真実の続き
シオンとアイリスが従姉妹???
ママが王女様って話をしたばかりだよね?
ってことは、アイリスの父親は国王になるってことだよね?
「その顔は察したようね。アイリスの母親であるマリアさんは私の母親である王妃付きの侍女頭を務めていました。それが色ボケに狂った国王の毒牙に・・・お手つきになったの。当時の私は王妃である母が暗殺されて、自身の身の安全も怪しくなっていた時で、マリアさんは数少ない信用できる母親代わりの女性だったの。その人を守れなかった自分が許せなくて、マリアさんを連れて城を出たの。自分の死を偽造してね」
エリザがあっ、と言う顔をした。
「初めてシオンさんの家に行った時、マリアさんの所作が綺麗で教育が行き届いていると思ったのは、王妃様の侍女だったからでしたのね。それと気になっていたのは、王家由来の『金色の瞳』を2人がしていたので気にはなっていたのです」
「この金色の瞳は滅多にいないからね。ゼロではないけど珍しいから。アイリス、父親は誰であれ、マリアさんはアイリスを愛して大事に育てたわ。だから──」
「大丈夫です。父親はどうあれ、お母さんがいれば寂しくありませんから」
セシリアはアイリスを優しく抱きしめた。
「黙っていてごめんなさい。一応、マリアさんには真実を話すことの許可を得て来たから、自宅に戻ったらマリアさんから詳しく聞きなさい」
「はい!話してくれてありがとうございました」
「やだ、素直!アイリスちゃん、シオンと交換で私の娘にならない?」
「おい!こら!?実の娘を前に何を言っているのよ!パパに言い付けるよ!?」
サラッ・・・
周囲の空気が変わった。
「・・・パパに何を言うって?」
ニッコリと微笑んでいるが目が笑っていなかった。
「ごめんなさい!!!!なんでもないデスデス!!!!!」
ジタバタして逃げようとしたが氷は壊れなかった。
涙目のシオンとレイを見てため息をつくと、パチンッと指を鳴らすと氷が砕けて自由の身になった。
「うう、寒いよ~怖いよ~」
「もう、これくらいで大袈裟ね~」
セシリアはこほんっと言ってから話を戻した。
「まぁ、私が生きているから王太子殿下の儀式は失敗するって訳よ」
「あのシスコンの殿下は・・・いえ、シスコンになったのはセシリア様のせいでもあるのですが・・・」
エリザは年の離れたセシリア王女を目の当たりにして、この方には勝てないと心から悟った。そして、その容姿と、破天荒な性格を目にしていたアベル殿下とエリザの憧れの女性になっていたのだ。
「まさか、私を生き返らせるために国を挙げて古代遺跡を探しているとは思わなかったのよ。まぁネクロス王国のハーフエルフに唆されたとも言えるけど。ライラ王女も含めてその2人がヤバいので忠告しに来たの」
「王太子の件はなんとかなるとして、ライラ王女が危険とは?」
野心家だけどそこまでヤバい感じには見えなかったような???
「この2人は手を結んでいるの。表向きは敵対しているようでね」
!?
「嘘でしょ!?」
「そんなライラ王女がそんなことする訳ありませんわ!」
エリザは否定したが、オオラン帝国の王子と婚約して王太子を引きづり下ろそうとした件を思い出し、まさか?と思った。
「あの2人は自分の境遇を悲観して、国を、世界を壊そうとしているのよ。だから絶対に止めないといけない」
「ハーフエルフはわかるけど、ライラ王女って何かあるの?」
セシリアは深いため息をついてから言った。
「まず、現王妃となった、側室の女で、アベル、ジーク、ライラの三人を産んだとされているが、父親は国王じゃないのよ。国王によく似た人物を探してきて、作った子供がこの三人よ」
!?
本日2回目の爆弾発言であった。
「え、じゃ今の王家って国王以外に王族はいないの?」
「そうね。私とシオンと、アイリス以外はいないわね。あ、公爵家であるエリザとかなら薄いけど王家の血は受け継いでいるかな?」
マジか~!
「国王は魔法薬で側室の女性を愛していると勘違いしているみたいだし、惚れ薬の効果もあったのかもね。王妃が死んでも悲しい素振りはなかったから。あのクソ親父が・・・」
あ、ママもそうとうキレてる?
「それで、私達はどうすればいいの?」
「取り敢えず、当初の目的通りに鉱山の街にいるライラ王女と辺境の街に応援申請をして、協力を取り次ぎなさい。そして各街の部隊で王都を包囲して、王太子を捕らえなさい。その時、2人は馬脚を現すでしょう。その時が本当の勝負になるわ」
なるほど。まずは一番目的のわかっていて、力の落ちた王太子から潰していくと………
「わかったわ。色々と情報が多すぎて混乱したけど、取り敢えず目的通りに進めるわね」
「うん、それでいいわ。頑張ってね」
セシリアはシオンの頭を撫でながら言うのだった。




