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序章 鬼瓦一 配属

 

 西暦2500年


 島国ヒノモトの首都、東京にて

 5人の若者が、士官学校を卒業した


 1人は首席で卒業し、東京の防衛隊の1つの部隊の隊長に任じられた


 1人は東北にての部隊に所属した


 1人は九州にて、小隊の隊長を任された


 1人は四国にて、大隊の隊長補佐になった


 そして、1人は……


 ·········


 軍服を着た青年が、汽車の個室に座っていた


 青年の名前は鬼瓦(おにがわら)(はじめ)

 年齢は18

 士官学校を次席で卒業し、少尉として軍に入隊した青年である


「……」


 一は書類に目を通していた

 書類は一がこれから配属される、撫子隊の説明と、一の任務について書かれていた


「……撫子隊の、隊長か」


 一はそう呟いて、売店で購入したお茶を飲む




 ーーー 一視点 ーーー


 士官学校を卒業したその日に、学校の校長から呼び出された


『鬼瓦君、君の配属先が決まった』


 そう言って校長……『天土(あまつち)少佐』が書類を渡す


『目を通したまえ』


 自分は書類を見る


『……撫子隊……隊長ですか?』

『うむ、君は優秀な成績を残している、上からは少尉として軍に入れるそうだ、そして、隊長に任ずるそうだ』

『……少佐、質問してもよろしいですか?』

『なんだい?』

『撫子隊は女性のみで構成してる、その様に書かれています……何故男性である自分が? 他にも女性で優秀な方は居るはずです』

『その理由は私もわからん、ただ、君の活躍を聞いた方が君を推薦したそうだよ』


 少佐は1枚の書類を更に渡してくる

『中国第3基地』、広島に建てられた基地

 ここが、撫子隊の拠点って事か


『必要な書類はこのファイルに纏めてある、来週から配属されるから、2日以内には出発するように』

『了解しました』


 ··········


「何故、自分なのかは結局よくわからなかったな……」


 俺は中国第3基地の書類を見る

柴田郷道(しばたごうどう)大佐』、第3基地の基地長を任されてる男性


「俺の活躍ねぇ……」


 俺と同期を含めた5人は、学生時代に手柄を立てたのは事実だ

 だから、俺と首席のアイツは少尉、他の3人は准尉として軍に入隊した

 普通士官学校から卒業した者は、良くて上等兵か兵長だ


「……考えててもどうにもならないか」


 配属されるのは決まっているのだ

 到着してから、知っていこう


「撫子隊の事を把握しておかないとな」


 軍に所属したのは、隊の人間が先だが

 俺が隊長なのだ……しっかり連携出来るようにするべきだ

 部隊の人間を知るべきだ



 ーーーーーーーーー


『ハイリ·リーデンス』

 年齢、21歳

 階級、伍長


「んっ? ベイコクの人か?」


 書類に貼られてる写真には金髪の女性が写っていた

 我が国、ヒノモトと同盟関係にあるベイコク

 そのベイコク人の特徴がある顔だ


「成る程、母がヒノモトで父がベイコクのハーフか……ベイコクの士官学校を卒業した後、ヒノモトのベイコク基地に配属、その後、ヒノモトに帰化して転属か」


 何故ヒノモトに帰化したのか、理由はわからないが、訳ありなんだろうな


 彼女は、基本的に俺の秘書として働いてくれるようだ

 戦場では通信兵か……



 ーーーーーーーーー


防人裕香(さきもりゆうか)

 年齢、25

 階級、上等兵


「上等兵?」

 25なら中途の入隊でもない限り、昇進してそうだが……

 あっ、成る程、暴力沙汰を何回か起こしているな


 写真は気の強そうな赤髪の女性だ

 一時期は軍曹まで昇進していたが、命令違反や上官への暴行で、降格処分を受けてるな


「だが、これだけ問題を起こしたなら、普通は除隊されるんじゃないのか?」


 んっ? 下の方に注釈が書かれてる?


 ※実力は確かな為、撫子隊への配属


 ……厄介払いか?


 ーーーーーーーー


小早川氷雨(こばやかわひさめ)

 年齢、16

 階級、二等兵


 水色の髪をした女性が写真には写っていた


 入隊してすぐに撫子隊に配属され、活躍して半年で二等兵に昇進か


「士官学校じゃなくて、募集で入隊した人か」


 既に2度、戦場に出てる……これは頼りになるかもしれないな



 ーーーーーーーー


鈴木幻菜(すずきげんな)

 年齢、21歳

 階級、軍曹


 黄緑の髪色をした女性が写真には写っている


 彼女はメカニックとして配属されてるようだ

 機械関係に精通しており、撫子隊以外の部隊からも頼りにされてるらしい


「メカニックがいるのは心強いな、俺も士官学校で基本は学んだが……専門職には勝てないな」


 ーーーーーーーー


時頼楓(ときよりかえで)

 年齢、20

 階級、上等兵


 黒髪の女性だ

 他の部隊で活躍して、去年撫子隊に転属してきたらしい

 銃の扱いが上手く、援護射撃が評価されてるな


「射撃の腕が良いのか、負けていられないな」


 ーーーーーーー


華岡鈴蘭(はなおかすずらん)

 年齢、23

 階級、曹長


 紫色の髪をした女性が写っていた

 どうやら、彼女が元々は撫子隊の隊長をしていたようだ

 戦場では様々な活躍をしている

 これからは副隊長として、俺が居ないときは代わりに撫子隊を纏めるみたいだ


「彼女からしたら、俺みたいな若造は目障りかもしれないな」


 いきなりやって来て、隊長だと年下に偉そうに指示を出される

 面白くはないだろうな


「だが、軍は階級主義だ、従って貰わないとな」


 信頼関係を築かないといけないな


 ········


 以上6人、俺を含めたら7人が撫子隊として活動する


「7人か、陸軍や海軍、空軍もいるとはいえ、少なくないか?」


 俺は1枚の書類を取り出す


「まあ、それで足りると上は判断したんだろうな」


 書類には撫子隊に送られる兵器の事が書かれていた


「『鬼人(きしん)』か……」


 人が乗り込み操ることで戦える人型兵器

 撫子隊、全員がこれに乗って戦場を駆ける訳だ


「……剣に銃、緊急時の自爆機能」

 脱出機能は無いんだな……


「まあ、訓練で学んだ事をしっかりすれば、何とかなるか……」


 実際、同期5人で何とかしてきたからな……


 キィィィっと汽車のブレーキ音が響く、どうやら目的の駅に着いたようだ


 書類を纏めて、荷物を確認して、俺は汽車を降りる


 人の流れについていき、改札を出る


「ここが、広島か……」


 さてと……確か迎えが来てるはず


「失礼します、鬼瓦少尉殿でいらっしゃいますか?」


 声をかけられ、振り向く

 金髪の女性が立っていた


「はい、鬼瓦一少尉であります、貴女はハイリ伍長ですね?」

「はい、ハイリ·リーデンス伍長であります、これより、少尉の秘書としてサポートさせていただきます」

「よろしくお願いします」


 俺は握手を求める


「はい! こちらこそよろしくお願いします!」


 ハイリ伍長は笑顔で握手に応じた


「こちらに車を用意しています」


 ハイリ伍長に案内されて、車に乗り込む

 車が走り出す


「それでハイリ伍長、これから基地に向かうって事でよろしいですか?」

「はい、中国第3基地にて、部隊の者と顔合わせをしていただきます……あの、少尉」

「はい?」

「その、私は少尉の部下です、階級も少尉の方が上官です、敬語はおやめください」

「そう……ですね、いや、そうか、初対面で偉そうに話すって言うのが出来なくて」

「これから慣れてもらいます」


 俺とハイリ伍長は見合って苦笑する


 これから、俺の軍人としての生活が始まる




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