合流!
夕方になり貴族街の宿屋に戻ってきたシオン達とレイは情報交換をを交わした。
「こっちはエリザが色々と見てくれて、疲れたけど情報が少し集まったよ」
「それはよかった。こっちは有力な情報は余りないけど、治安の悪さなど気になった所がいくつかあるかな」
貴族街の方から情報を伝え、裕福層の話を聞いたところで、エリザ達が顔を引き攣らせた。
「スリは軽犯罪ではありますが、容赦がありませんわね」
「スリの指の骨を瞬時に折るなんて、シオンも大概ですがレイも同類だったなんて」
エリザとエリーゼの言葉に、私は普通だよ?
シオンは首を傾げた。
「でも店と手を組んでいるだなんてタチが悪いですわ」
「でも全ての店ではないんだよね?」
最後に入った高級店は例外だったのだろう。
「恐らく、その店のバックには貴族がいるんですわ。もしくは貴族が運営しているのか。だからスリグループも手を出してこないと見るべきですわね」
なるほどと手を叩いた。
「アヴァロン王国より貧富の差が酷いみたい」
「貴族のプライドもこっちの方が高そうだ」
だが、戦争というワードは引き出せなかった。
「でも、アヴァロン王国と戦争しようという空気はないね」
シオンの言葉に仲間達は頷いた。
「一部の王侯貴族が独断でやっているのか、秘密裏に動いているのか、まだわからないわね」
「余り滞在できないけど、これからどうするの?」
シオンの言葉にエリザが答えた。
「明後日、ちょっとしたパーティがあるそうなの。それに参加しましょう」
「でも、そういうのって紹介状が必要なんじゃないの?」
エリザはシオンのもらったアーロン商会のメダルを出すように言った。
「このアーロン商会は思った以上に大きい商会みたいなの。明日、店舗に行って詳しい話を聞こうと思うのよ」
「なるほど。このメダルが紹介状の代わりとして使えるか確認するんだな?」
エリザは頷くと、ものすごく良い顔でシオンに微笑んだ。
「明日は朝早くに起きて、準備しましょうね♪」
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シオンは意味がわからなくて動揺した。
「えっ、私も????」
「当然じゃない。グーちゃんの馬車でアーロン商会に乗り込むのよ。最高級の馬車に美しい女性が店に行けば向こうも無碍にはしないわよ」
「およよよっ?美しい女性!?」
「シオンさんも着飾れば綺麗ですわよ♪」
「おおっー♪」
それは着飾ってない今は綺麗ではないと言ってないか?
シオンも女の子なのである。美しい女性と言われて満更ではないのだ。
「うまくパーティーに参加できたらそこで情報収集するのね」
「ええ、絶対に何か掴んで見せますわ!」
エリザは燃えていた。
「アヴァロン王国に戻ったら王太子と姫様の動向をエリザのお父さんに聞かないといけないね」
「ああ、すでに王太子は遺跡から何かしらの兵器を発掘して研究しているはずだ。姫様も対抗としてオオラン帝国の王子との婚約を急いでいる段階だろう」
「今の段階ではジーク第二王子は静観するしかない状態だよね?」
「王位継承権を破棄して、辺境の騎士団しか戦力がありませんもの。そこにお父様と手を結んだとして、鉱山の街はライラ姫殿下に取られましたし、シオンの街レザーは協力してくれそうですが、厳しい状況ですわね」
エリザが考え込んだ所でレイが指摘した。
「まず、ジーク第二王子がやろうとしている事は半分は成功している。三大都市を独立させて、王都に圧力を掛けること。鉱山の街を姫殿下に取られたとはいえ、敵の敵は味方ってね」
「でも三大都市の連携ができないのは厳しいよ。王太子に圧力を掛けるも、鉱山の街マイニが離反したら意味をなさなくなるもの」
「そうだね。辺境の街スローがそのまま孤立しちゃうしなぁ~」
北と東と南の都市が連携して初めて王都に圧力を掛けれるからね。
シオンとエリザ以外は明日は自由行動になるし、1番外側の平民区画も行ってみることになった。
「あ、そうだ。これシオンに買ってきたんだ。よかったら使って欲しい」
レイはシオンに小さな宝石のついたイヤリングをプレゼントした。
「私に?ありがとう♪わーい!」
シオンは素直に喜び、明日のドレスとセットで着けることになった。
仲間達はその様子をニマニマと生暖かい顔で見ている状態だった。
『あの奥手のレイが成長したね。でもシオンには好意を気付いてもらってないけどね』
仲間達の、主に女性陣の心が一つになった瞬間だった。
だがシオンは知ることになる。
朝早くから叩き起こされて、髪型のセッテイングなど2時間もかけて着飾ると言う地獄を味わうことになることを。




