素材採取をしよう！
街の中に入れたシオン達は馬車の止めれる宿屋に入った。
「いらっしゃいませ」
チャリーンとシオンは金貨を3枚置いた。
「取り合えずこれで一週間お願い」
「えっと、かなり金額が多いのですが・・・？」
宿屋の人が困惑してシオンを見た。
「外の馬車が特注でね。入口で騎士団の許可は得たわ。馬車に近づかなければ問題ないから」
騎獣が馬でないことを伝えた。
「か、かしこまりました。近づかなければ大丈夫なのですね？」
「うん、餌は私が与えるから」
少し怯えながらも宿屋の主人は騎士団の許可があるならと了承してくれた。
部屋についたシオン達は、各自で街を探索することにした。
「アイリスは着いた早々に部屋で休むってさ」
「まぁ、仕方がないよ。アイリスだし」
「そだね。アイリスだしね」
なんかアイリスが可哀想な子の設定になってきたこの頃。こほんっ、シオン達はアイリスのことを忘れて、初めてきた街の探索を楽しんだ。
「街の治安がいいね。しっかりと騎士団の威光が効いているみたい」
「威光だけじゃないよ。巡回もしっかりしているし、街の人々も騎士団を信用しているようだ」
街を通れば治安が良いなどすぐわかる。巡回している騎士がお年寄りの荷物を持って移動したりと、信頼関係が築けているのがわかる。
「これが本来の形なんだよね～」
「うん、この街は良い街だと思うよ」
街の人に話を聞いてみると面白い話が聞けた。
「この街の部隊長のブライアンさんって元は騎士団の代表である騎士団長団だって」
「政争に負けて左遷か。でも、あの覇気を見る限り腐ってはいないようだ」
シオンもうんうんと頷いた。
色々と買い物をして宿屋に帰るとすっかり日も落ちていた。
「遅くなってごめんね。ご飯食べに行こう」
「待ってました～お腹空いたよ～」
アイリスが死にそうになっていた。
「どうしたの？」
「下から美味しそうな匂いが漂ってきていてお腹空いたの～」
ああ、人見知りのアイリスは1人で降りられなかったのね。
宿屋の一階は食堂になっている作りだった。シオン達は一階に降りて食事を取ることにした。
オススメメニューを頼むと、とても美味しくてみんな満足した感じだった。
「明日の予定は？」
「相手の出方待ちだからハンターの仕事をするよ」
「まぁ妥当だね。この辺りの動植物にも興味があったし」
エリザとアイリスはお留守番になった。
騎士団が近くにいる状態であまり外に出ない方がいいという話になった。
「アイリス、借りている部屋なんだから研究はお休みだからね？」
「わかってますよ～急に出る時、片付けが大変だから、兵器の点検ぐらいにしておくよ～」
本当に大丈夫ですの？
エリザは少し不安に思った。
次の日になりました。
シオンは森に素材採取に、アイリスは宿屋で兵器のメンテをしていました。
するとどうでしょう。森の木の上に、なんと！とても大きなタマゴがなっているではありませんか、これは美味しそうと、タマゴの蔓を切って下に落とそうとしました。
そしてタマゴを割ろうとすると───
「ちょっとストップ！意味がわからないよ。シオン、余り変なナレーションは言わないように」
レイがため息を付いて言いました。
「え～だって～～」
「だってじゃないの！なんだよその木にタマゴが実ってるって！暇だからって、変な事を言いながら歩くの禁止！」
少し怒り気味でいうレイに、シオンは指を差した。
「じゃ、あれを見てよ」
「うん？あれって・・・タマゴ？えっ？ええっ？タマゴが木になってる！！！！？」
目を丸くしてレイはタマゴを凝視した。
不思議な光景であった。
タマゴが木に引っ掛かっているのではなく、植物の実のようになっているのだ。
「だから言ったじゃない。ちょっと切って落とすね」
「あ、シオン！？」
ジャンプしてスパッと切って落とした。
「なんだろうね。タマゴの形をした木の実なのかな？」
「はぁ、まずは安全を確認してからっていつも言っているよね？」
レイは余りも非現実的な状況に強く言えなかった。
「さて、防御魔法OK、盾KO、周囲に人影なし」
極稀に爆発したりする物もあるため、細心の注意が必要なのだ。
「この地域ならではの物かな？楽しみだね」
「そういう所がシオンだよなぁ～」
初めて見る動植物に目を輝かせている。
そしてタマゴを軽く切るとナイフがサクッと入った。
「やっぱり殻じゃないね。木の実みたい」
「今日見た街の市場にはなかったね。珍しいのかな？」
パッチテストと、毒を感知する薬品を使って毒がないか調べた。
「毒もなさそうね」
「待て！毒はなくても食べないでね？身体に悪い成分があるかも知れないから」
「もう！そんなに食いしん坊じゃないから。まずは街の人に聞いてからだね」
膨れるシオンは少し可愛いと思ったレイだった。
