事実だけど何か違うんだよ・・・・(そしてシリアスがギャグになった)
驚愕した顔でシオンを見つめるアベルにシオンは少し後ずさった。
『なんかヤバい目をしてる』
少ししてアベルは納得した様子で言った。
「そ、そうか!セシリア姉さんは死んでなかったんだ!だから私の儀式は失敗したんだね!」
子供のように明るくなったアベル王子にシオンは困った顔をした。
「いや、そうなんだけど、話を聞いて──」
「だったらなんの問題も無い!結婚しよう!」
シオンの言葉に被せるように言ってきた。
「はぇっ!?」
シオンは変な声が出た。
「だから、話を──」
「さぁ!今こそ一緒になろ──」
アベルはシオンにキスしようと迫ってきて──
「ひ・と・の・は・な・し・を・き・け・やーーーーーーーーー!!!!!!!!!」
シオンはそれは見事なアッパーカットを決めた。
アベルは空高く舞い上がって落ちてきたのだった。
「ぐふっ・・・」
仲間達は動けず見守ることしかできなかった。
「はぁはぁ、ようやくエリザのシスコンって意味がわかった気がする」
「そ、それは何よりですわ・・・」
エリザも疲れ切った顔をしていた。
アベルは何が起こったのかわからず、呆然としていた。
「いい加減にして!セシリアは私のママなのよ!ママは結婚してパパと幸せに暮らしているんだから、あんたのでる幕はないのよ!このシスコンが!!!!」
!?
アベルにとっては何よりもショックだったようで、嘘だ嘘だと呟くだけだった。
そんな中、ライラ王女もかなりショックを受けていたようだった。
『セシリアお姉様が生きているの?あの優しく、偉大で、誰よりも人の上に立つのに相応しいセシリアお姉様が・・』
ライラもセシリア王女に傾倒する1人であり、敬愛するセシリア王女が暗殺された事で、この国の貴族達を根絶やしにしようと企んでいたのだ。
「私は、なんのために・・・・」
恨みの原動力を失いその場に座り込んでしまった。
呆然とシオンを見て、誰かに似ているとは思っていたがまさか死んだと思っていたセシリアお姉様の娘とは想像できなかった。
「えっと、これで問題解決?」
首を傾げるシオンに、仲間の誰もが一緒に首を傾げた。
これで終わりなのかと。いや、こんな終わり方でいいのかと。
その時、ゴゴゴゴッッと遺跡が揺れ始めた。
「なにごと!?」
激しい揺れが続いた。
『まったく情けない。これではここまで協力した意味がないじゃない』
!?
どこからか声が聞こえてきて、目の前の祭壇が沈んで行った。
「何か出て来る!?」
祭壇が最後まで沈むと、地面から何か出てきた。
それは───
「何あれ?タマゴ???」
形容は真っ白なタマゴの形を横に倒した空に浮いている物体だった。薄く光ってもいる。
そしてその大きさが10メートルはあろうかという巨大な大きさだった。
巨大なタマゴは輝きを増して、どんどん明るくなって言った。
「ヤバい!みんな避けるんだ!?」
「無理よ!間に合わない!?」
何かが放たれようとした時、アイリスが前に出た。
「みんな伏せて!!!!」
アイリスは何やら道具を取り出すと前に展開した。そして大きな魔力の光が放たれた!
ガガガガッとアイリスが出した道具に光がぶつかり、大きな音を立てた。
時間にしたら数秒だと思うが、もっと長く感じる時間だった。
アイリスが出した道具は『簡易結界』を張る魔導具であった。敵の光りの攻撃をギリギリ防いだ。
「ギリギリ持ったよ~~」
アイリスはその場で座り込んだ。
シオンとレイは後ろのメンバーにバラけるように指示して武器を構えた。
「王太子さん!あれはなに!?」
「この王城の遺跡に眠っていたアーティファクトだ。今まで起動の仕方や使い方が分からなかったが、近隣の遺跡を探索してフレイヤが起動方法を見つけてずっと調整していたが………あんな兵器とは聞いていない!」
アベルも空中に浮かぶ物体に目を奪われた。
『クスクスッ、貴方の求める技術以外は私に譲る約束でしたものね。感謝しておりますわ♪』
あの中にいるの!?
「ネクロス王国のハーフエルフさん!貴女の目的何なの!?」
『ふふふっ、決まっているじゃない。我がネクロス王国を滅ぼすのよ!』
!?
「えっ、うちの国を侵略するんじゃないの!?」
予想外の回答にシオンは驚くのだった。




