汚物は殲滅しよう!
話を聞いたエリーゼを含めてエルフ達は気分が悪くなり吐いた。
「カハッ、ゴホゴホッッッ」
「大丈夫?川には私達も排泄物を流すじゃない。そんなに気にしない方がいいよ?」
「そ、そうですね………見苦しい所をお見せして申し訳ありません」
「人間もそうだけど排泄物って悪いバイ菌がいっぱいだからね。ここのゴブリンを殲滅して結界を張り直せば大丈夫だと思うよ」
「本当に何から何までありがとうございます。この件が片付いたら、女王に問い質さなければなりません」
本当にね~
職務怠慢でどれだけの国民を苦しめたのか。
これは政権交代の案件だよね。
まぁ、私には関係ないけど。
「それじゃ、サクッと殺っちゃいますか!」
シオンは腕に付けた簡易の弓矢で見張りのゴブリンを倒した。
「問題はどれだけの数が増えているのかだね」
「応援を呼んできた方がよかったでしょうか?」
そうなんだよね。
「1人は応援を呼んできて貰える?念のために」
同行していたエルフの1人が返事をして走って言った。
「まぁ、私達ならゴブリンぐらい大丈夫だけどね」
「油断は禁物だよ?シオンに何かあったら僕が師匠に殺されるから」
「わかってるわよ。油断せずにいきましょう」
武器を構えて洞窟へと入っていった。
洞窟の通路は広く、武器を振り回しても問題ない広さだった。
「静かに。この奥にゴブリンが多くいるわ」
「よく気付きますね。我々でも集中していないと聞こえない音に」
「まぁ修行の賜物だね」
ゆっくり進んで行くと、大きな広場の様な場所にゴブリンが……数えるのも面倒なくらい居た。
「見て、広場の横に川が流れているわ。生活に便利な場所って訳ね」
魔物でも水分補給が必要なものは多い。水分補給に、汚物を流せる川があり、洞窟の入口さえ守っていれば生活を脅かされるものはない。
かなりの好条件の物件のようだ。
「アイリス、今回は毒の使用を許可します。遠慮なく殺って下さい!」
「本当に!頑張るよ~!!!」
エルフのみんなを救う薬を作ってくれていたアイリスの人物像が崩れていくエルフ達であった。
例のバズーカに劇毒をセットして、ドッカーーーーーン!!!!
シオン達は念のためマスクを装着していた。
毒の煙が充満して広場にいたゴブリン達が次々に息絶えていった。
「そろそろ、行きましょうか」
しばらくして毒の煙がなくなった事を確認するとシオン達は奥へ進んだ。
「これは凄いね。軽く300匹ほどいるね」
「そうだね。問題は奥にまだいるかも知れない」
エリーゼが炎の魔法で焼却処分をしようとして、慌てて止めた。
「待って、帰りが危ないから、1番奥まで行ってから帰りに燃やしましょう」
「くっ、そうですね。わかりました」
燃やすのを我慢して、更に奥に向かった。
「けっこう深いね。まだ奥まで着かないのかな?」
「すみません。私も入るのは初めてでして、どこまで続いているのか知らないんです」
10分ほど歩き続けるが、ゴブリンには遭遇していない。
「妙ね?あれだけいたゴブリンが、この通路をほとんど使っていない?」
「この奥に行っていいのは上位種のみとかあったのかも知れないね」
もう少し進むと奥が明るくなってきた。
明かりが差し込んでいる様だ。
「何か変な気配がするわ」
「ああ、ゴブリン以外の何かがいるな」
異様な気配に警戒心を最大限に慎重に進んでいった。すると奥にも開けた場所があり、天井に穴が空いており、そこから光が入ってきていた。
「天井が空いてる………」
!?
「シオン!アレをみて!!!」
「えっ?」
レイの緊迫した呼び声に視線を下に向けると───
グルルルッッッ
「ど、ドラゴン!?」
巨大な魔法陣が淡い光を放っており、その中心にドラゴンが寝ていた。
「何故、ゴブリンの住処にドラゴンが!?」
「いや、魔法陣を見て。明らかに何者かの手が入っているわ。まさかとは思うけど、エルフの疫病も故意な陰謀だった可能性がでてきたわね」
エリーゼは目を開いて驚いた。
「そんな、まさか………」
『いえいえ、疫病は偶然なんですよ?』
!?
何者かの声が聞こえてきて、シオンとレイは瞬時に前後に移動して、全周を警戒した。




