1.転校生な俺
春だ。そう、この桜がいい感じに咲いて散っていくこの季節。
って言っても入学とかそんなビックイベントではない。
むしろ俺にとっては……本当に最悪な事態なんだよ……
高校2年の俺は、3年生から親の転勤でいきなり転校することになった。3年生からってどういうことだよ。
本当に運命を呪った。
俺の人生ここまでだと思った。
だって俺は世でいうコミュ障ってやつで、
1年ならまだみんな初見だから最初のノリってやつで仲良くなれるかもしんないけどさ?
3年生からって……みんなもうクラスでグループとかあるやつじゃねーか。
俺だけ転校生で浮くに決まってるだろ……。
なんて、ずっと憂鬱だった。
でも、転校先の学校は
女の子しかいない女の子だけの秘密の園、
「女子高」ってやつだった。
……ありがとう!!! まじかよ!俺の3年生ウッキウキじゃん!
なんでも、その学校は都合よくこの年から男女共学になったってことで、1年生は男子は少ないがいないことはない。
つまり、2年生と3年生は、男子ゼロってことだ。
「俺の学校生活、ハーレムじゃね?」
いや、ほんと真面目に勉強する気ではいる。いるけどさ…
むしろ下心しかなかった。
「じゃあ今日から1年間、このクラスで一緒に勉強することになった、白崎柊くんです。みんな仲良くね」
先生の紹介と共に、高鳴る胸の鼓動
震える足は黙ってくれないが、心を震わせ教室へ一歩踏み出した途端
目に映る女の子たちの視線と、自然と鼻で嗅ぎたくなるような女の子の匂い。
ここは天国か?
なんともいえない感動に浸っていた俺
そこに声がかけられる
「さ、柊くんからも一言どうぞ」
どうでもいいが、先生も女の人だった。
最初の挨拶は大事である
なんてったって第一印象だからだ
謙虚な感じでいくか?いやでも男だしな……
やっぱここは元気に行くか。
「し、白崎です。よろしくっ!」
その、数秒後
「なんだぁー残念。もっとイケメンが良かったなー」
俺の心臓を突き刺す一言
その言葉は、俺のライフをゼロにするには容易すぎた。
「こらこら蜜ちゃん、そんなこと言わないの」
先生が蜜と呼んだその女は、誰がどう見ても、ビッチだった。
派手な髪色に、濃すぎるメイク、メデューサのごとき巻き髪にかくれるいくつものピアス。人を殺すことも可能なくらい、凶暴な爪。
……あぁ、こーゆうタイプの女が、いっちばん苦手だ。
でも残念ながら俺は、こんなことで砕けたりするメンタルではない。
っていうか、逆なんだよね
「蜜っていったか……俺はお前を、奴隷にしてやるっっ!!!!!!」
白崎柊、俺は、悪口に対して燃える(萌える)タイプだ。
学生の自由さと、下心を全開にして参ります。
名前の読み方は、しらさきしゅう です。