尾張の大うつけ4
その後とんでもない事が起こる。
「遂に起こったか、今川軍と」果心居士は烏の目で今川軍が攻めてきたのを観た。
それは今川義元が尾張国へ侵攻した事を示す。
駿河・遠江に加えて三河国をも支配する今川軍の軍勢は、一万人とも四万五千人とも大軍であった。
織田軍はこれに対して防戦したがその兵力は数千人程度であった。今川軍は、松平元康(後の徳川家康)が指揮を執る三河勢を先鋒として、織田軍の城砦に対する攻撃を行う。
「松平軍は慎重になりますな」藤吉郎が魚を食いながら言う。
「アホよの〜、こちらは戦はとうにできてる」小六もを食いながら笑った。
(ポツポツ、ポツポツ、ポツポツポツ、ザーー)
「ガハハハ、天は我を呼んでいるぞー!」信長は馬へ乗り走り出し、精鋭も走り出す。そして藤吉郎らも走り出した。
「サル!今こちらの軍はいか程じゃ!」「約千程です!」藤吉郎は答える。
十時頃、織田軍は鳴海城を囲む砦である善照寺砦に入って二千程で軍勢を整えた。
一方で今川軍の先鋒の松平軍の猛攻を受けた丸根砦の織田軍五百人余りは城外に討って出て、白兵戦を展開、大将の佐久間盛重はこの戦いで討死。
鷲津砦では籠城戦を試みたが飯尾定宗、織田秀敏が討死、飯尾尚清は敗走したが一定の時間稼ぎには成功する。
「殿!佐久間盛重は討死!鷲津砦では籠城戦を試みたが飯尾定宗、織田秀敏が討死!だか飯尾尚清は敗走したが一定の時間稼ぎには成功したとのこと!」藤吉郎は兵士を受けた。
「殿!時間稼ぎにはなりました」藤吉郎は馬に乗りながら信長に言ったが何も返事をしなかった。
すると「殿。今川義元が本体の軍を布陣して休息していた場所は、桶狭間山!場所は、桶狭間山!」藤吉郎の別の兵士に報告を受けた。
「ガハハハ!今川義元が桶狭間山で休息したか!」急に信長は馬で走り出した。
すると視界を妨げるほどの豪雨と季節はずれの雹。
「これは天を味方につけたぞ!」信長は高々と笑い「よし!泣いても笑ってもこれで最後よ!一人一殺!行けー!」信長が先頭に精鋭達が次々と雪崩れ込んだ。
「来た!今川軍と織田軍。見届けるぞ、この戦い。そして勝った方に就く!」果心居士は烏の目で今川軍が攻めてきたのを観た。
この桶狭間山の一帯は深田や湿地が広がっており、大雨の降ったこともあって、敗走ルートの現場ではぬかるみに足を取られたところを織田軍に攻撃され殺される今川軍の兵も多かったとされる。
(ヒヒ〜ン)馬の鳴き声がし「ほよ?何事じゃ?」大将、今川義元は驚く。
すると「織田軍です!織田信長です!」兵士は混乱していた。
この予期せぬ緊急事態に輿を捨て、馬を取り三百騎て逃げた。
「逃すなー!追えー!今川義元の首を上げた物は褒美は想いのままだぞ!」藤吉郎は吠る。
五度にわたる織田軍の攻撃で周囲の兵たちを少しずつ失い、ついには織田軍の馬廻に追く。
「追えー!」織田軍は血眼になって探した。
「ひぇ〜!お前達、かかれ〜!」義元は戦った。乱戦の中、義元は太刀を抜いて自ら奮戦したが
(ドスッ)「ギィャーー!」義元は一番槍をつけた。
「一番槍をつけたぞ!」服部一忠に反撃して
「えぇい!」義元はすかさず逃る。
しかし「ディヤヤヤ!」義元は膝を切り割ったが
(ドスッ)毛利新介によって組み伏せられ、首を討ち取られて死亡する。
「打ち取ったぞ!」遂に新介が挙げた。
今川家の実質的な当主の今川義元や松井宗信、井伊直盛などの有力武将を失う。
「引くぞー!」(ドッドッドッ)信長はすぐさま引き上げた。
「遂にやりましたな!」藤吉郎は馬に乗りながら安堵する。
「まだまだ序の口よ!」信長は高笑いしたが「序の口・・・」藤吉郎は気を失いそうになった。
「そういうことじゃ!」小六は藤吉郎を落ちそうになったところ(グイッ)と支えて笑う。
「ほぉ〜これは考えないかんな?」烏が(バサッ、バサッ)果心居士は甲賀へ一旦戻る。