進撃!
ついに連合軍と王都を守る王太子の軍が衝突した。
兵力的には王太子軍が約2千と連合軍が約6千と3倍もあった。
これは王太子のここ最近の愚行を見てきた兵士が逃げ出して連合軍に加わった事により、差が広がったのだ。
しかし、王太子には虎の子のソウルアーマーの部隊がいる。
先の戦で半分以上が壊されたが、まだ2百体はいると予想されており、僅か数百で万のオオラン帝国の軍を撃退したことは記憶に新しい。
王都は全ての門が閉ざされており、城壁には王太子軍が弓を構えて待ち構えていた。
「突撃だーーーーー!!!!!!!」
3つの部隊が同時に攻め込んだ。
「魔法隊、『城壁の手前』に打ち込みなさい!」
まずライラ王女自らが指揮をとり、魔法部隊が攻撃魔法を打ち込んだ。
「はっ、まったくお姫様に戦はわからんのだろう」
他の軍がバカにしたように笑ったがそれがライラ王女の狙いだった。手前に落とした魔法は目眩しとなし、粉塵を巻き起こした。その隙に長い梯子を城壁に掛けて兵士を登らせたのだ。
他の部隊が弓矢の餌食となり被害を出している中、ライラ王女の率いる部隊が1番早く城壁に登り、城壁の上を切り取った。
「まったくバカ正直に梯子に登って狙い撃ちされるなんてねぇ~?」
「我が主人の言う通りですな。それよりも早くソウルアーマーが出てきてもらわないと我々の部隊が暇でしょうがありませんがね」
余裕のあるライラ王女の部隊に負けじと兵士を城壁に向かわせるがなかなか上に登ることができず被害が増えていった。しかし、下から弓と魔法の援護を受けて、数の差で他の部隊も順次城壁の上を確保していった。
そしてついに街を囲む城門が開かれた。
「ライラ王女殿下の部隊が城門を開いた!これより、全軍で突入する!」
手勢の少ないライラ王女はちゃっかり美味しいところを奪って、激戦になるであろう突入しての市街戦は他の部隊に任せる予定みたいだ。
「よろしいのですが手柄を譲っても?」
「ここまで虎の子のソウルアーマーが出てきていないわ。街中で待ち構えているのか、王城に集めているのかわからないけど、せいぜい他の部隊に損害を与えてもらいましょう」
ライラ王女はニヤリと黒い笑いをした。
そして市街戦になった時、王城前の大通りにソウルアーマーの部隊が待ち構えていた。
その数200体。全てのソウルアーマーをここに集結させているようだった。
「この大きな王都を流石に200体で守るのは無理があるからな。奴らの目的である王城前で殲滅する」
「ここなら広いから自由に動けるしな」
ついに敵の主力部隊との戦いが始まった。
連合軍も対策を持ってきており、前の戦いで使えたトリモチ爆弾を使い、動きを封じる作戦を使った。
しかし、敵も大きな盾を用意しており、思ったほどの効果はなかった。
連合軍も盾部隊を前に出し、後ろから槍で攻撃する戦術にでたが、一般の兵士の力では傷をつけるのがやっとで、明確にダメージを与えられなかった。そしてジワジワと被害が拡大していった。
「そろそろかしら?」
2つの部隊が押されているのを観察して、ライラ王女は魔法の指輪をつけた近衛騎士を投入した。
「スネーク騎士団長!私の近衛騎士の力を見せつけなさい!」
「はっ!我が主人の名に誓って!」
スネークを始め、ライラの近衛騎士の力は強大で、ソウルアーマーと互角に渡り合っていた。
味方の援護もあり、ソウルアーマーは少しづつ数を減らしたが、向こうと違い、生身の騎士には体力の限界があったことで、押し切ることができない膠着状態が続く事になった。
「流石にお兄様の切り札。なかなか手強いですわね」
「申し訳ございません」
休憩に戻ったスネークは頭を下げた。
「いえ、こちらの戦力を見せつけてたので作戦は成功ですわ」
腕を組みながら言った。
この内乱が終わった時、少数精鋭の我々が有利に物事を進めれるだろう。
辺境軍ではソウルアーマーを止められない。
エリザのグランフォード軍では、エリザの冒険者仲間しかソウルアーマーに対応できない。
戦功を考えるなら、我々が1番であるのは誰の目か見てもわかる戦績だった。
すでにライラの思考は次へと移っていた。
しかし、ここで数刻後に予期せぬ出来事が起こることは予想できないのであった。




