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日本男子、異世界に立つ  作者: 忠柚木烈
日本男子の残滓
153/154

疑似神格、日本男子を振り返る

 疑似神格。創造主の意向に従い、そのサポートに努めるもの。


「………ハァ」

 眼の前にはアンニュイな感じで、ため息を吐く人間が1人。

 ぼんやりとした様子で、背中を丸めて歩いている。

 そんな様子とは裏腹に、歩みそのものはキビキビとしていて小気味いい感じ。

 チグハグなもんさ。


 まぁ、大落盤に巻き込まれるって、危機的状況なんだからダラダラ歩いてたらおかしいけど。

 とは言いつつ、どこか他人とズレたところがあるからなぁ。

 危機感から歩いてるんじゃないかもしれない。


 惰性?慢性?

 「なんで歩いてんの?」って聞いたら「………なんでだろ?」って見つめ返してくるかもね。

 そんな超然とした、素敵な感性の持ち主だ。


「ねぇ、シャーシャちゃん?もう君の体は無敵じゃないんだよ?もし崩落に巻き込まれたら死んじゃうんだよ?わかってんの?」

「………ハァ」

 これだよ!

 気もそぞろ!

 関心は別にありますって感じ丸出し!


「………ハァ」

 さっきからシャーシャちゃんは、ずーっとため息をついてる。

 なんでこんな事になってんのか?


 まぁボクには全部わかってんだけどね。

 ボクの存在は、シャーシャちゃん自身の(スーパー)自我(エゴ)を具現化したものだから。

 (スーパー)自我(エゴ)の説明は詳しい人に譲りたいけど、その人の進むべき道へとナビゲーションしたりするよ。

 つまり、シャーシャちゃんを導くこと、それがボクの存在意義。


 更に特色として。

 ボクはシャーシャちゃんが本来知りえない知識を持っている。

 だから厳密には、(スーパー)自我(エゴ)じゃないな。

 それこそ普遍的無意識の産物とか、そういう感じなのかな?

 まぁ、実際は普遍的無意識なんかじゃないけどさ。


 そもそもボクはどうして生まれたか。

 突き詰めて言えば必要だったからさ。

 それじゃあまりに味気なさすぎるって。

 ごもっともだ。

 じゃあ経緯から語ってみようか。




 物語はいつもここから始まる。

 ボーイ・ミーツ・ガール。

 暴威すら霞んで見える、天皇陛下の御威光が在る、って奴さ。

 全てはお釈迦様ならぬ、天皇陛下の手の平の上、モンキーマジック♪モンキーマジック♪

 ………全く年齢の割に引き出しがヴィンテージしてるなぁ。


 まぁとにかく、偉大なる意思に導かれたらしく、2人の男女が出会いました。

 かたや神の如き男。

 かたや哀れな奴隷の少女。


 少女は不自由でした。

 封建的な社会制度の最下層である為に。

 保護者に恭順を示す事でしか生き残る術がありませんでした。

 だから少女は従順で、盲目的ですらあります。


 希望や夢を持っていても、どうせ叶う事がないので、持ってるだけ無駄です。

 むしろそんなもので痛みを覚えるぐらいなら、最初から手に保たない方がいくぶんか賢いのです。

 だから少女は空っぽで、純粋で、与えられる事に貪欲です。


 封建社会の下位者とは、与えられる者の側面を持っています。

 それはマゾヒストと分類できます。

 つまり少女は、神の如き男に服従しました。

 他人を信用できないサディストと、他人を信用しなければならないマゾヒストで、共依存の様な関係性です。


 さて。

 最初が肝心とはよく言ったものです。

 神の如き男の誤算は、ここから始まっていたのです。

 その誤算とは、少女の価値観が醸成された事です。


 価値観とは、自分にとって役立つかどうかの審美眼。

 少女にとって役に立つかどうかの境目、分水嶺とは何か。

 これはつまり、強さとか戦いの役に立つかの事でした。

 ………だって、神の如き男は、戦い方の話ばっかりしてたし。

 本人はこんな世界だから、自衛手段を与えたかったみたいだけどね。


 自分の為と知ってか知らずか―――まぁあまり意識してなかったみたいだけど。

 スポンジが水を吸収するが如く勢いで、神の如き男の教えを吸収します。

 少女は拒まない人、受け入れる人ですから。

 だから唯々諾々と、貪欲に、徹底的に。

 神の如き男の教えを、忠実にこなそうとしました。


 しかしある日。

 とても困った事が起きました。

 神の如き男の教えを、実行できなかったのです。

 理解できなかったから。


 マスコットに導かれ、ライバルと競う、魔法少女。

 自分がそれになると言われて。

 少女はすんごく戸惑いました。

 だってわかんないし。


 だけど。

 わかんないでは済まされないのが、拒むことを知らないマゾヒスト。

 全てを受け入れなければ許されない立場。

 だから必死に考えました。


 マスコット!

 ライバル!

 魔法少女!


 来る日も来る日も!


 マスコット!

 ライバル!

 魔法少女!


 そんな風に必死にイメージしたら。

 この世界ではある現象が発現します。

 はい、そうです、みんな大好き魔法です。


 疑似神格―――つまりボクはなんで生まれたのか。

 それはシャーシャちゃんが必死に『課題』をこなそうとしたからさ。


 ところで。

 疑似神格には面白い特性があるんだよ。

 術者本人が知らない知識を、何故か疑似神格が知ってるっていう特性。

 より正しく言うなら、その特性は、ある人物が魔法を発現させた時()()の限定なんだけど。


 シャーシャちゃんはマスコットについて、必死に理解しようとしたんだ。

 とにかく自分にいろいろ教えてくれる存在らしいって。

 だけど、そんな親切な人は今まで周りにいなかった。

 ただ1人の例外を除いては。


 うん、そうだね。

 神の如き男こと、ヤマトーお兄さんだね。

 マスコットは別の国から来た、別の知識を持った人らしい。

 ますますお兄さんだ。


 だからボクは、お兄さんの知識を持ってる。

 ボクとお兄さんの話が合うのは、これが理由だよ。

 基本的にお兄さんと同等の知識を持った存在だからさ。


 ちなみに獣人なのは、マスコットの説明で「獣の耳とかしっぽの生えた概ねかわいらしい姿をしている」ってお兄さんが説明したからさ。

 お兄さんはマスコットキャラを想像してたんだけど、シャーシャちゃんは人と混ぜちゃったんだね。

 性別が女なのは、シャーシャちゃんが友達が欲しいって思ってたからだよ。


 ただし。

 ボクがお兄さんの知識を持っていても。

 それを外に出力するときには、シャーシャちゃんというフィルターがかかる。

 シャーシャちゃん自身が知らない知識だから、当然どう扱っていいかわからない、持て余す。

 おかげでボクは今の今まで、ろくに役目を果たせなかったのさ。


 だけど。

 事情が変わった。

 シャーシャちゃんがホンモノの魔法少女になったから。


 魔法少女とは日本国民で。

 日本国民とは世界有数の優れた知識を持った者。

 つまりシャーシャちゃんが日本国民になった事で。

 ボクを制限するフィルターが、リミッターが外れた。


 シャーシャちゃんは受け入れるだけでよく考えない子だから。

 もっと言ってやれば、脳筋でバトル脳だから。

 戦い以外のことは全く活用してないみたいだけど。

 ボクは違う。


 お兄さんの知識を持っていて。

 シャーシャちゃんの考えを理解し。

 なおかつ第3者視点で見つめられる。

 今なら何が起こったのか、ほとんど推測できる。


 まぁ全部終わった後なんだけどね。




 まず、お兄さんは何故シャーシャちゃんと敵対したのか。

 それはお兄さんがカッコつけだからさ。


 お兄さんのコミュニティはメチャクチャ狭くって。

 他人の考えを受け入れる機会なんてほぼなかった。

 だからお兄ちゃんの道徳観は、小学生レベルと言っていい。

 つまり、困ってる人は助けてあげましょう。

 子供みたいな義務感でシャーシャちゃんを助けたのさ。


 だけどね。

 お兄さんは自閉的で、自己完結的な考えを持ってもいるんだ。

 ボクも知識を、記憶を共有してるから知ってる。

 靴下女(ミミカカ)お姉さんの村で休んでたとき、お兄さんはこう思ってたんだ。


 まるでラノベみたいだなぁ、ってさ。


 作り物めいた。

 安っぽい世界。

 俺の周りにいるコイツら。

 人間じゃなくって、登場人物(キャラクター)なんじゃないかって。


 ………お兄さんがいくら子供っぽいっていっても、そこまで飛躍した考えを、いきなり鵜呑みにしたわけじゃないよ?

 お兄さんの大好きな哲学、思考実験の範疇で、与太話さ。

 だけどね。

 その考えを捨てきれなかったのも確かなんだ。


 だって、お兄さん。

 他人を殺してるから。


 この世界に来て。

 村を出て、街に行く途中。

 シャーシャちゃんを助けた時。

 盗賊らしき男を剣で刺して、ぐちゃぐちゃになるまで蹴手繰った。


 喧嘩なんてした事のないお兄さん。

 まぁいじめられたばっかの頃は喧嘩もしたみたいだけど。

 途中から何をやっても自分が悪いって周りに押し込められて。

 それ以来、まともな喧嘩なんてしてないんだよね。


 だから他人との戦い、それも命のやりとりをするって事態に、頭が真っ白になっちゃったんだ。

 そしてその神の如き力を発揮してあっけなく殺しちゃった。

 実はそれ以来、他人を手に掛けるのがトラウマになってるんだよね、お兄さんって。


 何をバカなことをって?

 その後もいっぱい殺しただろって?


 なんというか………自分ルールって言えばわかるかな?

 お兄さんの中では別のことなんだよ。

 直接剣で斬り殺すのと、魔法で殺すのは。

 手に感触の残る殺し方はアウトで、感触の残らない殺し方はセーフなんだ。


 うーん。

 セーフっていうと語弊があるかな。

 手に感触が残るよりマシっていうか。

 感覚的なことなんで説明は難しいけど。


 街で兵士を大量虐殺したけど。

 あれ以降、直接剣で殺した相手はいない筈だよ。

 とにかく別次元のことなんだ。

 両方殺したことに変わりはないのにね。


 殺さなきゃいいじゃんって思うだろうけど。

 危険が身近なんだ。

 危険があって。

 その危険がどの程度危険か見極めてって。

 そんなのできるわけないじゃん。


 緊急避難だよ。

 突然の危険に遭遇して。

 対応できる能力があって。

 対応しちゃうのがそんなに悪いこと?


 それになんというか、お兄さんなりの葛藤もあったんだよ。

 街の貧困層が嬲られてた光景とか。

 自分の『ビビリ』な部分を認めたくない強がりな心とかさ。


 それでも、なんとういか。

 殺しは禁忌(タブー)だって、いろんなフィクションでいうでしょ?

 子供っぽいお兄さんの価値観では、殺しをやった自分を許せなかったんだ。


 だから欲しかったんだ。

 自分が許される道。

 免罪符をさ。


 うん。

 許してほしかったんだ。

 なかったことにしたかったんだ。


 だから。

 ラノベだって思いたかった。


 だから。

 旅に出た。


 やっぱりニセモノだったって確かめたかった。


 ここからお兄さんの行動は極端になってくんだ。


 シャーシャちゃんの脳みそにバトルがいっぱい詰まってるのもこのせい。

 お兄さんはこの頃から実験しかしてないんだ。

 シャーシャちゃんが架空の存在である魔法少女になったなら。

 ここはやっぱり架空世界の出来事なんだって。


 靴下女(ミミカカ)さんの発言にガチギレしたのもこのせい。

 どうせ()()()()だからって、なかば思ってたから。

 だからタガが外れてる。


 ボクはマスコットって設定上、魔法少女の居場所を知る能力が必要だ。

 だからボクの持ってる神刀は、索敵能力に優れた『五十鈴』になった。

 だからボクはいろんなことを知ってる。


 街の大虐殺。

 お兄さんは最初の街の住人を、全員殺した。

 善意を踏みにじられて、傷つけられたのが許せなかったから。

 アレが1番わかりやすいね。


 なんというか、お兄さんの行動は極端なんだ。

 息抜きが下手っぴというか。

 ちょっとずつ緩めるって事をしないから。

 突然爆発するんだ。


 これはやっぱり学生時代の経験のせいだろうね。

 うまく他人と付き合ってこなかったから。

 とにかく貯め込むんだ。

 そして我慢して我慢して我慢して。

 やっぱり爆発する。


 カッコつけなんだ。

 なんでもないよって顔して。

 結局我慢できなくなって爆発する。

 そういう人なんだ。


 で。

 爆発した。

 地下で。

 シャーシャちゃんと敵対した。


 『実験』がうまくいって。

 シャーシャちゃんが強くなりすぎて。

 お兄さんは我慢できなくなったんだ。


 人生経験の少ないお兄さんは。

 失敗の経験が少ないから。

 失敗を認めるのが怖いんだ。


 失敗してない。

 失敗してない。

 突き進む。

 ………どうしよう、行き過ぎた。


 戻すしかない。

 ゲーム世代の安易なリセット的犯行ってやつ?

 別にゲームに限った発想でもないと思うけどね、ボクはさ?


 と、まぁ。

 真相はこんなとこじゃないかな?

 誇大妄想にとりつかれたというか。

 誇大妄想であってほしかったというか。

 いろんな要素がないまぜになったんだろうね。


 といっても、本当のことかどうかはわからないんだけどさ。

 だって、ボクとお兄さんは別の存在だし。


 ただ言えることは。

 シャーシャちゃんの神刀『雪風』に、やたら執着してたかな?

 もう今はシャーシャちゃんの手にないけど。


 この辺りから『ナーナ』って存在が定義され始めて、お兄さんとは袂を分かち、別の意識を保つ存在となった。

 だから極めて正確な推測はできるけど、しょせんは推測。

 それぞれの場面で、お兄さんが何を考えてたのかなんて、わからないんだよね。




「………ハァ」

 何度目のため息だろう。

 ため息をついた数だけ幸せが逃げるっていうけど。

 なかなか言い得てて妙だね。


 なんでため息をついているのか?

 たぶん、シャーシャちゃんもなんでかわかってないと思う。

 シャーシャちゃんの初めて知る感情。

 本人だってそれを持て余してる。


 日本国民の知識で、知識としてだけはそれを知ってる筈なんだけどさ。

 知識だけじゃわからないんだろうね。

 おそらく人類史上、もっとも強く、心揺さぶる感情の1つ。


 それは恋心だ。


「………ハァ」

 さっきから、お兄さんのことばっかり考えてる。

 そばでため息ばっかつかれると、普通なら滅入るんだけど。

 その心情を慮ったら、いじましくてたまらない。


 初めてだったんだ。

 かばってもらったの。

 自分を傷つけようとする暴力から。


 シャーシャちゃんはね、お兄さんを倒そうとしたよ?

 でもね。

 殺したかったんじゃなかったんだ。

 自分が強いって認めてもらいたかったんだ。

 承認欲求ってやつさ。


 シャーシャちゃんは不安だったんだ。

 他人の目を伺って生きてきたシャーシャちゃんが。

 お兄さんの態度の変化に気づかないわけがない。


 だから必死に考えた。

 自分をお兄さんに認めれてもらう方法。

 うん。

 もちろん強さを証明することだよ。


 だってこのときお兄さん、本当に戦いの話ばっかりしてたからね。

 お兄さんの興味を引くには、お兄さんが興味を持ってる分野を持ち出すしかない。

 お兄さんとシャーシャちゃんが戦うハメになったのは、まぁ概ねお兄さんの行いのせいだよね。

 とにかくシャーシャちゃんは強さを見せることでしか、自分を証明できなかったんだよ。


 だけどいじめられた経験を保つお兄さんは。

 強いシャーシャちゃんが受け入れられなかったんだ。

 もしもシャーシャちゃんが弱かったら。

 お兄さんはわざわざ敵対なんてしなかったんだろうな。


 いやぁ、すれ違ってるねぇ、2人とも。

 もうちょっとほのぼのしてたらラブコメみたいだったのに。

 いささかバイオレンスにすぎるね。


 口にして確認するのをやめた男女関係は、絶対こじれる。

 これ童貞のパパの受け売り。

 いやぁ、パパってばいいこというね、童貞のくせに。


 あ、パパ=お兄さんね。

 なんかインモラルな等式だけど。

 まぁそれは置いておいて。


 自分が切っ先を繰り出そうとしてるのに、まっすぐ向かってきた。

 傷つくのもかまわずに。

 そして自分を庇って、代わりに矢を受けた。


 シャーシャちゃんは。

 ずっと憧れてたんだ。

 自分を守ってくれる人に。


 元から大切な存在だった。

 自分を保護してくれる人間。

 でもそれは、ただの利害関係でしかなかった。


 保護してもらいたいから、対価として強くなってみせるって。

 まぁ好意もこのときから混じってたけどね。

 そこまで純粋じゃなかったのさ。


 でも、今は違う。

 シャーシャちゃんの目に焼き付いてる。

 大きな背中。

 自分を傷つけようとしたやつを、睨みつける真剣な顔。


 初恋なんだ。


 だからシャーシャちゃん。

 お兄さんのこと思い出すのに忙しくって。

 さっきから「………うん」と「………ハァ」を繰り返す機械になってる。


 ボクがお兄さんと会話してたときも上の空。

 まぁ敵対してたお兄さんが自分を守ったのに、理解が追いつかなかった混乱もあったんだろうけどさ。

 あのときも実にあっけなく言うことを聞いて、地上にまでこうして戻ってきちゃった。




 でもわかってんのかな?


 お兄さんがウソをついたってこと?


 自分を助けたかったら置いて行けって?


 どうやって助けろっていうのさ?


 もうここに街なんてないのにさ?


 もうここに地下につながる洞穴なんてないのにさ?


 もうここにお兄さんがいた痕跡なんてなにもないのにさ?


 ただここには、大崩落した大地が広がってるだけ?


 あの大空洞の大きさ分、まるまる沈下した地面が残るだけ?


 立つ鳥跡を濁さずっていうけどさ?


 街もきれいになくしちゃって飛び立ってさ?


 それって濁ってないって言えるのかな?


 ねぇ、どう思う?


 そこの()()()




 ………ちなみに。


 パパがときどき言ってた(思ってた?)『アンタ』っていうのはさ。

 『自分が誰かに監視されてる』って被害妄想から出てる発想なんだ。

 もっとも本気で思ってるわけじゃないけどね。

 それでも『もしかしたら』が消せなかったんだ。


 ちなみにお兄さんは心理学にちょっとだけ詳しいけど。

 心理学に興味があるってことは。

 自分の心に興味があるってことで。

 それは自分の心がどこか普通じゃないって思ってるから、知りたいってことで。


 お兄さんは端的にいって。


 精神異常者だ。


18/5/26 投稿

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