秘密の暴露!(この小説の最重要案件)
ママは甲板に降り立つと、少し真面目な顔をして話した。
「取り敢えず、これからの事について話しましょう。当面は王太子であるアベルについては、王城の地下で、儀式の準備をしているようね」
!?
「それどうやって知ったのよ?」
「秘密☆」
ムカッとシオンはしたが、深呼吸をして気持ちを落ち着かせた。
「師匠、王太子殿下は人間ソックリのゴーレムに、ソウルアーマーの技術を使って人間の魂を憑依させようとしているのは本当ですか?」
「あらやだ。そこまで気付いたのね?その通りよ。アベル王太子は他の事はどうでもいいみたい。儀式が『成功』したら、各地で集めた資金で他国に亡命する予定よ」
「自分の目的を達成したら後はどうでも良いってこと!本当にムカつくわね」
「まぁ、儀式は【絶対に失敗する】から心配ないわ」
絶対に失敗ってどうしてわかるのよ?
「それより問題なのは、ネクロス王国から来ているハーフエルフのフレイヤと、ライラ王女殿下が問題なのよ」
「ライラ王女が問題?」
シオンを含めて仲間達も首を傾げた。
「はぁ~ライラ王女の事は気付いて無かったようね。彼女が王権に興味があるように振る舞ったのは、本当の目的から目を逸らせるためのブラフよ」
シオンのママの言葉にエリザが前に出た。
「ま、まさか………【貴方様】がシオンさんのお母様?」
シオンの母親の顔を見て驚いていた。
「私の事を覚えていたの?最後に会ったのは、あんなに子供の頃だったのに」
「王城には貴女様の肖像画がありましたので」
あ、そっかーという顔でシオンママはテヘペロの顔をした。
「ママ、その顔ウザいから止めてよ。それよりエリザもママも知り合いだったの?」
「シオンさん知らなかったのですか!この御方は亡くなった先代の王妃様の、たった一人の王女様であるセシリア・アヴァロン王女殿下様ですわ!」
!????
「ほわい???」
「えっ、なに言っているんですか?」
シオンとレイはエリザに、何いってんだお前は?みたいな顔で聞き返した。
「ぷっ、アハハハハ!!!!エリザ、その冗談、ウケるんですけどー!」
「アハハハッ!ガサツな師匠が王女様だなんて、アハハハ!本当にウケるw!!!!」
2人して大笑いしたが、すぐに笑いが止まった。
何故なら2人とも凍りついたからだ。頭だけ残して。
「ガチガチガチッ、ママ、ギブギブッ!?」
「すみません!調子に乗りました!師匠、許してください!」
2人は涙を流しながら懇願した。
「もうっ、しばらく見ないうちに偉くなったものね。少しは反省しなさい」
シオンの母、セシリアはシオンとレイを凍らせたまま話を続けた。
「昔、王妃であるお母様が毒殺されて、王宮が血なまぐさい状態になった時、私は決断を迫られたの。アベルや幼いジークやライラ達を殺して反対派の旗印を消すか、私が死んでアベル達に国を託すかとかね」
!?
「だからママは自分が死んだ事にして身を引いたのね?」
シオンは真面目な事を言ったが、全身は氷り付いたままである。
「それもあるけど、命を狙われている時にダーリンと出会ってね。駆け落ちしたのよ♪」
ズコッと仲間達はズッコケた。シオンとレイは凍っていたので顔だけガックシ状態である。
「それは1割ほど冗談だけど、それ以外の問題もあったしね。そろそろ貴方達にも
真実を教えようと思って来たのよ」
真実って?
「アベル達の母親である側室の彼女が、媚薬の混ざった魔法薬を国王に飲ませていたのが後からわかったの」
!?
「それでは国王様が政務を疎かにし始めたのは・・・」
「薬のせいね。色恋に狂う魔法薬っぽくてね。通常の解毒薬は効かないようなの。後から聞いた話だけど、国王は身体を重ねる行為の前には解毒薬を飲んでから女性の部屋に向かうのが癖だったそうよ。若い時、毒を盛られたことがあったようで、慎重になってたみたい」
「でも、その解毒薬が効かない魔法薬のために気付かなかったと?」
「ええ、それで私がこの国はもう長くないなと思って城を出る事件があったの」
セシリアはシオンとアイリスを見て声を少し小さくして話した。
「アイリス、少し辛い話になるけど我慢してね?」
「えっ、私ですか?はい、大丈夫です」
私はシオンの友達であって関係なくない?
アイリスは首を傾げながら頷いた。
「アイリスとシオンは従姉妹になるの♪」
!!!!!!??????
今まで以上に爆弾を落として来やがりましたよ!
私と従姉妹ってことはアイリスの父親は国王になるってことだよね!?




