決着!
シオンが1人を倒した事で空気が変わった。
「知らないなら教えてあげるわ。すでにこちらは、お前達がアーティファクトの鎧を着ている情報を知っているわ!」
!?
動揺する敵兵に言ってやった。
「私はその鎧を使っても勝ってあげるわ。覚悟しなさい!」
シオンの挑発にソウルアーマーの兵士達は一斉に襲い掛かってきた。
その巨体に似合わない素早さと膂力で大剣を振りかざす。しかし、シオンはその太刀を上手く避ける。
なかなか当たらない剣に苛立ちを覚える敵に、城壁の上から援護射撃が飛んできた。
まずはシオンから離れた場所にいるソウルアーマーに、投石機から爆弾を放ち吹き飛ばす。完全に倒せないが、腕や足を吹き飛ばすほどの効果はあった。
次に攻城兵器の1つで巨大な弓矢で攻撃した。
これは当たれば貫通して倒すが事ができる威力があった。
そして高い魔法耐性がある為に、魔法部隊はシオンの身体強化と、敵の目眩ましを集中して行い、一番効果があったのはアイリスの作った、【トリモチ爆弾】だった。
当たると、トリモチが周囲に散らばり動きを封じるのだ。ソウルアーマーは強い力を持つが、流石に精細な指の動きは出来ないようで、身体に付いたトリモチを剥がすことが出来ないようだった。
「トリモチ爆弾、思ったより効果があるわね」
シオンは城壁に近い場所で戦いながら周囲の状況を把握していた。
そして戦いながらシオンは遂にソウルアーマーの弱点を見つけた。
腕や足を飛ばしても動き続ける。さらに、首を(兜)飛ばしても動いて首を拾って装着し直したが、頭兜の上にある角の様な部分を破壊すると悲鳴を上げて倒れたのだ。
現代風に言えば、電波の受信するアンテナの様な部分だと推測された。そう、生身の本体とソウルアーマーの繋ぎ止める生命線とも呼ばれる部分だ。
それからシオンは30体ほど倒したが、急にソウルアーマー達が悲鳴を上げて倒れだした。
「これは………もしかして?」
それからは順番に倒れていくソウルアーマー達を見守るだけだった。慌てて逃げ出す者もいたが、そのまま途中で倒れていった。
そして全てのソウルアーマーが倒れると、城門が開かれエリザやアイリス達が駆け寄った。
「シオンさん大丈夫でしたか!?」
「シオン、大丈夫!」
シオンは大丈夫と頷くと状況を確認した。
「レイ達が上手くやったようだね」
「そうですわ。生身の本体を倒したのですわ」
ようやくシオンは肩の力を抜くのであった。
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少し前───
「レイ様、見つけました」
索敵に長けたツクヨミは森の中でソウルアーマーの生身の本体を見つけた。
「護衛は少数、ただソウルアーマーの護衛が数体確認出来ました」
ソウルアーマーは数体でも驚異だ。
それを抑えなければならない。
「数体ぐらいなら大丈夫だ。僕とツクヨミで何とかなる。他の者は生身の本体を倒してくれ」
「しかし、眠っているとの話でしたが、まさか【棺桶】に入っているとは思いませんでしたね」
魂を鎧に憑依して動かすソウルアーマーは意識が鎧を動かしている間は眠った状態になると予想されていたが、ガッチリした棺桶に入っているとは思わなかったのだ。
「いや、デザインはともかく、アレもソウルアーマーと魂を結ぶ魔道具の一種なのだろう」
「なるほど。生身の身体も魔道具の中にいないと動かせないと言う訳ですか。納得しました」
打ち合わせをしてからレイ達は飛び出した。まずツクヨミが煙幕を放って視界を奪い、グラン騎士団の仲間が護衛をまず殲滅してから、棺桶に剣を突き刺して倒していった。レイとツクヨミはソウルアーマの相手をしていたが、運の良いことに10分ほど相手をしていると、棺桶の中身を倒したようで、断末魔の叫び声を上げて倒れた。
そして全ての棺桶に剣を刺してから炎で全て焼き払った。
ただ、勿体無いので兵糧や武具の予備などは持ち帰った。
こうして第一次の戦争は終結したのであった。
しかし、まだこれで終わりではなかった。
オオラン帝国は引いたが、王都の王太子と裏で手を引くネクロス王国の影がまだ揺らめいているのだった。




