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婚約破棄されて森に捨てられた悪役令嬢を救ったら〜〜名もなき平民の世直し戦記〜〜  作者: naturalsoft


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探索2

シオンが着せ替え人形をしている時、レイとアイリスは裕福層の街中を探索していた。


「そこそこ人の出入りは多いね」

「そうね。全体的に値段は高目だけど、そこまでじゃないわ。裕福層と言っても商人で成功して大金持ちもいれば、そこそこの成功でそれなりのって人もいるしね」


値段的には2~3割ほど高いが、そこまで高いと言う気はしない。だが、貧民にとっては感じ方が違うだろう。


「はぁ~僕達ってそんなにカモに見えるのかな?」

「そだねー、ちょっとスリが多すぎだよね~」


軽い口調だが、2人を狙ったスリが何度も襲ってきた。アイリスはともかく、レイは容赦しなかった。懐に手を入れてきた時点で、スリの指の骨を折っていた。まさに神業である。


「これで骨が治るまでスリはできないだろう」

「うわぁ~レイ君って鬼畜だね♪」


まぁ、レイの浴衣のような服はヤりやすいと思われたのもあるだろうが、2人の通った後は指を折られたスリが大勢転がっていた。まぁ、中には我慢して走って逃げた者もいたが。


しかしレイは気付いてしまった。

スリの大半が子供だった事に。


ちなみにアイリスは魔法で自身に弱い結界を張っており、服に手を入れようとしても弾かれるのだった。


「でもまぁ、これで僕達に手を出せば痛い目をみると分かれば、これからは襲撃は減るだろう」


2人は道に転がったスリ達を気にせずに歩き出した。


いくつかの店に入り、気になる物を買った。

主にアイリスが。そしてレイは違和感を覚えた。


「なぁ、気付いているか?」

「うん、レイは今頃気付いたの~?お遅れてるよぉ~」


ムカっとアイリスは馬車の事をまだ不快に思っているらしく、少し意地悪だった。


「悪かったよ。それでアイリスの見解は?」

「多分、店とスリ達はグルだね。店で高い買物をした旅人とかのカモを狙っているわ」


やっぱりか。


「店から出て狙われたのはそう言う事か」

「でも少し前の通りの事を知らないようだし、情報共有されてないみたい。店によってグループが違うのかも」


「迷惑な話だ。スリ同士のテリトリーがあるって訳か」


レイはゲンナリしながら言葉を吐いた。


「店の店主がこの客はダメとか良いとか決めているのかな?」

「だから、僕達ってそんなにカモに見えるの?」


アイリスは苦笑いをしてレイを指差した。


「まぁ、年端も若い『女の子』が2人で買物していれば狙われるよね♪」


???


「はぁ?何を言って────マジか!?」


レイもようやく自分が女だと思われているのに気付いた。


「レイってしっかりしてそうで抜けてるよね。さっきの雑貨屋で女の子用のリボン勧められてたじゃない?」


ガーン!

レイはショックが大きかった。


「………くそぅ、どいつもこいつも」


『はぁ、本当にレイって好物件なのに残念系美少年なんだから、シオンへの気持ちも伝わってなさそうだしね~』


どんな時代や異世界でも、恋バナは女の子には面白い話題である。アイリスは2人の関係を妄想してニマニマするのだった。


「なんだよアイリス。気持ち悪い顔をして」

「はぁ~そういうトコだよ残念少年………」


アイリスは本当に残念な人をみる顔になっていた。

レイとアイリスは少し高級そうな宝石店に入った。


「いらっしゃっいませ。何かお探しでしょうか?」


店に入るとすぐに店員がやってきた。


「少し女性用のアクセサリーを見せて欲しい」


「かしこまりました。御自分用でしょうか?お隣りの女性の分でしょうか?」


!?


「僕達の分じゃない!プレゼント用だよ!」


レイはムキになって言い放った。

アイリスはそこで私の分も買ってくれれば甲斐性ありになるのになぁ~と思った。

お金に余裕があるので、いつも変な薬品や道具しか買わないアイリスも、ついでに小物を見繕って買ってみた。


「うん♪たまには良いわね♪」


蒼い宝石の付いたブローチだった。


「レイはシオンのプレゼントに何を買ったの?」

「べ、別にシオンにあげるなんて言ってないし」


はいはい、そういうのは良いから。

アイリスは胸元に買ったばかりのブローチを着けてお会計したが───


「あ、あのお客様、帰りは馬車でしょうか?」

「いえ、歩きですが?」


店員が言いにくそうに言ってきた。


「知らないと言うことは最近、王都にやってきた方ですね?ここいらはスリが多いので高価な宝石類は着けていかない方がよろしいかと」



おや?

ここはグルではなさそうだ。


「ありがとう。注意するよ」


レイとアイリスは御礼を言うと店を後にした。

でもアイリスはそのままブローチを付けて出て行った。


「出待ちはなさそうね」

「ああ、あちらこちらにスリ特有の気配はするけどな」


なんて治安の悪い街だ。


「隣国とはいえ、王都でこの治安の悪さ。エリザが政策を気にしそうだ」


アイリスも苦笑いをしながら裕福層街を練り歩き、スリホイホイとなって、スリ達の指を折りまくって治安改善に一役買う事になるのだった。




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