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婚約破棄されて森に捨てられた悪役令嬢を救ったら〜〜名もなき平民の世直し戦記〜〜  作者: naturalsoft


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終焉

その日、エルフの国は歓声に包まれた。

数十人のエルフの魔法攻撃にも耐えたドラゴンを一撃で一刀両断したシオンは、エルフの国の英雄となった。


シオンの周囲には、エルフ達が集まりシオンの功績を褒め称えた。


「いやー!照れるなぁ~♪」


エルフに囲まれて有頂天になっているノリの良いシオンはワイワイと質問に答えていた。

少し離れた場所でレイが落ち込んでいた。


「どうしたの?みんな喜んでいる中で、辛気臭い顔しちゃって」

「いや、久しぶりにシオンの本気をみて、自分の実力不足を痛感していた所だよ」


「あ~、そんなこと?今さらでしょ?」


「酷くない!?」


「そんな事より、シオン大丈夫なの?あの技の反動って凄いでしょ?」


「………カラ元気で痩せ我慢している」


「シオンが頑張っているんだから、落ち込む暇があったら、訓練を頑張ればいいんだよ~」


アイリスに言われてレイも気合いを入れ直した。

そして遂に、城の中から女王が出てきた。

城に閉じ籠もっていた側近達を引き連れて現れたのだ。


ざわざわ

ざわざわ


『今さら現れて何様よ』

『何様のつもりかしら?』

『俺達を見捨てたくせに』


周囲から女王に否定的な声が上がった。

女王はそれらの声を無視してシオンに話しかけた。


「お前達がドラゴンを倒した所を確認した。それについては感謝しよう。だがここはエルフの国である。厄介事を持ってくる人間は即退去してもらおう」


!?


女王の言葉に周囲のエルフが反論した。


「ふざけるなっ!この方々が我々にどれだけの事をしてくれたと思っている!」

「そうだ!疫病の治療と支援物資の配給など、大恩人を追放などしたら、エルフの誇りは地に堕ちるぞ!」


女王は目を開いてシオンを見た。


「あら?知らなかったようね。まぁ、ずっと城に閉じ籠もっていたんだから仕方がないよね?」


流石の女王も気不味いと思ったのか目を逸らした。


「私は理解ある方だから貴女を否定しないよ。為政者として、疫病が蔓延した時、隔離したりするのは当然だと思うからね」


「お、おお、そうか、そうか、人間にしては上に立つ者の苦労をわかっておるではないか」


「私からは何もないけど、貴女の娘が何か云いたいらしいよ?」


「なに?」


女王はすでに死んだと思っていたのだろう。後ろからやってきたエリーゼをみて驚いていた。


「生きておったか。悪運の良い娘じゃ。お主も私を怨んでいるのか?」


エリーゼは首を振った。


「いいえ、確かに悲しかったけど、シオンの言った通り、為政者として病人を隔離したりするのは当然だから、私は今回の処置は複雑な気持ちだけど納得はしている。でも───」


エリーゼは倒されたドラゴンを一瞬見てから言った。


「今回の疫病の原因を作った女王を私は許さない!」


!?


ざわっと周囲が騒がしくなった。


「なにをバカなことを!私は何もしていないわ!」

「そう……貴女は何もしなかった。私はシオンと共に、疫病の原因を探りました。そして、この国の北にある廃鉱山から流れる川が原因と判明しました」


エリーゼの言葉にエルフ達は息を呑んだ。


「それがどうしたと───はっ!?」

「気付きましたか?本来であれば結界の水晶を使い、魔物が寄り付かないよう結界が張ってあったはずが、その結界はありませんでした。そして、洞窟内でゴブリンが繁殖しており、そのゴブリンの排泄物が原因で疫病が起きたのです!」


エルフ達は女王を睨みつけた。


「女王のせいで疫病が………」

「私の子供が死んだのは女王のせい」

「俺の妻が死んだのも……」


国中のエルフの憎悪が女王に向いた。


「ち、違う!これは何かの間違いじゃ!はっ、そうじゃ思い出した。廃鉱山の結界は私の側近の1人が政務で大変だからと、代わりに結界を維持すると言ってきたのじゃ!原因を作った側近を連れてくるのじゃ!」


この後に及んで責任逃れかとエルフ達の殺意が上がった。


「それは無理ですよ。だって彼はもう死んでいますから」


エリーゼはドラゴンを指差した。


「死んだドラゴンがなんじゃ──!?」


他のエルフも気付いたようだ。


「な、なんだあれは!?」


ドラゴンと同化していたエルフに気付いた。


「これは復讐だったそうです。貴女の秘密に気付いて殺された婚約者のね」


女王の秘密?


「ま、まさか───」

「そう、本来は国の結界や周囲の施設の結界を維持する為に、魔力の多い者が女王になるはずだった。しかし、魔力の少ない現

女王エリザベートが、黒魔術に手を染め、周囲の我々から魔力を吸い取ると言う悪質な魔法で、自分の魔力量を謀っていたのです!女王候補からその不正をして、こんにちまで今の地位に就いていた!」


嘘だろ!?

流石のエルフ達も驚きの声を上げて女王をみた。


「そしてその秘密に気付いた者を殺していった。たまたま、殺される前に手紙を残して、婚約者に伝えていた所までは把握できてなかったようですね」


「嘘じゃ!そんな証拠が何処にある!?」

「黒魔術で魔力を吸い取っていたのでしょう?ドラゴンのブレスで魔法陣は壊れています。今の貴女の少ない魔力量が証拠であり、壊れた魔法陣が出てこれば間違いないでしょう」


女王は真っ青になって膝を着いた。










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