ハンターのお仕事☆(挿絵がある時☆マーク付けます)
ここはアヴァロン王国にある湖のほとりにある【湖畔の森】。比較的に弱い魔物が生息しており、ハンターの狩り場となっていた。
『ハンター』とは。
このアヴァロン王国の独自の名称であり、正しくは【冒険者】である。ただし、【素材採取専門】の冒険者のことをハンターと呼んでいる。
アヴァロン王国は建国されて50年ほどの若い国である。このユーシア大陸の東に位置しており、国の周囲が山脈と森で囲まれている。
隣国との移動は困難だが素材の宝庫で知られている。
海路があるため、他国との交易である商品の輸送にはそこまで問題にはなっていない。
約100年ほど前に、素材の宝庫だと知られて、多くの職人がこのアヴァロン王国の土地に移住してきた。
森には他国より上質な木材が採れ、木彫り職人や大工が移住し、山脈には様々な鉱石や宝石が採れ、鍛冶屋やジュエリーデザイナーなど移住し、周囲には多くの動物や魔獣が闊歩しているため、それを狩る冒険者やその動植物の素材を加工する皮職人や防具職人、などが移住してきて大いに発展した。
各街にはそれぞれの特徴のある街として、【独自の発展】を遂げていったが、他国の干渉が強まったため、各街をまとめる代表を決めて、一致団結することでアヴァロン王国が誕生した。
そして現在───
近場の湖畔の森にハンターがやってきていた。
「シオン、気付いている?」
「ええ、わかっているわレイ、ウルフ系が何匹か前方にいるわね」
軽装の装備の2人はその場でテキパキと道具を仕込んだ。
「向こうも私たちの存在は気付いているでしょうけど、何をしているかはわからないのよね~」
「まぁ獣だしね。僕たちは罠を張って待ってればいいから」
最近はセットすると自動的に簡単な落とし穴ができる魔道具が発売され、ハンターの狩りがやりやすくなった。
「後は、ワイヤーの罠を張って待つだけね」
シオンは落ちていた拳大の石を拾うと、前方へ投げた。
「後は任せた!」
「あっ!ちょっと!?」
シオンはジャンプすると木の上に飛び乗った。
「囮よろしく♪」
レイは軽くため息をついた。
目の前から5匹の狼系の魔獣フォレストウルフが走ってきた。
「はぁ……やりますか」
レイは腰の剣を抜いた。このアヴァロン王国では珍しい両手剣の形をした剣であった。
「レイ、君の屍は拾ってあげるから頑張って♪」
シオンの能天気な声にレイは頭を抱えた。
「ちょっと!気が抜けるから黙ってて!?」
「はいはい」
漫才をやっている間にウルフは目の前までやってきていた。
フォレストウルフの3匹が飛びかかってきた。
!?
しかし3匹のウルフは空中で浮いて止まった。
シオン達が張った、目に見えないワイヤーに絡めとられたのだ。
「もらった!」
一閃で3体のウルフの首が飛んだ。残りの2匹は飛び掛からず、そのまま走ってきたが──
落とし穴に嵌った。落ちると同時にワイヤーが絡みつき、脱出がしづらくなる落とし穴だった。
ジタバタしている最後のウルフの首を刎ねて完了した。
スタッとシオンは木の上から降りてきた。
「さっすがレイだね。見事な一撃だよ♪」
「木の上から見てないで手伝ってくれてもよかったのに……」
「まぁまぁ、後の皮剥は私がやるから周囲を警戒しつつ休んでいてよ」
スタッと木から降りると、シオンはテキパキと解体に入った。
素材収集のハンターは如何にして綺麗な状態で、獲物を仕留めるかが問われるのである。
ただ倒せばいいわけではないので難しいのだ。
「なかなか大きな巨体のフォレストウルフだわ。肉も多く取れそう♪」
解体作業を見ているレイは思った。可愛く言っているが、血だらけで解体する女の子はいかがなものかと。
シオンは花も恥じらう16歳。
レイは18歳の男子である。
シオンの両親は有名な冒険者であり、レイは6年ほど前に旅の途中で命を助けられた縁として、シオンと一緒にハンターの技術を学んだ仲である。両親としては冒険者として盗賊の退治などの人の命を奪う依頼をさせたくないため、素材専門のハンターとして育てた経緯がある。
ちなみにレイは長い髪を軽く結んで肩に流している美少年だ。よく女の子に間違えられるのがたまに傷である。
シオンは……まぁ、良く言って天然娘と思って欲しい。
「ねぇ。最近の物価高は異常だと思わないか?少し前までなら、これで一カ月は暮らせるお金が入って来たのに、今はせいぜい10日分ほどの稼ぎにしかならないんだよ?」
「確かにねー、うちはかなりの貯蓄があるから当面は困らないけど、他は大変だよね~」
「こらこら、僕らも余裕があるうちに何か準備しておかないとヤバいよねって話をしているんだよ」
「ふーん?レイには何か考えがあるの?」
「そもそも、どうして急に物価高になったと思う?」
シオンは解体しながら答えた。
「うちの国の国王が税を上げたからでしょ?それに伴って、各街を治める貴族も取り分が減るのを嫌って平民からより多くの税を徴収を始めたのよね?」
「そう!しっかりわかっているじゃないか。特に戦争も無いのに税を上げるのはおかしいんだ。もしこれが私利私欲で税を上げたのなら、アヴァロン王国はこれから大変な事になるよ」
「つまりレイとしての考えは?」
「もしこのまま行くと国が滅ぶ可能性がある。だから──」
「だからその前に現国王体制を打倒すると?」
先に答えを言われて目を丸くするレイにシオンは答えた。
「本気で考えているの?」
シオンの鋭い視線にレイは手を振って否定した。
「まさか、あくまで可能性の話さ。それに僕達二人だけじゃ無理だよ。もっと多くの仲間が入れば別だけどね」
「うちの両親ならできるかも知れないけど?」
「うっ、確かに師匠達なら………それは否定出来ないけど、一般論としては無理って事で」
そうこう話しているうちに解体が終わった。
「まぁ、今の現状じゃ何も出来ないわね。今より悪化しそうならママとパパ達に相談しましょう」
「うん、そうだね。帰ろうか。素材、持つよ」
その帰路の途中で女性の悲鳴が聞こえてきたのだった。
愚者の声
さぁ、久しぶりの【新連載】です。今年はモンハンワイルズやっていたせいで、余り更新が出来ず申し訳ありません。ようやくハンターランク999になったので活動を再開致します。ドヤァ((殴り
と、いう言い訳は1割ほど嘘ではありますが、本当は久しぶりにのイラスト制作に時間が掛かり過ぎてしまい、投稿が更に遅くなってしまいました。本当に申し訳ありません。
街の名前で『皮』職人の街と書きました。『革』が正しいかも知れませんがファンタジーなので大目に見てください。
・シオン
・レイ
・エリザ
・アイリス
この3人は作者のオリジナルです。
その他のキャライラストや背景素材で有料イラストを使わせて頂いております。
無断転載禁止でお願い致します。
では、続きをお楽しみ下さい。