ダンジョンへ行こう!
自宅に戻るとエリザとアイリスはもう屋敷に戻っていた。
「やっほー!戻ったよ」
「あらシオンさんどうでしたか」
シオンはちょうど領主が来ていた事とダンジョンに潜る事を話した。
「ではその領主の方に手紙を渡せばよろしいのですね」
「うん、直接持っていってくれるって。今なら近衛騎士団に徴収という略奪の相談って事で怪しまれないしね」
エリザは喜んだ。
「エリザのお父さんも無事だといいね」
「ええ、私と違いお父様には個人的に雇っている私兵団いますのできっと無事ですわ」
「あれ?どうしてエリザは騎士団に送ってもらったの?」
「婚約破棄されたとはいえ、長年に渡り次期王妃として準王族として、政務に取り組み王城で暮らしていましたので、最後の仕事だと言われて騎士団に送ってもらうことなりましたの」
なるほどね。
幼い頃からの婚約者を蔑ろにして、更に殺そうとするなんて王子のヤツ最低だな。シオンは王子の評価を更に下げるのだった。
「ってか、アイリスはどうして机に伏せって死んでるの?」
「なんか久しぶりに外にでて人混みに酔ったそうですわ」
ああ、昨日の略奪で朝から街の人々が外にでて話してたからなぁ~
「アイリス、アイリス、朗報だよ♪」
シオンの声掛けにアイリスはようやく顔だけ起こした。
「なに?シオン?」
「これからダンジョンに向かいます!準備して下さい!」
ガバッと起きてシオンをみた。
「えっ、本当に!?すぐに用意するね!」
ドタバタと部屋に走っていった。そんな様子をエリザは不思議に見ていた。
「あら?意外ですわ。ダンジョンに出掛けるなんて嫌がりそうですのに」
「そだねー、ただアイリスの研究成果を試せるから嬉しいんだよ」
研究成果?
「確か、薬草などの効能を上げる研究をしていると聞いたけど?」
「それは表向きの研究だよ。今は毒物の研究や兵器の研究しているから、最近は実験をしたくてウズウズしてたのよ」
エリザは引き攣った顔で聞いた。
「それ、大丈夫ですの?」
「大丈夫じゃないよ~、外の森で毒薬使われると、私達も危ないし、倒した獣の肉が取れなくなっちゃうから禁止させてたの」
(毒で倒した獣の肉なんて食べれないからね)
「まぁ、みんなに秘密で時々、ダンジョンで実験しているんだけどね~ほら、ダンジョンで倒した魔物は消えて素材だけ出てくるから大丈夫?みたいな?」
「・・・改めてシオンの仲間も大概ですわねと認識しましたわ」
準備ができると昼前ぐらいの時間だった。
「近場だし、グーちゃんなら一時間で着くね」
「そだね。ただ・・・」
レイはちらっとある人物を見た。
「どうしてエリザが乗っているの?」
「話をお聞きして、シオン達の活動に興味が出たんですの。出発前に領主様に手紙も渡しましたし問題ありませんわ」
(なぜだかシオン達がやらかさないか見張っておかないといけないとは言えませんわ)
この1日でエリザは王太子殿下よりもシオン達を放っておくと国を滅ぼしかねないと思うようになっていた。
グリフォンの引く馬車は室内も素晴らしい作りとなっており、車輪にはゴムのような素材が使われていて、揺れを軽減するサスペンションなどの最新技術が使われており、座るソファーも凄くフカフカな物であった。
「それにしてもこの馬車はどこで作られている物なのですか?とても素晴らしくて、我が家でも購入したいのですが?」
「やっぱり?この馬車に乗った人はみんなそう言うんだよ」
「こんな揺れの少なく、座りごごちの良い馬車なんて王族でも持っておりませんわ。この馬車に慣れてしまうと、他の馬車など乗れませんわ」
「この馬車はシオンのお父様が考えた物なの。知恵を出して職人達の協力の元できたのよ。ただ一点ものなので値が張るから、まだ流通はしてないわね」
「そうなのですね。帰ったら詳しい相談をしましょう。楽しみですわ♪」
『自分の命が狙われているの自覚してる?』
エリザはエリザでシオン達からのんきだなぁ~と思われていたのでした。




