表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
日本男子、異世界に立つ  作者: 忠柚木烈
日本男子の終焉
141/154

記憶

 わたしは………?わたしはなに?


 なにがおこったのかわからなかった。

 からだがすごくさむかった。

 なのにおなかがすごくあつかった。


「………ぁ………ぐぅ」

 しゃべろうとしても、なにもしゃべれなかった。

 くちからはよだれが出ただけだった。


 つめたいゆかにたおれたわたし。

 うごかなくなったからだ。


 わたしは*****より強くなった。

 もう*****がなにをしてきても、ぜったい勝てた。

 もうなにをされてもだいじょうぶ。

 だからわたしは*****にだきついた。


 なのに。

 わたしは負けた。

 *****は、まだ本気じゃなかった。


 ………()()()()が、たりなかったんだ。

 *****はちゃんと、じゅんびしてた。

 だからわたしは、さいごに負けた。


 あぁ。

 さっきまでいたかったのに。

 もういたくなかった。

 もうさむくもなかった。

 もうあつくもなかった。


 もうなにもわからなかった。

 もうなにも見えなかった。

 もうなにもなかった。


「………ぉ………」

 *****。

 



 やさしかった。


 おとうさんも。

 おかあさんも。

 ふたごのあね(シューシュ)も。

 むらの人も。

 みんなわたしをいじめたのに。


 わたしをほめてくれて。

 わたしをたすけてくれて。

 わたしをみとめてくれて。


 いたくて。

 しぬかもしれなくて。

 なにもわからなくなって。


 それでも。

 わたしが思い出したのは。


 おこったみたいな顔。

 つまらなさそうな顔。

 おこってるときの顔。


 かなしそうな顔。

 しんぱいそうな顔。

 かんがえてるときの顔。

 いたずらするときの顔。


 口だけがわらった顔。

 こどもみたいなわらった顔。

 ナーナちゃんみたいなわらった顔。

 すごくこわいわらった顔。


 さびしそうな。


 つかれたみたいな。


 とてもしずかな。


 しかたないなって。


 やさしい。


 ゆっくりした。


 そんな。

 *****の。

 わらった顔。


 わたしだけの。

 わたしだけの、わらった顔。

 

 ザー。

 ザーン。

 ザザーン。


 ?

 ここ、どこ?

 水の音?

 ここは………川?


 このままながされちゃうのかな?

 そしたらわたし、いなくなっちゃうのかな?


 川にながされながら。

 わたしの目には。

 たくさんの*****がうつってた。


 ザー。

 ザーン。

 ザザーン。


 ………ヤだな。

 消えたくない。

 しあわせになりたい。


 わたしは、しっぱいした。

 だから、しあわせになれなかった。


 ………そうだ。

 わすれてた。

 わたし………*****だった。

 *****の*****。


 *****だからだいじにしてもらえたんだった。

 なのに使えなかったから。

 *****はなんていってた?


 じゅんびしなきゃ。

 しあわせになる、じゅんび。

 わたしは*****。

 *****の*****。





 わたしね。


 こんどはね。


 ちゃんとじゅんびするから。


 *****の*****になるから。


 *****?


 だからね。


 こんどは。


 すてないでね?


18/3/5 投稿

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ