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ネコでもできるVRMMO  作者: 霜戸真広
出会いと旅立ち
49/83

旅立ってみた

これで一区切りです。

ある程度書きたまったところで、また連続投稿していきたいと思います。

明日はまだ閑話を一つはさみます。



 あの戦いの翌日。ポチは妖精たちが集う泉に来ていた。


『モモ、仇は取ったぞ。結局お前の力を借りちまったけどな』


 あの後ユーリスは姿を消した。あの試合を見ていたプレイヤーによって『休日の楽園』中にユーリスの件は伝わってしまった。自業自得ではあるが、これから先ユーリスがこのゲームをすることは難しいだろう。


『最初はこんな風にゲームで苦しむとは思ってなかったけど、それでもモモに会えてよかったよ。また、ここに会いに来てもいいよな』


 ポチはアイテムボックスから『白虎の雷上布』を取り出した。すると、森の至る所から妖精たちが現れ、布の端を持ってふわりと持ち上げた。


『お前もここなら寂しくないだろう』


 妖精たちの手によって『白虎の雷上布』が泉の中へと沈められていく。その景色はまさに夢のような世界だった。

 ポチはそれからしばらくの間、泉を見つめていた。


『これでよろしかったのですか。あれはモモとの繋がりの一つでしょう』

『いいんだよ、これで』


 あの試合の後、『モモの心結晶』は輝きを失っていた。まるであの戦いですべて使い切ってしまったかのように。

 もう、モモの姿になってもあの戦いのように全能力をコピーすることは出来なくなっていた。


『ミミ、まだ目が赤いぞ』

『それはポチ様も変わらないでしょう』


 この泉にモモを葬らせてほしいというポチの願いを叶える前に、ナナの身体に魂と言うべきものを返していた。

 目を覚ましたナナの第一声は、「お腹がすいたなの」という気の抜けたものだった。

 まあ、それがナナらしい、と見守っていた誰もが思っていたが。

 その時に、珍しくもミミは泣いた。それをポチに見られてしまい、ミミは少し恥ずかしげにしている。


『泣きつくしたと思ったんだけどな。そうでもなかったみたいだ』

『もう、行ってしまわれるんですか』


 森を出て行こうとするポチの背に、ミミは声を掛けた。

 ポチは足を止める。


『今の白虎には会わなくてもいいんですか』


 ポチは振り返って笑った。


『もう散々泣いて吹っ切れたよ。それに、モモはあいつだけだから。あいつに馬鹿にされないよう、笑って前に進むさ』


 そう言ってポチはどこかへと行ってしまった。


『笑顔が下手くそですね』


 威嚇するようなポチの顔にミミは笑った。


 ***


『さあ、次の町に行こうか』


 せっかくモモに助けられたんだから、このゲームを遊びつくそう。

 そう考えたポチは、始まりの街を一路西へ向かう。

 その先にはまた違う景色と街並が広がっているはずだ。


『まだ見ぬ日向ぼっこのベストプレイスを探して出発だ!』


 初心に帰って、ポチのVRMMOライフはまだ始まったばかり。


読んでいただきありがとうございました。

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