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婚約破棄されて森に捨てられた悪役令嬢を救ったら〜〜名もなき平民の世直し戦記〜〜  作者: naturalsoft


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魔女と聖女(ギャグ回)

シオンが出る前にエリザの魔法が炸裂した。


「およよよ?」


出鼻をくじかれ振り返ると、そこには悪役令嬢ではなく悪役の魔女が髪の毛を逆撫でして立っていた。

ゴゴゴゴゴッッ!!!!!


魔力の高まりで大地が揺れるほどだった。


「え、エリザさん?どうかしたの?」


思わずさん付けで呼ぶシオンにエリザが答えた。


「昨日、話を聞きましたが、領主の息子でありながら、治める領地の領民を痛めつけ、更には殺害までするなんて、絶対に許せませんわ!」



いや、本当に殺した訳じゃないんだけど?」

あれ?言ってなかったけ???

シオンは視線をレイに向けると、レイは慌てて首を振った。ちゃんとブラフだったと言っていたようだ。


「そこのゴミクズ産業廃棄物よ!聞きなさい!お前は領民を何だと思っているのですか!」


ええっ!私もそこまで言ってないよ!?


「何なんだ!お前は!?領民なんて領主の奴隷に過ぎないだろうが!領主の為に税と言う金を稼いでくるなっ!」


ブチっと音がした。

比喩的表現ではなく物理的に聞こえたよ!マジで!!?


「ふ、ふふふ・・・なんの生産性もないお前を駆除しても問題なさそうですわね」


・・・・それからは目の前は地獄と化した。

いつの間に覚えたのか、結界魔法でゴロツキ達を閉じ込めて、爆裂呪文を『手加減???』して放ちまくるエリザにシオンは、いや、シオン達仲間は相手に同情するのだった。

どんなに泣き叫ぼう等も、高笑いしながら魔法を放ちまくって、吹き飛ばされるゴロツキ達。泣きながら、結界を手で叩きながら出してくれーと泣き叫ぶ、クズデブやゴロツキに容赦ない魔法が飛んでいった。


「おーーーーーほほほほほっっ!愚民どもが!何を泣いているのですか?自分で言っていたではないですか?貴族にとって領民は奴隷なのでしょう?勘当された貴方は貴族では無くなったのです。つまり、貴方の言う所の奴隷になったのでしょう?なら、何をされても問題ないですわよね?ああ、嬉し涙なのかしら?それならもっと感謝しなさいよ!ほら!ほら!」



・・・・エリザ、ストレスが溜まっていたんだね。(ホロリッ

仲間達は絶対にエリザを怒らせないようにしようと心が一つになった瞬間だった。


エリザが魔法を放つたびにゴロツキ達は空高く吹き飛ばされるが打ち身以外のダメージはほとんど無かった。故に、何度でも吹き飛ばされる痛みと苦しみを永遠に味わうことになった。絶妙な手加減で気絶することもできず、ボロボロになってボロ雑巾のように転がった。


全員が倒れ伏せってからエリザは結界を解いてクズデブに近づいた。

誰もエリザを止める者はいなかった。


ゲシッゲシッとクズデブを蹴った。


「ぎゃっ!?」


余りの痛さに悲鳴を上げる。


「も、もう許してください・・・」


失禁し、涙と鼻水でぐしゃぐしゃな顔で懇願する。


「なら、私の質問に答えなさい。そしたら『楽』にしてあげるわ」

「はひ、何でも言います!」


エリザは間をおいて言った。


「昨日、お前は死んだレストランの支配人を何回蹴った?」


!?


クズデブはこの時初めて自分がどんな残虐なことをしていたのか理解したのだった。

そして自分を恥じて初めて泣いたのだった。


「・・・ふぅ、ようやく自分の犯した罪を理解しましたか」


エリザは軽くため息を吐くと、回復魔法を使った。


「えっ!?エリザって回復魔法が使えたの?」

「僕も知らなかった」


しかも周辺に転がっていたゴロツキにも回復魔法の効果のあるエリアヒールと言う上級魔法だった。


「あれ?痛みが・・・・生きてる?」


自分の体を触って生きていることを実感する。


「貴方は今、人の痛みを知り自分の罪を自覚しました。貴方はようやく人間になったのです」

「あ、あぁぁぁぁぁ・・・」


周囲のゴロツキも泣き崩れていた。


「心の痛みがわかる人間になったのなら慈悲を与えるのは当然です。これからは真っ当に生きなさい。自分がされて嫌なことはしない。なるべくで良いので、困った人は助けるようにしなさい。人から感謝される喜びを知れば貴方はこの街で多くの方に信頼され頼られる人物になるでしょう」


エリザの言葉が身に沁みたのか、誰ともなく聖女様と呼ばれるようになった。

クズデブとゴロツキは生まれ変わったかのように涙を流しながらエリザに手を合わせて祈っていた。


そして、シオン達は何を見せられているのか、わからず置いてけぼりになっていたの言うまでもない。


後に、この改心した者達は皆に言い聞かせたと言う。

悪事を働けば死んだ方がマシと言うくらい『魔女』に身も心もボロボロにされる。ただし己を見つめ直し改心すれば『聖女』が降臨されると語り継がれることになるのだった。










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