乗ったりしたら、バレた時点で酷い目に遭わされる事は必至だ。

 家名を名乗って爵位が無いとなると、お家が取り潰されて復興を目指して旅してるとかだろうか?

「かつての栄光の日々を忘れず、いつか再起する日を夢見てこのヤマトー、ホマレー家を名乗ってます」と言った感じの。




 しかし、よく自称貴族のヤマトーを門番達は通したものだ。

 ついつい門番達を全力で蹴倒したが、お咎めが無い以上は罪に問われていない様だ。

 今も無罪放免で町の中を歩けている。

 まぁ事の発端に門番側が主張できる正当性も無かった。門番達の怪我は自業自得だろう。


「この街に兵士達がやってきてお前らの身柄を引き渡せと言ったら、その要求を断れる程にお前達の家は強いのかと聞いている!」

か、我ながらよくこんな言葉を咄嗟に言えたもんだ。

 俺はあくまでそういう事があった場合はどうするのか、という仮定の確認をしただけだ。

 間違っても直接兵士をけしかけるなんて話はしてない。


 極力嘘をつかないのは俺の信条だ。

 ただし俺の言葉を相手がどう受け取るかまでは責任を持たない。

 まぁ普段はここまで悪辣かつ積極的に人を騙そうとはしないが。

 今回の門番達に対しては一切良心の呵責がなかった。


 そういえばその町に入る時の遣り取りに、シャーシャちゃんが納得行ってなかった様だ。

 そこでシャーシャちゃんには俺の友達の教えを伝えておいた。

 友達曰く「理屈を作る事、落ち度を失くす事が大事」との事。

 その友達はサービス業をしてる。


 接客する業種なら誰でも知っている事だが、お客様は何様だ。神様じゃない。

 ちなみにお客様は神様というのは、とある有名人が「神様に祈る時のように真摯な気持ちで芸をしてる」と、自分の想いを示した言葉であって諺ではない。

 お客様は神様だ、と自分で言い出す奴には屑しかいないという説には高い信憑性がある。

 この台詞を店頭でほざいたお客様は、店員の独自裁量で死刑に処せる法を制定すべきと思う。


 そんな何様と思う様な連中と接触する仕事がサービス業だが、そこで大事になるのが理屈と落ち度らしい。

「理屈が正しければ言い分が出来るし、落ち度があれば責められる。それは俺と客の、どっちの立場でも一緒の事だ」

と友達は言ってた。


 ちなみに上司が変わってからは

「お客様のクレームには絶対言い返さずにペコペコ謝ってろ」

と言われているらしい。

「仕事辞めたい」

が彼の今の口癖だ。お疲れ様です。




 疑問が解けた様子のシャーシャちゃんと一緒に昼食だ。

 豆の入った冷めた塩のスープ、薄くスライスされたベーコン、カッチカチのパン。

 日によってベーコンがカッチカチのチーズになったりする変化はある。


 が、基本的にスープを除いて全て乾燥してるメニューだ。

 ちなみに何故食事がいちいち乾燥してるのかご存知だろうか?

 それは水気が多いと腐りやすくなるからだ。

 乾燥させると日持ちして、パンでも保存食になるとか。


 また食べたパンは、主観的な感想になるが、なんというか密度が全く違う。

 とにかく千切る時の感触も、噛みごたえも、やたらずっしりしている。

 これは逆に日本で目にする様な、柔らかいパンが世界的には珍しいものだそうだが。


 あまり食事にこだわりはないつもりの俺だが、この食事には辟易した。

 とにかく硬くて飲み込める様になるまで、執拗に咀嚼する必要があるので顎が疲れる。

 例えばベーコンは俺の知ってるジューシーな物とは違う。

 ひたすら硬く、噛みちぎるとブチブチ千切れ、噛みごたえばかりで味わいが無い。

 ところで燻製肉とベーコンでは、燻製肉と言われた方が上等そうに聞こえるのは俺だけだろうか?


 この食事が1食につき銅貨2枚。

 ちなみに食事は朝晩の1日2回が一般的らしい。


 昔の人々が総じて背が低い理由がわかった気がする。

 その昔の平均身長は今より10~20センチは低かったと聞く。

 朝起きて夜には眠る、規則正しい生活なのになぜ身長が伸びないのか。

 栄養が十分にないので背が伸びないんだろう。




 ここでシャーシャちゃんに、前から渡そうと思っていたお小遣いの額を決める。

 このお小遣いは万が一の事態を想定した備えだ。

 だが大金を持たせると無用なトラブルに巻き込まれ兼ねないのでその案配に迷った。


 町で食事の料金を見て、銀貨10枚と決定。

 大銅貨を数枚では万が一の事態を凌げない。

 銀貨1枚だけではシャーシャちゃんを侮った店員に、釣りをちょろまかされる可能性が高い。

 よって保険に10枚。食堂での食事が500回もできるという額だ。


 宿屋の主人に聞いてみたら他の硬貨のレートもわかった。

 いい機会なので銀貨10枚が日本円にして何円に相当するか考える。

 あの食事はせいぜい200円かそこらだろうか?

 だとすれば銅貨1枚は100円ぐらいになる。


 銅貨が百円で、大銅貨が千円、銀貨が1万円と。覚えやすいな。

 銀貨10枚で大銀貨1枚になるから大銀貨は10万円。

 大銀貨10枚で金貨1枚になるから100万円。

 金貨10枚で大金貨1枚だから1千万円と。

 つまりシャーシャちゃんのお小遣いは10万円?何だそのセレブ。


 ちなみに食事を元に日本円に換算してみたけど、物価が根本的に把握できてないので合ってるかどうか自信はない。

 そもそも比べる物やサービス次第で結果がまちまちになるし。


 だが俺のイメージしやすさの問題でしかないから厳密でなくていい。

 だから銅貨1枚はおおよそ100円。

 しかし大雑把に見ても金貨1枚100万円って想像できないな。


 その金貨は普通、商人でもない限り持ってない。

 生活様式的に平民には備蓄する様な余裕は普通なくて、日々の生活でカッツカツな様だ。

 よくムムカカさんは大銀貨なんて俺に渡してくれたなぁと思う。

 一般的に見て大銀貨は、虎の子の切り札だと言えよう。

 そんな大銀貨を復元でポンポン増やせる様になったし感謝感謝。


 ちなみに宿屋の主人が金貨を持っていた。

 この主人がどういう身分の人なのかは知らないが、様々な人が集まる町の入り口近くに大通りに面した宿屋を建てられる以上、なんらかの実力者なのかもしれない。

 俺は大銀貨15枚と金貨1枚を交換してもらった。一般人では手の届かない高嶺の花である金貨を手放してもらうので色を付けた形だ。

 まぁ別に痛手はないし大銀貨100枚とか出しても良かったけど、そんな事したら逆に怪しまれるだろう。大銀貨15枚の時点で店主は大げさに反応してたし。


 これで金貨も複製できる様になった。

 1枚を2枚に。2枚を4枚に。4枚を8枚に………。

 わずか10回複製しただけで金貨が1024枚。


 ハッタリも効くし浴槽を埋めるぐらい金貨を複製しようかと思った。「幸運を呼ぶナントカパワーペンダント」とかみたいに。

 だが途中で考えを改めた。

 約1千枚の金貨はシャーシャちゃんぐらいの重さになったのだ。

 多分30キログラム程度だと思う。次増やしたら60キログラムだ。


 重たいわ、ビニール袋が破ける恐れがあるわで、これ以上増やすのはやめておいた。

 ………やってみたかったなぁ、泳げる程の量の金貨の海。

 風呂桶で金貨を掬ってはざばぁっと身体にかけたり夢が広がる。

 ちなみに紙幣でやると新札の場合、肌を切る可能性が高いのでおすすめできない。


 俗っぽい野望は諦めておいて、普段は各硬貨を10枚ずつ持つだけにしている。

 それでも日本円換算でだいたい1111万円持ち歩いてる事になるが。

 一般市民だった筈の神誉さんは、その金銭感覚を崩壊させていた。




 食事とお金は置いておいて、1番驚いたのは可愛いミミカカちゃんとの再会だ!

 てっきり村での別れを最後に、2度と逢う事も無いと思っていたのに再び会えた!

 しかも再会できたその理由が、これ以上ない程に俺を喜ばせれくれた!

 可愛いミミカカちゃんは「天皇陛下を尊敬しているので日本国民になりたい」と言って村を出たのだ!


 人の目がなかったら、思わず抱き締めてチューしちゃっていたかもしれない!

 もはや彼女の賢さ非凡さを称えるには、可愛いという形容詞では足りない!

 素晴らしきミミカカちゃんとか!激動たるミミカカちゃんとか!暮れなずむミミカカちゃんとか!


 実際のところ彼女に日本国籍を取らせる手段が皆目検討も付かない!

 が、そこまで言ってくれる彼女を蔑ろにするつもりは毛頭ない!

 見事日本国籍を取得できるまでは、シャーシャちゃんと同じ様に手厚く保護したいと思う。

 2人共お互いに打ち解けようと頑張ってるみたいだし。


 そうそう、そのシャーシャちゃんだ。

 絵に描いた様な悪漢が狼藉を働こうとしたので、戦闘開始の号令をかけた。

 号令はどんな状況でも、実力を発揮できる様に工夫した一環だ。

 模擬戦の時でも開始時には号令をかけて、号令を受けたら戸惑いなく戦闘をする訓練をしてある。

 つまりパブロフの犬、条件付けである。


 積極的自衛権行使の号令は、将来的に自らを脅かす事になる存在を能動的に排除する号令だ。

 どうせ守る為に戦うという結果に違いがないなら、襲われるより先に排除する方がいいだろう。

 この号令の目標は常に、平和と安定を脅かす脅威の制圧となる。

 積極的自衛権は攻撃意思の表れではなく、正当な防衛を意味している事が一目瞭然だ。


 そもそも積極的自衛権は時の首相が提唱した新概念で、俺はそれに全く賛同する限りだ。

 だが、国民の血税をドブに捨てるのが仕事の連中はそうでないらしい。

 戦争賛美、戦争反対、違憲、と訳の分からない戯言をほざく姿が散見された。

 正気か?というのが、俺の率直な意見だ。


 襲撃に備える事と平和主義は両立する。

 争いを好まない人が、戸締まりするのは矛盾だろうか?

 防犯の備えが泥棒を自発的に殺す意思表示?

 狂賛党とかブーメラン党とかいう連中は、いつも不思議な事を言う。


 この異様さは、主語を「寒さ」に置き換えてみれば直ぐにわかる。

「各方面に深刻な被害が懸念される寒さに備え早急な対応が必要だ」

「真冬賛美だ!寒いの反対!四季に違反している!子供達にシベリアを体験させる気か!」

 連中には首相が冬将軍にでも見えるのだろうか?

 現実の脅威への対応をどうするかという問題で、何故好き嫌いや主義を主張するのか。


 反対したところで、問題は消えたりしない。

 つまり戦争反対とは、無抵抗に殺される意思表示と同義だ。

 破滅願望があるなら、周りを巻き込まず勝手に死んで欲しいところだ。


 まぁいざとなれば真っ赤な祖国に帰れるから、無責任に叫んでるだけだとは思うが。

 世界で一番都心に近い国際空港を完備してて、アクセスは便利そうだし。


 交戦規定は基本的に非殺傷。

 ちなみに非殺傷は「自らが殺されない、傷つけられない事」と教えてある。

 安全確保が最優先なので、危なかったら躊躇なく相手を殺すのを許可している。

 相手の生命保全は可能な限りで二の次三の次どころではない。何故脅威目標の心配をする必要がある。

 今回はシャーシャちゃんの足元にも及ばない、三下が相手だったのでお互いの生命は保たれた。


 そしてシャーシャちゃんは状況開始の号令と共に、日頃の訓練の成果をいかんなく発揮した。

 屈んだ状態から跳躍する勢いで真っ直ぐ体を伸ばして、相手の腹部に頭突きを入れる(ほまれ)(おもて)肆式(よんしき)

 怯んだ相手の懐に入り込んだ状態となるので、反転しつつ裾と襟を掴んで背負投。

 背中から地面に叩き付けて悶絶させて、相手の顔面を潰す踏み付け。


 「巨人殺し」と俺が名付けた連携を、見事に繋いで悪漢を倒した。

 命名の由来は攻撃の構成が、自分より体格がいい相手を倒す為の技だけだからだ。

 シャーシャちゃんが大人を倒す為に作られた連携である。


 ちなみにホマレー流護身術の技には全て表と裏の技がある。

 頭突きを繰り出す肆式を例にすると、正面に攻撃するのは表、背後に攻撃するのは裏と分類されている。

 自分を羽交い締めにしてる相手の顎や鼻に、頭頂部によるかちあげを叩き込んだりするのが裏肆式。


 では表は正面、裏は背後に繰り出す技と全て分類されているのかと言うとそういう訳でもない。

 危険を抑える為に走る壱式では、表が逃げる事、裏が有利な地形で迎え撃つ為に移動する事と分類されている。

 表は通常の手段、裏は緊急の手段と言ったところだろうか?

 正直なところ命名者の俺次第としか言い様が無い分類だが。


 背負投を教えた当初、シャーシャちゃんは自分にできる訳がないと言っていた。

 自分より大きな相手を投げられる訳が無いからだ。

 それが訓練で俺の体を投げられた時は、驚きのあまり投げた姿勢のまま俺を見つめて固まった。

 まつげ長いねシャーシャちゃん。


 背負投はテコの原理を利用するとはいえ、流石に抵抗する相手を投げるのは困難だ。

 だが連携で事前に、相手の抵抗を奪うのでスムーズに投げられる。

 体は小さくともシャーシャちゃんが繰り出す技の威力は大人顔負けだった。

 まぁそういう技を俺が教えてるからだが。


 それでも踏み付けの威力は不思議だ。

 シャーシャちゃんの体重は見た目通りに軽い。

 俺がちょっと気合を入れたら片手で持てるぐらいの体重だ。

 疑問に思ってサンダルと靴下を脱いでもらって触ってみた。

 シャーシャちゃんのあんよは、ちっちゃくて色白でぷにぷにしていた。


 シャーシャちゃんは足を触られるのがくすぐったかったのか、珍しく声を出して笑っていた。

 足の指の間とか、土踏まずのところが弱点だったらしい。

 せっかくなので脇腹とか耳とかうなじとか、弱そうなところを全部触ってみた。

 気が付いたらシャーシャちゃんの顔が真っ赤になるぐらいはくすぐり倒して遊んだ。

 5歳ぐらいの子供と遊ぶ時みたいな感じだろうか?

 最終的には成人男性のねちっこい責めで陵辱され、感度良好のシャーシャちゃんは息も絶え絶えで倒れ伏した。


 シャーシャちゃんは遠慮がちなので、心持ち多めにスキンシップする事を心掛けている。

 その甲斐あってか出会った時に比べて表情も明るくなったし、少しずつ積極的になってるとは思う。

 別に立場を利用してあんな事いいなできたらいいなと、あんな夢やこんな夢を叶えたりしてる訳じゃない。


 むしろシャーシャちゃんの情操教育は厳し目だと思う。

 肌をみだりに晒してはいけないとかは当然。

 基本的に異性に声を掛けられたら絶対に警戒する様に言ってある。

 なにせ最初に会った時が嘘の様に、ペド野郎垂涎の美少女になっているからだ。

 更には可愛いミミカカちゃんも加わってポイント倍点!カワイイヤッター!


 2人には常にその美貌の危険性を説いて、絶対に自分を大事にする様に言い聞かせてある。

 その体を男の手に触れさせる事は禁忌として、手を伸ばされたら護身術を使用する様に教育してる。

 俺に触られるのが嫌だった場合でも、躊躇なく実行して構わないと言ってある。

 だが今のところ幸いにも、腕を捩じ上げられたり急所攻撃を受けたりはしてない。


 というか正直に言って俺は性欲が弱い方だ。

 成人した今もムラムラするとかそういう事が無い。

 友達には「枯れてるなぁ」と言われるが自分でもそう思う。


 一応、女の子の顔を見れば、可愛いなぁ綺麗だなぁ、ぐらいの感想は浮かぶ。

 だがそれ以上の情念が思い浮かばないのだ。

 今俺の傍には、ツインテロリと小麦肌ギャルの2人の美少女がいる。

 だがどうこうしようとか思わない。


 そういえばシャーシャちゃんは俺と出会ってまだ数日のはずだ。

 当初はガリガリだった顔と手足も今ではすっかり健康そのもの。

 触ればぷにぷにした脂肪の存在を感じさせる。


 ホマレー流護身術に至っては、僅かな期間で大人を圧倒する程に強くなった。

 文字の読み書きも計算も教えれば教える程に吸収していく。

 しかも考え方や捉え方という概念的な事を教えても、自分なりに噛み砕いて理解している節がある。


 たった数日でシャーシャちゃんは元気になって、頭の良さも強さもそこらの大人を凌駕したのだ。

 これらは日本国民に準ずる扱いで保護をしたためだろう。

 思えばミミカカちゃん達の怪我が、極めて短時間に綺麗さっぱり消えてしまったことがある。

 きっとシャーシャちゃんに、天皇陛下がご加護をお与えあそばれたに違いない。

 俺は柏手を打って深く体を折り曲げながら、頭を下げる事で天皇陛下への敬意を表した。




「………お兄ちゃん、何してるの?」

 シャーシャちゃんが不思議そうに、いきなりお辞儀した俺の事を見てる。

「僕達をお見守りあそばれている天皇陛下への感謝の念を表していたのです」

 俺がシャーシャちゃんの疑問に答えると、可愛いミミカカちゃんも聞いてきた。

「今のがニホコクミ流の礼拝の仕方?アタシもやった方がいいですか?」


「いや、特別な礼拝の仕方というものはない。天皇陛下は自らを崇拝する事をご強要あそばれる事はないからな」

「そうなんですか………」

 可愛いミミカカちゃんは再会後の今、エネルギーを持て余してウズウズしてる。

 というのも日本国民になりたい一方で、強くなる事にも興味がある様で、ホマレー流護身術の訓練に興味津々なのだ。

 自分より小さいシャーシャちゃんの強さを目の当たりにしたからだろう。


 可愛いミミカカちゃんにも教えたいのは山々だが、本格的な訓練は町中ではできない。

 開始の号令をはじめとして零式の発声等で五月蝿いからだ。

 声ぐらい抑えろって?大声を出す事と、大声を出されるのに慣れる事そのものが大事な訓練だ。

 なのでミミカカちゃんはまだ本格的なホマレー流護身術の訓練ができてない。

 居ても立ってもいられない状態なんだろう。




 俺とシャーシャちゃんとミミカカちゃんは3人で訓練している。

 軽くジョギングしたり、一緒に筋トレをしたり、技を掛け合ったり。

 そして並行して異世界の情報を集めてみた。

16/08/06 投稿

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