作戦会議!
フォークさんから屋敷に案内されて、執務室へと向かった。
重厚なドアを開くと、エリザと同じ髪の男性が書類と向かい合っていた。
「報告は聞いている。帰るまで時間が掛かったな?無事で安心したぞ」
「はい、辺境の街にからアヴァロン王国の半分を回って協力者を集めていました」
軽く息を吐いてエリザの父親は言った。
「ジーク第二王子だな。彼の案は素晴らしい物だった。だから私も賛同したのだが、鉱山の街はライラ王女殿下に取られたそうだな?」
「ええ、王太子殿下の派閥の貴族がクズ過ぎまして、私が制裁を加えたかったのですがライラ王女が自らが足を運び、鉱山の魔物を退治されましたので、鉱山のマイニはライラ様に感謝しております。崩すのは難しい状態です」
「ふむ、それで私も聞きたいのだが、王太子殿下の新しい近衛騎士に心当たりはないか?偵察を送ったのだが、人間離れした強さのものが5百人も突然現れるわけがないのだ!」
「あ、それなら心当たりがあるよ。ただ私の仲間が詳しいので、みんな集まってからでもいいでしょうか?」
「そういえば君は?名乗るのが遅れた。私はエリザの父で、バードン・グランフォードだ」
「私はAランク冒険者のシオンです。森でエリザを助けたのが始まりかな?」
「おおっ!君がエリザを救ってくれた冒険者か!1人の父として感謝するぞ!娘を助けてくれて本当にありがとう!」
おおぅ!?
バードンは両手でシオンの手を握ってブンブンと振った。
和やかな雰囲気になった所でレイ達も到着した。
「お待たせ。どこまで話が進んでいるんだい?」
「みんなが来てから話そうと思ってこれからだよ」
執務室は狭いので、応接室に移動してフォークさんも交えて話し合いがスタートした。
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「ではソウルアーマー(魂の鎧)と呼ばれる古代兵器の可能性があると?」
「ええ、鎧の中は空っぽのはずです」
公爵は腕を組んで考え込んだ。
「ねぇ、リビングアーマーみたいに、光魔法で浄化出来ないの?」
「それは無理ですわ。魔導具で鎧に魂を憑依させて動かすので、除霊の魔法は効きません」
「マジかー!ソウルアーマーは疲れもないんでしょ?無敵じゃん!」
無敵?
本当に?
魂を憑依させるってことは元の身体は?
あっ!?
「わかった!?弱点あるじゃん!?」
シオンの叫び声に周囲が驚いた。
「何か気付いたのかシオン!」
「うん!魂を憑依させるってことは、元々の身体はどうなっているの?」
!?
「確か、意識がなく眠っている状態のはず……!?」
「そう!その眠っている本体を探して倒せばソウルアーマーも動かなくなるよね?」
「なるほど!それは良い考えだ。王太子の方も僕達が古代兵器の正体を知らないと思っているだろうから、警備は手薄のはずだよ」
「問題はソウルアーマーの起動出来る距離だね。どんなに離れていても動かせれるの?」
「いいえ、本来の身体から三キロぐらいの距離が限界のはずです」
「それでも三キロの距離か~」
けっこうな範囲があるよ?
「いや、エリザやシオン君達が戻ってきてくれて助かった。ソウルアーマーが向かってくる場所が分かれば、だいたいの隠れる場所は予想ができる。ここは私の領地だからな」
ここはバードン公爵にお願いするとしようか。
「でも一度は相手をしてみたいな。どれほど強いのか」
「それは嫌でもそうなると思うよ。本体を見つける間は時間を稼がないといけないからね」
「それはそうだが、今回は防衛戦になる。無理に戦わず、城壁など上手く利用して時間を稼ぐつもりだ。ただ…………」
公爵は深いため息を付いた。
「オオラン帝国ですね」
「ああ、戦力をこの街に集中させたので、国境はオオラン帝国に落ちてしまった」
「それはまずいですね。いつでも進軍できるって事じゃないですか」
「正直、王太子の古代兵器とオオラン帝国の軍の2つを相手には出来ない」
それならその2つの軍を潰し合って貰おうかな?
シオンは不敵に微笑むのだった。




